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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 試練を受ける
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特殊冒険者

暫く一日二話投稿頑張ってみます。時間取れそうですし

「今日は何の用なんですかねー」

「うーん。結構前から言われてたのに内容は聞いてないんだよね?」

「そうですね。だから余計に何をするか」


夏休みは終わったが、まだまだ暑い。

休み明けでもダンジョンに行っていた影響か、学校がだるいとかは一切感じなかったのは良かった。


そんな九月の最初の土曜日。

この日は絶対に開けておいてくれと夏休み中に浮島さんから言われていた。

でも肝心の中身を聞いていない為なんで呼ばれたのか分からない。

まぁ期間が開いてるから怒られるってことはない・・・そもそも怒られるようなことしてないし。


協会に入るとやはり夏休みに比べると人が少なく感じる。

学生が減ったからな。それでも休日だから人は多いが。


受付に近づくとそのそばで浮島さんが待っていた。地味に新しいパターンだ。


「浮島さんお待たせしましたー」

「あ、お二人ともこんちにわ」

「こんにちわ浮島さん」


協会の制服って意外と緩いと思う。

だって桜木さんとか佐々木さんとか結構改造してるし。

浮島さんも首周りを涼しくしたいからか他の人と比べると少しだけ空いているように見えるし。


まぁそこはどうでもいいか。


「それで?今日は何で呼ばれたんです?」

「その話はまた奥でになりますね」

「あー」


まーた外で話せない様な話ですよ。

そこは呼ばれた段階である程度覚悟してたんだけどさ。


いつも通りの案内で、いつも通りの部屋に通される。

浮島さんが仕事をしている部屋とは別に、俺達が来た時用の部屋だ。

もはや慣れているので日坂さんがお茶を淹れてくれる。


その間に浮島さんが書類を用意してくれているようだが・・・


「はいどうぞ」

「あざーす。あ、そういや最中あるんだった」

「じゃあ一緒に食べちゃおうか。浮島さん小皿とかってありますか?」

「お茶の缶があった所にありますよー」

「分かりましたー」


最中も並べるともはやおやつの時間だ。まだ朝っぱらだけど。


浮島さんも書類をまとめ終わったのか、それとも俺達に渡すものとは別の物をまとめていたのか。

そこは分からないけどファイルを持って俺達の座る席までやってくる。


「とりあえず・・・まずはこちらをご覧ください」

「・・・特殊冒険者制度?」

「聞いたことないですよこんなの」

「表には出されていない情報ですから」


最初に渡された書類。

『特殊冒険者』という冒険者の中でも特異な実力がある冒険者がなれるものに関する書類だった。

中身に説明が色々書いているが、とりあえずこれを渡されたということはだ。


「俺達がこの特殊になるって話です?」

「そういうことになりますね」

「はぇ・・・でもこれになると何があるんですか?」


渡された書類には特殊冒険者の簡単な概要しか書かれていなかった。

これだととりあえず強ければいいとしか分からない。


日坂さんが質問すると、続けてまた別のファイルを渡される。

同時に浮島さんが説明してくれるようだ。


「まず特殊冒険者の最大の利点・・・特徴とも言うべきですかね。それは書いてある通りなんです」

