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エアウォーク  作者: 隠戸海斗
第二期
95/102

第十七話

センターサークル内には竹内と上松。

そして「新生悠里ヶ丘」チーム陣には周、俊介、海波、敵陣に麗奈が配置されている。

まろんは控えだ。

対して「悠里ヶ丘OB」は自陣にノブ、カズ、野伊、敵陣に吉田を置いている。


そして両チームのセンターが構える中、審判を務める影山先生が両者の間にボールを入れる。

両チームの選手をチラッと見た後、短く笛を吹いてボールを真上に投げ上げた。


そして、竹内と上松がジャンプする。


両者は同時にボールを叩き合った。

竹内は自分の左斜め前に、対して上松は自分の右斜め前に。

わずかの差でボールは「悠里ヶ丘OB」陣に飛んでいき、野伊がキープした。


「行くぜ!」


野伊はすぐにドリブルで攻め込んでくる。

その前に立ちはだかったのは俊介だった。

向き合う両者。

野伊はスピードを落とすことなく俊介に突っ込んでいき、ぶつかる直前に俊介を右から抜こうと向きを変える。

それを阻もうと俊介が左手を伸ばした隙に、1ステップで後退、すぐに左から抜き去っていった。


「!!」


速い!

前回いなかったが、かつて全国まで行っただけの事はある。

ちらっと野伊が前を見るとそこには吉田が走っていた。

野伊はすぐにパスを出そうとボールを持ち変える。


が、その瞬間、目の前に現れた海波がボールに手を伸ばし、奪っていった。


「なっ!?」


奪い返そうとする間もなく、海波は手首を返して麗奈の方へボールを投げた。

ボールはバウンドした後、麗奈の手に収まる。

麗奈はすぐに前を向いて走り出そうとしたが、そこにはカズが待ち構えていた。


「おっと、通しませんよ」


カズはニヤッと笑いながらそういう。

余裕だねぇ、などと思いながらも麗奈は一気に踏み込んで行こうとした。

が。


「・・・!?」


すぐにまた後ろを向く。

そこに走りこんできたのは周。

麗奈は周の前にボールを浮かせた。

周はそれを受け取り、一気にゴール下まで攻めていく。


(・・・・・・なんだ?今の・・・・・・)


麗奈はチラッと背後のカズを見る。

なんだかよく分からないが、今攻めていったら一瞬で止められ、ボールを奪われていたような気がしたのだ。


(要注意、だねぇ)



一方麗奈からボールを受け取った周は止まることなく攻め込んでいく。

が、そのすぐ横を併走してくるのはノブ。

ノブも既に重りを外しているのかもしれない。

それでも全力で走り、ゴール下まで到着する周。

すぐにジャンプして左手でレイアップの構えを取る。

当然ノブもそれを止めようと手を伸ばしてくる。

周はボールを奪われる寸前に手元に戻し、すぐに右手で打ちなおす。

が、それを読んでいたかのようにノブの手が戻ってきてボールをパァンと叩く。


「くっ・・・」


しかし、零れたボールを拾ったのは海波。

ボールを拾うと同時にジャンプし、シュートモーションを取る。

だがそこにジャンプしてきたのは上松だった。

自陣ゴールの危機を察知して戻ってきたのだろう。

海波のボールを奪おうと手を伸ばしてくる。


瞬間、海波の身体が空中でクルッと回転し、上松の手をかわすと同時にゴールに対して後ろ向きになる。

そのままゴールを見ずに、海波はボールをふわっと浮かせた。

浮き上がったボールは弧を描き、ゴールリングにバウンドする。


まさかそのまま入るのか!?


誰もがそう思ったが、


(・・・外したか)


ガスンとボールは外に飛んでいった。


(危ない・・・・・・まさかと思ったが・・・)


海波と上松がそう思い、着地する。

リバウンドに備えようにも、距離が遠い。

ゴール下にはノブと周。

そして、上松のマークが外れたのをいいことに走ってきた竹内。

ノブと竹内が同時にジャンプする。

ゴールに近いのはノブだが背が高いのは竹内。

競い合いの末、竹内がボールをキープした。

そのままボールをしっかりとキープして着地する。


そして再び飛び上がり、ダンクに行こうとしたが、瞬間カズにボールを叩かれる。


(!!まずい・・・!)


