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十一話 異世界でも料理はおいしい

「お待たせしました!!」


 そう言ってリーナさんは俺の元へパタパタと走ってくる。リーナさんの服装は白いふんわりとした服に長めの藍色のスカートという日本でもいそうな服装だった。


「それじゃー行きましょうか」

「そうですね!!行きましょう!!案内します!!」

「お願いします」


 そう言って俺は頭を軽く下げる。そうするとリーナさんは驚いた表情をみせ、そして微笑む。


「本当に新木さんは腰が低い人ですね。冒険者らしくもないし高貴な人でもなさそうです。それなのにアルドニア国の紋章も持ってるし....って私!!こんな話し方してていいんですかね!?」

「いやーむしろ改まった話し方をされたほうが困りますよ」


 俺はそう言って笑う。


「...わかりました!!このままの口調でやらせてもらいます。これからも私たちのギルドをよろしくお願いします!!」

「まぁー戦えないので、事務的なことなら任せてください」


 俺がそう言うとリーナさんも笑った。



 しばらく雑談に花を咲かせていると、リーナさんは立ち止まり建物を指さして言った。


「ここですよ!!」

「おぉここですか...」


 俺の目の前にはいかにも高級店!!って感じの建物が建っていた。田舎育ちの俺には少しばかり高尚すぎるところかもしれない。


「建物の外見はものすごく高そうなお店ですけど実際はリーズナブルな料理も多いんですよ。それでいてすごく美味しいんです!」

「おぉ楽しみです」


 幸い懐に余裕はあるし、贅沢してみてもいいかもしれない。


「ではぜひ楽しんできてください」


 そう言ってリーナさんは案内を終えて踵を返す。


「リーナさんは一緒に食べないんですか?」


 てっきり一緒に食事するものだと思っていた俺は思わず引き止めてしまう。


「いやー今月厳しくて...」


 リーナさんは頬を恥ずかしそうにかきながら笑った。


「よかったら奢りますよ」

「いや、いいですよ!?奢ってほしくて案内したわけじゃないですから!!」


 リーナさんは慌ててブンブンと手を振って拒否してくる。


「いやー、一人ぼっちで夕食っていうのも寂しいですし...」

「...わかりました。お言葉に甘えます」


 そう言ってリーナさんは恥ずかしさのせいか、仄かに頬を赤らめて頷いた。ウサギ耳も心なしかピクピクと動いている気がする。


「いらっしゃいませ...おや?リーナさんですか?まだ一ヶ月たっていませんよね...」


 ドアを開けると、すごいダンディーでイケメンなウェイターがリーナさんに話しかけてくる。

 イケメンダンディーさんはちらり俺の顔を見ると納得したような顔を見せる。


「あぁ...そういうことですか」


 イケメンダンディーさんがそう言うとリーナさんは顔を真っ赤にする。


「新木さんとはそういう関係じゃありません!!」

「はいはい。()はそういうことにしときましょう」


 そう言って俺たちは席に案内される。

 リーナさんは「もうちがうのに・・・」と言いながら歩き出す。俺もそれについていくのだった


「...お客様。中へどうぞ」


 そう言って俺たちは個室に案内された。内装も外装と同じ感じで高級料理店って感じで落ち着かない。


「さて!!何を食べましょう!!」


 リーナさんは手書きのメニューを見ながら俺に話しかけてくる。金額は最高級のコースでも小銀貨六枚だ。銀貨一枚 (1万円)は覚悟していたのだが。これならリーナさんにもご馳走できるな。


「すいません、このディナー二つでお願いします。それとこのワインお願いします」


 俺はそう言って少し見栄を張って、最高級のコースと高めのワインを指差し注文した。


「ちょっと!?新木さん!?」


 リーナさんは慌てて止めてくる。


「いやーなんか美味しそうじゃないですか。リーナさんもそれでよかったでしょ?」

「...ありがとうございます」


 見栄は張れるときに張っておこう。



 他愛もない会話をしていくうちに色々な料理が運ばれてくる。すべて美味しかった。そして最後のデザートとなった。


「デザートの木苺のシャーベットです。それとお飲み物です」


 するとデザートとの飲み物が運ばれてくる。木苺のシャーベットは名前の通りだが、飲み物は黒いどこか珈琲のような香りを漂よさせていた。リーナさんは目を輝かせて、デザートを見ている。


「あっそういえばリーナさん。あのウェイターさんが言ってた、まだ一ヶ月たってないってどういうことですか?」


 俺は会話の内容を変えようと少しだけ疑問に思ったことをリーナさんにたずねる。


「あぁそれはですね。私たちギルド職員は給料が高いというイメージが抱かれているんですけど、給料が高いのは可愛くて優秀な看板受付嬢だけなんですよ。だから私はそんなに・・・」

「へぇーリーナさんも可愛いのに」


 俺はそう小さく呟くとリーナさんの耳がピクッと動いて顔を赤くした。


「...リーナさん、もしかして聞こえてました?」

「私、かなり耳がいいんですよだから一人言とかもよく聞き取れちゃって...」

「あぁ...そうなんですか」


 気まずい雰囲気になる。


「そ、それですね、私みたいな平凡な受付嬢は給料が低いんですよ。だから給料日の日に自分へのご褒美としていつも来てるんですよ」

「へぇーそうなんですか。大変ですね」


 そう言って俺は残っていたコーヒーのような飲み物を一気に飲み干す。


「...さて、行きますか」


 俺が席から立ち上がるとリーナさんも首肯する。


「そうですね。遅くなっても困りますしね」


 そう言って俺とリーナさんは会計を済ませて店を後にした。


「では宿に案内しますね。ってそういえば新木さんは自分のステータスを確認したことありますか?」

「ステータスですか?いえ見たことないですけど...」

「そうなんですか。なんなら今見ときます?」


 リーナさんは軽いノリで提案してくる。


「そんなに簡単にできるものなんですか?」

「ふふふ。実は私ステータスカードを何枚か持ち歩いているんですよ。冒険者に要求されたときに渡せるように」

「へーそうなんですか。使って大丈夫なんですか?」

「はい。大丈夫だと思います。ちょっと高いものらしくて、節約しろってうるさいんですけどね...はいどうぞ」


 そう言ってリーナさんは俺にステータスカードを渡す。


「ありがとうございます...」


 俺はステータスカードを受けとる。


「ステータス開示と念じてください」

「あっはい」


 俺は心のなかでステータス開示と唱える。その瞬間ステータスカードに文字が刻まれていく。


 新木 蓮 Lv6

 HP 30

 MP 6800

 ATK 10

 DFE 20

 SPD 16

 LUK 128


<スキル>

 開示不可能スキル×2

 うーむさっぱりわからない。これはどれくらいのステータスなんだ?


「見ることできました?」

「あっはい。でもこれってどれくらいの強さなんですか?」


 そう言って俺はリーナさんにステータスカードを渡す。


「本当はステータスカードは見せちゃいけないんですよーって!?」


 リーナさんの表情は少し戸惑ったような表情からステータスカードを見た瞬間、目が見開かれる。


「...どうかしたんですか?」


 心配してリーナさんに声を掛ける。

 もしかして...めちゃくちゃ弱かったんだろうか...


「...ほとんどが平均より下なステータスです。しかしLUKは平均より七倍あります。しかしそんなことよりMPが異常です。もはや人外の量です...いったい新木さんは何者なんですか?」


 リーナさんはそう言って俺を見つめてくる。その目はいつもよりすこしだけ鋭かった。

 異世界に来て一週間。人外宣言を受けました。

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