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駆け引き

「全部で銀貨25枚と銅貨46枚ってとこだな」


「おじさん、もしかして目が悪くなった?この槍はスキル付きよ?これだけで銀貨5枚あってもおかしくないし、ポイズンポーションの作成には特殊なスキルが必要のはず。1つ銀貨1枚にはなるはずだけどねぇ」


「おっと、その手には乗らないぜ。その槍はだいぶ使い古されてるようだ、切っ先も欠けている。せいぜい銀貨1枚ってとこだぜ。そしてポイズンポーションは扱いが難しい薬。故に買い手が限られる。だから高くは買えない。銅貨50枚てとこだ。嬢ちゃん、節穴はあんたの方だ」


カウンター越しに、フェリシアと買取屋が火花を散らしている。


 この世界の通貨は金、銀、銅の順に価値が高く、銅貨100枚で銀貨一枚分の価値があり、銀貨100枚で金貨一枚相当の価値になるそうだ。


 買取屋がいう金額は差し詰め25000円相当だろうか。仕入れに相当な労力と時間を有したのだ。それだと流石に納得がいかない。


 いつもは妹を諌めるエリシアも、価格交渉の際は静観しているようだ。

 つまり、この姉妹の日常ということだろう。

商魂逞しいな。

だが、緩い。


「この槍の修理には銀貨4枚もかかる物なのか?俺が修理屋に訪ねたところ、銅貨20枚で請け負ってくれるとのことだったが」


買取屋の顔が引き攣った。

やはり買い叩こうとしていたのだな。


「そして街の門番がポイズンポーションを野菜クズに混ぜていた。大方害獣対策だろう。相当量を混ぜていたが、本当に買い手は少ないのか?」


 更に買取屋の顔が引き攣る。

エリシアとフェリシアから視線を感じる。

よく見ておくがいい、これが止めだ。


「2人とも、残念だがこの店では売れないな。裁縫屋が銀貨30枚で羽を買いたいと言っていたし、槍は修理して別の買い手を探そう。ポイズンポーションも門番に直接取引を持ちかければもっとマシな金額で買ってくれるだろうさ」


「「ええっ!?」」


「2人の馴染みの店だと言うから多少安く下ろそうかと思っていたがここまで買い叩かれるとさすがにいい気分ではないからな。早く次の店に向かおう」


 驚く2人を背に俺は店のドアに手をかける。

さて、乗ってくるかな。


「待ちな兄ちゃん!!全部で銀貨40枚でどうだ!!」


よし、乗ってきた。


「55枚」


「くっ、なら45枚でどうだ!!!」


 まだまだ顔に余裕があるな、利益がそれなりに取れるってことだろ。

 

「53枚」


「48枚!!」


 親父と俺に交互に視線をやるフェリシアとエリシア。相変わらず驚愕した表情は変わらない。


「銀貨50枚と銅貨50枚、これが限界だ」


「ああ!!ちくしょう!!それで買い取ってやんよ兄ちゃん!!」


 小さな皮袋をこちらに放る親父の顔には余裕が感じられなかった。ギリギリまで絞れたようだ。


「毎度どうも。 行こうか、2人とも」

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