すぐにボールをキープしようとしたがとっさの事に対処できない。

しかしボールを拾ったのは周。

すぐに外にボールを出した。


そのボールを受け取ったのは俊介。

すぐにシュート体制に入り、ジャンプする。

だがフリーではなかった。

その後ろから俊介を止めようと野伊が走ってきたのだ。


「とりゃあ!」


そしてボールに手を伸ばしながら俊介の背中へと突っ込んできた。


「ぐっ!?」


空中でバランスを崩しながらも俊介はシュートを放つ。

瞬間、笛が鳴った。

ボールはリングで何回かバウンドした後、リングを通過する。



「バスケットカウント、1スロー!」

「「「「アホー!!!」」」」


審判の宣言と同時にチーム名と全員が野伊に突っ込んできた。


「アホかお前は!?」

「後ろから止めに行くまではまだしも、ぶつかってどうするんだ!」

「しかもバスケットカウントまで取られおって!」

「ご、ごめ・・・許し・・・ごはっ!ぐへぇ!」


しばらく踏まれた後に開放された野伊はぐったりとしていた。


「・・・・・・すまん、大丈夫か?」


上松が手を伸ばし、俊介を立たせる。


「ええ、特に大丈夫そうです」


俊介は軽くジャンプしたり腕を動かしたりする。

どこも痛めてはいないようだ。

開始数分、早くも得点が変わった。


悠里ヶ丘OB 0-2 新生悠里ヶ丘



「ワンスロー!」


サークルに立った俊介が審判からボールを受け取り、シュートを放つ。

俊介がこの距離で外すわけはない。

ボールはスパッとリングを通過した。

得点は0-3へと変わる。

会場からワァッと声が上がった。



「・・・な、なんか微妙な形で得点しちゃいましたね」

「ま、まぁ、儲けモンでしょ」


俊介と麗奈がそんなことを話しながら配置につく。



「・・・・・・ったく、情けない」


ノブが文句を言いながらボールを拾い、エンドラインの外から吉田にパスを出す。


「す、スマン。

 だがこの借りは俺自身の手できっちり返す!」

「ああ、ぜひそうしてくれ」


野伊の言葉に吉田は呆れながらもパスを出した。

ボールを受け取った野伊はドリブルで進んでいく。

その前に現れたのは俊介だ。

野伊はドリブルをしながら一旦足を止める。

そしてなんとか抜き去ろうと右へ左へと身体を動かすが、俊介はピッタリとついていた。

簡単には抜けないと察した野伊はドリブルをやめてボールを両手で持ち直すと、スローインのような構えを取った。

頭を越えてパスを出す気か?と俊介が両手を挙げると、その隙を突いてバウンドパスを出された。


無理に出したのか、少し高めのバウンドパス。

だが上松はきっちりキープする。

そして一度着地するとすぐにジャンプする。

ダンクには遠いので中距離のシュートだろうか。

それを阻むべく、マークを任されている竹内がガードする。

上松はそれを見るとすぐ左にピッとパスを出した。

先にいるのはカズ、パスを受け取ろうと右手を伸ばしている。

麗奈はカズがキャッチした瞬間を狙おうと手を伸ばした。

が、カズはくるっと掌を上に向けると、ボールを受け取らずに手首で弾いた。

ボールはカズと麗奈の頭を越えて逆サイドのノブの手に渡る。

と同時にノブは走り出した。


「あっ!」


想定外だったのか周のスタートが遅れた。

ノブはフリーのまま一気にゴール下へ。

しかしなんとかそこに海波が走りこむ。

ノブが飛ぶのと同時に海波もジャンプした。

ダンクの構えを取るノブとそれを止めようと手を伸ばす海波。

だが、海波がボールを叩こうとした瞬間、ノブはスッとボールを下げ、海波の手をかわした後に改めてシュートを構える。

ダブルクラッチだ。

しかし海波もそれを読んでいたかのように手を戻す。

ノブのシュートを阻もうと言う二段ブロック。


だがノブもそこまで読んでいたのか、シュートには行かずにポイッとボールを落とした。


「!?」


何を?と思ったが、ボールの先には上松が手を伸ばしていた。

しかしキャッチはせず、パァンとボールを浮かせる。

そして走りこんできてそれをキャッチしたのは野伊。

キャッチしたそのまま構えてシュートを放った。


ボールはボードに当たり、リングを通過した。

わっと歓声が上がった。


得点は2-3となる。



「・・・早いな、ボール回しが」

「あんな連係初めて見たよ」


竹内と周が呟く。


「さすが、全国に行っただけあるね」


麗奈もそう言いながらボールを拾い、周にパスを出す。


「・・・・・・ん?」


ふと俊介は海波がまろんに何か話しかけているのが見えた。

まろんはなにやら頷くと、自分の物ではないカバンからノートを取り出し、何かメモし始めた。


「どうかしたんですか?」

「ああ、あのパスルートにパターンが無いかと思ってな。

 メモを取ってもらう」


俊介の質問に海波はそう答えた。


「次のクオーターはお前に抜けてもらって、あのパターンを読み取ってもらおうと考えているんだが」

「僕がですか?」


ついでに付け加えたような海波の一言に俊介が驚く。


「実際に見たのは初めてだが、悠里ヶ丘は高速パスを主軸に攻めていたと聞いたことがある。

 全国まで行くくらいだから簡単には見破られないだろうが、それらしきパターンを見つけたらタイムアウトも使って教えてくれ」

「分かりました。

 僕も今からチェックしてみます」

「試合がおろそかにならない程度にな、頼んだ」


そして二人も走り、周たちの援護に回る。



その後も悠里ヶ丘OBはトリッキーなパスで、逆転しさらに得点を重ねる。

周たちもスピード、テクニック、パワーを駆使して、負けずに得点を重ねた。


そして第1クオーターは、20-14という得点で終わった。



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