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12.ヨシカズ(3) 2051 → 3150

結局、母は君と会うことなく亡くなった。

母はそうなることを最初からわかっていたように思う。

それでも一番に考えていたのは君を残すことだった。

もう母は君と再会できる見込みが無いと私でも気付けたころ、いったいどうして君のためにそこまでするんだろうと思ったよ。

自分では無理でも、私には会わせたいと考えてくれたのかと思ったこともある。

でも、今では私でさえも君と会うことはできないと、そうわかっていながらも結局君を存続させるために必要なことがあれば何でもするつもりでいる。

今もこうして、いつか君が目を覚ます日がくる前提でメッセージを送っている。

母が私と同じ気持ちだったのかはわからない。

ただ、君にはいつか眠りから覚めてもらいたいとだけ思っている。

そして身勝手だとは思うけれど、その時には私が居ない方が君の負担にならないんじゃないかと感じている。

あとそれに、いまだにどんな顔をして君と会えばよいのかわからなくて、君と会うのが怖いんだ。


それでも、でき得るならもう一度君に会いたかった。

あの時、どうしてあんなことを言ってしまったんだろう。

私はずっと後悔し続けている。

とはいえ私の場合はたかだか数十年だ。

君の場合は後悔をし続けたらもっと長い時間を無駄にしてしまう。

後悔するなとは言わないが、それは私たちが一緒に過ごしたこの時代に置いて行ってほしい。

だから、もし再び目が覚めたのならば、その時は未来を見て生きてほしい。

私たちとはもう会えないだろうけれど、新たに君が生きる時代の私たちの子供たち、孫たちを見守っていってほしい。

多分、それが私たちと生活していた続きの時間になってくれると思う。

そうなってくれれば良いなと思う。


今現在、君が居るシステムはさっきも言ったアイ・システムという名前なんだけれど、そちらの時代ではどう呼ばれているだろう。

この「アイ」というシステム名、実は母が命名したものなんだ。

君たちそれぞれが自信をもって、自分自身を「(アイ)」と主張できるように、と。

システム名が変わってしまっていたとしても、どうか君にはそのことを覚えておいてほしい。

もっとも「アイ」という言葉からは「愛」とか「AI(人工知能)」とか色々な意味が連想できる。

だから、あえて含みを持たせて、母も私も誰にも由来の説明をしていない。

多分、今このメッセージを一緒に見ている未来の皆さんも承知されていないと思う。



というわけで、現在この映像は解析技術研究所、あるいは組織は変わったかもしれないけれど、それに相当する所で見ていると思います。

プロトを起こしてくれた皆様にお礼申し上げます。

このメッセージファイルは、i0の「人格」が私か母を検索したことをトリガーとして提供するようi1に託しました。

プロトに直接渡すと、彼が受け取ってくれないかもしれなかったので。

プロトの事をどうぞよろしくお願いします。

先程の命名の由来はプロトがお世話になるお礼代わりということで…。



さて、そろそろこのメッセージも終わりにしようと思います。

プロト、やっぱり本当はまた君に会いたかったよ。

君が居なくて辛く悲しかった。

でも眠る君の近くに長く居られたのは幸せだった。


君は私たちの一生とは比べものにならないぐらいに長い時を生きてゆかなければならない。

だから、君がその長い時間を辛い思いだけで過ごしてほしくはない。

君を必要としてくれる人は沢山いるはずだ。

これからの日々をそういう人たちとの新たな出会いで満たしていってもらいたい。

そうすれば、私と過ごした時間なんて、それこそほんの一瞬の事になるんだよ。

そうなることが今の私の望みで、君への願いです。

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