二十三話 緊張して食べるご飯は味がしない
すいません。遅くなりました...
「さてと。あともうちょっと夕食か...」
俺はアドレナと喋りながら時間を潰していた。掛けてある時計を見ながらそわそわし始めていた。
その様子を察したのかアドレナは俺に微笑みかけてくる。
「大丈夫ですよ。人間、娘が助けられた人に対して非情なことはできませんよ」
「確かに...そうだな。王様も人間だもんな」
俺は自己暗示をするように言った。そうだよな。きっとよくあるラノベであるすごい接しやすいおっさんに違いない!!
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「新木殿、よく食事会に来てくださった。今夜は楽しもう」
上座(誕生日席)にはおっさんではなく、四十代の美形の男がいた。その美形の男は気品があり、威厳があり、そして何より威圧感があった。
間違っても接しやすいおっさんなのではない。こういうところだけテンプレ外すのやめてもらっていいですかね・・・
「は、はい」
そう言って俺は大人しくメイドさんが引いてくれた椅子に座る。すると町にある窓のガラスとは違う、透明なガラスでできたグラスにワインが注がれる。
「全員揃ったようだな。始めよう。」
王様がそう言って、ワインを軽くかかげた。乾杯の音頭はなく、静かに食事会が始まった。
すると王様からの自己紹介が始まる。
「申し遅れた。私はアルドニア王国、王のシルバ ナイーグだ。」
「私は新木 蓮と申します。」
そう言って俺は頭を下げた。乾いた唇を潤すためにワインを飲んだが、全く味がわからない。
「さっそくだが、娘を救ってもらった礼を言う」
そう言ってシルバ王は軽く頭を下げた。
「いえいえ、人として当たり前のことをしただけですよ」
そう言って俺もなぜか頭を下げる。
「報酬はなにがほしい?地位か?土地か?金か?」
シルバ王はそう言って俺に迫った。
「えーと...」
思わずに言葉に詰まる。金も困ってないし、地位もいらない。土地もそこまでほしいと思わない。
「いや...今はほしいものが見当たりません。すいません」
そう言って俺は、ばつが悪そうに目をそらした。
「なるほど、わかった」
そう言ってシルバ王はそれ以上何も言わず、淡々と口に食べ物を運んだ。俺もそれ以上何も言わず、口に運んだ。とてもじゃないが、マナーで頭がいっぱいで味わう余裕はなかった。
「はぁ...疲れた」
そう言って俺はベッドに倒れこんだ。打首にならず食事会を終えることができた。
「はは...お疲れ様です新木さん」
アドレナはそう言って俺に微笑みかけてきた。
「一応長期滞在が新木さんには認められていますが、どうしますか?」
「いや、明日には城を出るよ」
俺は間髪をいれず答える。そう答えるとアドレナは苦笑いを浮かべる。
「わかりました。そう伝えておきます」
そう言ってアドレナはメモ帳らしきものにメモを取った。
「じゃあ俺は寝るわ。おやすみアドレナ」
「はい。おやすみなさい新木さん。よい夢を」
そう言ってアドレナは頭を一度下げた後、笑顔を見せて去っていった。
「...木さん!!新木さん!!」
寝ているなか体が揺らされていることに気付いて目が覚める。
「...なんですか?」
そう言って俺は目を開ける。まだ朝日も出ておらず、暗い。
「え?」
思わず間抜けな声が出てしまう
「...久しぶりです」
夜中に来客が来た。
「こんな夜中にいいんですか?」
一呼吸おく。
「姫様」
そこにいたのはアルドニア王国 第一王女エナメラ ナイーグだった。