「えー。魔道具の貸し出しもしてくれるんだ」

「協会が買い取った物がどうなってるのかは気になってたけど、こうなってんのか」


俺達冒険者が見つけた魔道具や武器。それらは基本は各企業が買い取りを行うが物によっては冒険者協会が買い取る事もある。

別に売れ残ったとかそういう話ではなく、一部の特殊な道具を率先して買い取っているのだ。

それらはまた別のルートで競りに流れる事もあれば、そのまま協会の持ち物になったままになることもある。


これまで協会が持っている物は、桜木さんのチームの様な協会所属の冒険者が使っていると思っていた。

だけどどうもそれだけでは無かったらしい。


「後は・・・ん?未知領域への突入許可?」

「この未知領域っていうのは?」

「まだ人類が到達していない階層や探索前のフィールドと言う意味です」

「・・・そもそもそれって許可制だったんですか?」

「最初の研修の際に、もしダンジョンでマップに書いてない場所を見つけた場合については聞いていますよね?」

「そうですね。危ないから入ってはいけないって・・・あー」


なるほど。あれってそういうことだったのか。


今まで俺達が探索していた階層は、全て先輩冒険者達によるマッピングが行われている。

罠やモンスターといった一部の不確定要素を除き、そのマップに従ってさえいれば基本は問題なく前に進めるようになっている。


だが未知の階層・・・まだ人類が到達していない階層に関してはその限りではない。

場合によってはマッピング済みの階層でもまだ見つけられていない場所もある。

当然だがそういった場所は危険なので研修の際に決して入ってはいけないと言われている。


これらは協会に報告すると、協会所属の冒険者が探索を行って初めて普通の冒険者が足を踏み入れる事が出来るようになる。

そしてこの『特殊冒険者』になると俺達でもその初見探索をおこなえるようになると。


「あとこれは直接書いては無いんですけど・・・三十五層以降の階層への突入許可でもあるんです」

「は?」

「え?じゃあ四十層とかって普通には行けないんですか?」

「厳密に言うと禁止はしてないので、推奨はしませんってだけなんですけど」


それはちょっと聞き逃せない情報だ。

今俺がダンジョンで戦いたいモンスターはまさに四十層にいるんだ。

そこに行けないとなると色々考えなおさないといけない。


しかしなぜまた三十五層以降なのだろうか。正直中途半端だと思うんだけど。


「どうして三十五層から何ですか?」

「そこから文字通り難易度が変わるんです。どこのダンジョンでも」

「具体的には?」

「モンスターの凶暴性が増して、環境の過酷さも上がります」

「ふーむ。それだとまぁ・・・あんまり禁止する事も無いような?」


それくらいなら今までのダンジョンと変わりない。

ただ強くなれば解決してしまうような問題だ。

つまりまだ他に別の問題があるはず。


「最後に、これが最悪なんですが」

「「・・・」」

「毎日内部の構造が変化します。マッピングが不可能になるんです」

「えっぐ」

「うわぁ」


思わずドン引きである。それは難易度爆上がりだ。

というかそういうことだったのか。

桜木さんや佐々木さんたちが実力の割に先に進めていないのはそのせいか。

毎日毎日構造が変わるとなると戦闘力だけあっても意味が無い。


環境への適応。正しい道を選ぶ力。

様々な要因が必要となってしまう。これ俺だけだとどうしようもなく無いか?


