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二十二話 噂話

「あー新木だ!!久しぶり!!!!」


 俺が城に入った瞬間、元気な声が聞こえると同時に、俺の懐に飛び込んできた。


「リーシャ、久しぶりだな」


 俺はそう言って押し付けるリーシャの顔を押さえた。


「もうー、リーシャ、ダメだよ」


 アドレナがそう言ってリーシャをたしなめる。


「そうだぞ。リーシャ、お前は姫様のお付きなんだ。お前が変なことをすると、この国の風格に傷がつくんだ。気を付けろ。」


 アレンさんもそう言って、リーシャを怒る。

 二人に怒られると、リーシャは残念そうに俺から離れる。


「新木、元気にしてた?見た目は元気そうだけど」

「あーうん。元気だよ。」

「ならよかった」


 リーシャはそう言って笑った。


「自分はどこにいけばいいんですか?」

「本来は王座で王が直接礼を言う予定だったんだが、忙しく夕食を新木殿とともにするだけになった」

「そうなんですか...」


 まじかよ...この国の王様と一緒に食事か。正直俺、食事のマナーなんてわからんぞ。


「心配するな。さっきも言っただろう?新木殿は客人だ。大丈夫だ。普通に行儀よく食事をすれば大丈夫だ」


 アレンさんは、自分の緊張を悟ったのか、優しい声をかけてくれる。しかし残念ながら、それを聞いて安心できるほど自分の精神は、ずぶとくない。


「では、新木殿はしばらく客間で寛いでくれ。アドレナ、客間まで案内頼む」

「えー私は?」


 リーシャは不満げに口を尖らせる。


「リーシャは早く姫様のところに行ってやれ」

「ちぇー、じゃあ新木!!またね!!」


 リーシャはそう言って、走りながら手を振る。


「おぉ、またなー」


 そう言って俺も手を振り返す。


「では私もこれから会議に参加しなければならない。では夕食の時にまた会おう」


 アレンさんはそう言って握手を求める。


「え、あ、はい。ここまでありがとうございました」

 俺はそう言って慌てて手を握り返した。その手はゴツゴツしていていた。

 その握手で満足したのか、アレンさんはお辞儀をした後に、城の奥へ歩き始めた。


「それでは新木さん、客間までどうぞ」


 アレンさんが見えなくなってから、アドレナはそう言って俺を先行する。


「お、おう、わかった。」


 客間までは一分ほどかかった。アドレナは買い物した荷物をどこかに渡した後に紅茶とクッキーを出した。


「うん?上階では何してるんだ?」


 上階のあわただしさに気がついて、俺はアドレナに疑問をぶつけた。


「うーん?あんまり知らないんですけど、お嬢様が襲われて、噂では報復の準備をしているそうです」

「報復か。経済制裁とかするのか?」

「いや、おそらく武力制裁になるかと」


 アドレナはそう言った。

 武力制裁、要するに戦争である。


「...大丈夫なのか?この国は」

「アルドニア王国はカーンド国より遥かに武力面でも経済面でも大きく上回っているので大丈夫だと思いますが...」


 アドレナはそう言って曖昧に笑う。

 それを聞いて、不安を飲み込むように、クッキーをかじり、紅茶で飲んだ。

 この世界のクッキーと紅茶は日本とほとんど味が変わらないはずだが、まったく味がしなかった。

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