二十一話 王都
「おぉ...すごい」
思わず声に出る。
王都は、まさに歴史の語り部のなりうる都だった。まず目の前に見えるのは、この世界の窓口といえる王都の役場である。その役場は日本でもなかなか見ることができないほど、俺の住んでいた田舎では見ることができなかった高い建物がそびえたっていた。そして奥には、それに負けず劣らない建物が所狭しと建設されている。
「あれは、なんですな?」
「うん?あれか?あれは、魔法道具の開発部だ。今は魔法道具を大量生産することができないか。研究をしている」
この世界は今まさに工業化という文明開化が起ころうとしているらしい。
「さて行くぞ」
俺はアレンさんに続いて歩き始める。
すると続いて煉瓦積みの建物が見える。あと十数年たてばここの建物も取り壊され、このような煉瓦積みの建物はなくなるだろう。
「ここからメインストリートとなる。とんでもない人波にのまれることになるぞ」
アレンさんは冗談めかしにそう言った。
しかし、今は昼食時である。みんな食堂やレストランなどに詰めかけ、道は混んでいないだろう。
曲がり角を曲がる。
「...何ですか?この人は」
「驚いたか?ここが賑やかな王都のメインストリートだ」
そう言ってアレンさんは歩き始める。
目の前には歩くことも躊躇するほどの人だかりである。今歩くことをやめれば、たくさんの人とぶつかり、アレンさんは直ぐに見失い俺は途方に暮れるだろう。
「本当に凄い人ですね...」
「ははっ!!王都来てまず驚くのはこの人だかりだからな!!夜遅くまでこの人だかりは減らないから、王都は眠らない都だと言われている」
「へぇ...そうなんですか」
歩いて十分。突然人だかりが閑散となった。
「ここからは貴族街だから、手早く抜けるぞ」
貴族街は凄い豪邸のイメージだったが、思ったほどの大きな家はない。
「...あんまり、大きな家はありませんね」
「おい、滅多なことは言うものではない。聞かれていたらどんな目に合うかわからんぞ」
アレンさんはそう言って咎める。
「す、すいません」
それから五分ぐらい歩くと城の門が見えた。
「では、手続きをしてくる。ここで待っていてくれ」
「はいわかりました」
俺がそううなずくと、アレンさんは門に向けて歩き始めた。
「あれ?新木さん?お久しぶりです。」
その見覚えのある声の方に目を向けると、アドレナが袋一杯の果物をかかえて笑顔を見せた。
アドレナ可愛いよ。天使だよ、うん。だが俺はロリコンではない。
「いや、城に招待されたんだけど、知らなかった?」
「知りませんでした。いま姫様への殺害未遂事件から凄く城中が疑心暗鬼になっているんです。そして強い情報統制がされてて、私みたいな末端ではわからないことが多いんです」
そう言ってアドレナはうつむく。
...いやまじでこの城のなか入りたくなくなってきたんですけど。
「許可もらえたぞ」
俺の願いとは裏腹にアレンさんが許可書を俺に渡してくる。
「ありがとうございます」
とりあえず俺はお礼を言う。
しょうがない...行くしかないか。
「さぁー行くぞ。心配しなくても新木殿は客人だ。寛いでくれ」
そう言ってアレンさんは着いてこいと言わんばかりに歩きだし、俺はそれに着いていく。アドレナが心配そうに横目で俺を見つめてくる。アドレナも門番に紙を渡す。
「新木様、アレン殿、アドレナ。入城を許可する。」
そう言って門は開かれた。




