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剣士の覚悟②

 私はもどかしかった。

雄叫びを上げながら、がむしゃらに剣を振るう青年。

その隣で戦う事も許されず、その背に強化魔法もかけてやれないこの現状が。


フェリシアもそうなんだと思う。

彼女がクロスボウを持つ右手が震え、それを抑えるように添えられる左手。


 元々、私以外と関わる事をあまり好まなかった妹だったけど、九条が来てそれが変わった。


 よく喋り、よく怒り、そしてよく笑うようになった。 彼はどう思っているかはわからないけど、フェリシアは内心では九条の事を気に入っている。

両親を探す旅、最後のきっかけをくれた彼の事を。


──もちろんそれは私も。


 幼い頃、ただひたすらに戦い続け、心を壊した私の代わりに戦ってくれた旅人に九条はどこか似ていた。


 普段は他人にぜんぜん興味がない素振りを見せるし、大体は自分を中心に考えて行動してるのかなぁと感じる時はある。


 私たちとは本質的に何か違ってて、きっと彼はどこかの貴族の生まれなんじゃないかと思う事も多々ある。


 でも、九条自身も気づいていないのかもしれないけど、彼は本当はとっても優しい人なんだと思う。

お金のため、っていつも言うけどその行動の全ては子供達の事を第一に優先してくれてるし。


 私と一緒に戦った時もそう。

九条ったら自分より強い相手に、しかも亜人を斬ることなんてできないのに子供達を逃すために命懸けで戦ってくれた。


 子供達だけじゃない。

私の事も気にかけてくれた。

私は変われたんだ、って。


 敵を殺す魔法しか使ってこなかった私が、あの旅人達みたいになりたくて必死に覚えた強化魔法に助けられた、って。


 立派な魔法使いだ、って頭を撫でてくれた九条。

少し恥ずかしかったけど、本当に嬉しかったな。


 私達には勿体ないくらい最高の剣士さん。

まだまだ沢山お話しして、一緒に旅をして……。

もっともっと貴方の事が知りたいの。


だから私が、貴方を殺させない。


……ダメなのはわかってる。

わかってるの。

でも神様、今日だけは許して。

昔の──


──感情を無くしてしまった私に戻る事を。

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