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新展開、急展開

 僕を淡々とした目線で見下ろす白衣の女性。まったく見覚えがなく、僕は無言になってしまった。

 

「あれ、もしかして何も聞いてない?」

そう言いながら、彼女は部室に入ってきてドアを閉めた。


「はい、何も聞いてないですけど…」

「ああそう、前任顧問の吉田先生だけど、今年からテニス部の指導をもっと本腰入れてやることになって、兼任顧問は難しいってなったの。

だから、私が引き継ぐことになって。」

「そもそもあなた、誰ですか?一応、先生は全部覚えたつもりなんですけど…」


僕は頭の中の教師リストを一気にめくりながら、彼女が該当しないか必死で探した。

けど、やっぱりこんな人見たことない。


「あ~、それはそうだ。一昨日から非常勤として急遽入ったばかりだもの。わかるわけないわ!

私は桜井。2年の生物担当の先生が妊娠されて、夏過ぎに産休に入られるからその代わりできたの。

生物専門ならってことで、この植物研究会の顧問も引き受けることになったのよ。

あんまり忙しいと困るなと思ったけど、部員あなた、岡本くん一人でしょ?それにゆるく活動してるって聞いたし、ならいいかと受けることにしました!よろしく!」


一気にまくしたて、笑顔で握手を求められ、僕は圧倒されて思わず手を伸ばしてしまった。

思いのほか力強い握手。

そしてさっきと違って笑顔になると、けっこうかわいらしい、優しい印象に変わる。

「スズランかな」

思わず口に出してしまった。


「何?もしかして私を花に例えたの?」

え?という表情で先生が僕を見た。

しまった、ついつい心の声が出てしまった…


色々な植物を見て育ったせいか、僕は人をつい花や樹木など、植物だったらどれなのか例えるくせがあった。

いつもは心の中で思い浮かべるだけなのに、急にいろんなことが起きたせいか、気が抜けて口に出してしまった。


「は、はい。」

「へえ、スズランかあ!かわいらしいよね!スズランを贈る日もあるし、花言葉も『純粋』って私にぴったりかも!」

「あとそれだけじゃなく、実は毒があるんですが…」

「ほお、毒、ね」

しまった、また余計な追加情報を伝えてしまった!毒って失礼すぎだろ!初対面の人に!

地雷を踏んだかと焦ったが、先生はにっこり笑った。


「まあそれも当たってるかもね。ゆくゆくわかることでしょう。それを含めて的確に例えているなら、あなた才能あるかもね…。

これからは植物プラス、私の趣味にも付き合ってもらおうかなあ?」

「…へ?」


植物研究会、どうやら今までのお気楽活動では済まない予感がします…。

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