「探索の長期化も問題ですね。これ物資足りないんじゃ」

「食料や水が手に入る環境ならまだ良いんですがね・・・」


でもその点は日坂さんのスキルによって解決に近づいているらしい。

拡大した鞄のお陰で今までは考えられない程の物資を持ち込む事が出来るようになった。


「あー。だから海外からも」

「そんな事もありましたねー」


スキルが変化した際にスキルの影響を受けた鞄についての取り扱いはとても大変だったと聞いている。

俺達・・・というか日坂さんは基本スキル的に身に着けるだけで良かったが、それを取り扱う側はそうもいかない。

まずどこの誰に売るのかとか、いくらにするのかとか。

海外に流すのはどれくらいにするのかとか。

もはや政治の領域に片足突っ込んでる話だが、それだけ日坂さんの鞄は価値があるということだ。

そら引っ越しも推奨されるし、俺から離れるなって話にもなるわな。


他にもいくつか『特殊冒険者』についての説明を受ける。

やはりかなり特権ともいえる物があるらしく、これまで以上に色々便利にはなりそうだ。


「この協会内に個室が用意されるの地味に良いですね」

「まぁお二人はもうここが専用個室な気もしますけど」

「それは確かに」

「で、でも着替えとかもありますから」

「そうですね。見られない様にしてもらいたいものとかも扱う可能性はありますし」

「そ、そんなのあるんですか」

「はい。それこそ本来は豊宝竜の素材はその類でしたね」

「えぇ・・・」


世界的なニュースになるくらいの重大事項になったからな豊宝竜。

まぁ手に入った段階で情報が洩れると色々不都合はあるだろう。

あの時は基本遠島達がいたけど、確かに極秘ですとか結構強めに言われてたっけ。


「とりあえず特殊冒険者については理解しましたけど。これ基準とかあるんですか?」

「先月桜木先輩から視察を受けましたね?」

「あー・・・ワイバーンの時のあれですかね」

「それです。その時先に進まないように言われたと思うんですけど」

「あ、確かに言われてましたね」


それはワイバーンを倒し、ワープで一度戻ろうという時だった。

少しお二人にはやってもらいたい事があるので、少しの間新しい階層に行かないでほしいという話をされた。

正直一応四十層を目指していた身としては、本来ならばすぐに受け入れることが出来ないんだが・・・まぁタイミングよくゲームの方がな。

仕様変更やら、それに対する対応やらでかなり時間が取られるのが分かっていたのでその時は素直に受け入れたのだ。

お陰と言っていいのか、日坂さんの訓練も同時に出来たし悪い事では無かった。

でもあの話がここにつながってくるとは。


「あの視察が推薦の為の調査で、その推薦が通るまではって話だったんですよ」

「はぇー」

「じゃあもう新しい階層に行っていいんですか?」

「あ、いえ。まだダメなんです」

「む。また別の条件が?」

「はい。実はその。推薦が微妙に通らなくってですね」

「はい?」


話を聞くと問題なかったようにも思うんだが。


しかし理由を聞くと非常に納得のいく話だった。


「お二人の冒険者歴の短さがネックになりまして」

「「あー」」


そらそうよね。九月入ったけどまだ半年くらいだし。

一応日坂さんは俺より先輩だけどそれでも一年未満。

当然そこは問題になるよな。


「じゃあ結局ダメだったと?」

「それも違くってですね・・・正直出来て間もない制度なのでこっちも割とてんやわんやと言いますか」

「こんなに短い冒険者歴に推薦されることを想定してなかったと」

「そういうことなんですよねー」


浮島さんが疲れた顔で言う。

どうやらここ最近その関係の書類やらなにやら結構忙しかったらしい。

ご迷惑をおかけします。


「最終的に、お二人には・・・正確には戸村さんにはあるクエストを受けてもらうことになりました」

「え?私は」

「日坂さんは戸村さんがやれば一緒にいると判断されたので」

「あ、なるほど」

「俺は何をすればいいんですか?」

「こちらの指定する特定のモンスターの討伐。そしてあるダンジョンの制覇です」

「・・・へぇ」

「あ」


日坂さんの顔が、あ、ダメなスイッチ入ったという顔になる。

俺も自分で自覚している。あ、これ俺のダメなスイッチ入ったなと。


「まぁモンスターに関してはこちらも特に問題ないと考えております」

「まぁ戸村君ですし」

「そうですね。なのでメインはダンジョンの制覇だと考えてください」

「制覇ってことは、最終階層まで完全に探索しきれと」

「特殊なダンジョンでの対応力を見る試験になります。それでも他の人に比べたらはるかに楽でしょうが」

「と言うと?」

「日坂さんがいる時点でもう」

「なるほど?」


つまり結構過酷寄りのダンジョンってわけか。

でも物資が大量に持ち込める分他の人たちに比べたらはるかに楽と。

流石にマグマが垂れ流されてますとかだと俺も厳しいと思うが。

そういう方面で強くはなってないし・・・いや闇夜の能力ならいけそうだけど。


「それで?どこのダンジョンに行けば良いんですか?」

「全部で二つで、一つは北海道にある特殊ダンジョン。通称『無効化ダンジョン』です」

「え!?そ、それって」

「はい。全てのスキルが封じられるダンジョンです」

「へぇ。そんなのあるんすね」

「対策としては、そのダンジョンでしか手に入らない魔道具を使わなければいけないんですが・・・」

「それの入手も試験の一つと?」

「突破するには必須となるので、結果的にそうなりますね」


面白そうなダンジョンだ。

鍛錬としては使えそうには無いが・・・いや素の戦闘技能を磨くうえでは使えそうか?

北海道にしかないのはちょっと残念だな。


「もう一つは?」

「もう一つはその・・・海外なんです」

「・・・んん???」

「イギリスのダンジョン。『図書館ダンジョン』の制覇なんです」

「・・・日坂さん?」

「えっと・・・確か魔導書が出てくる確率が高いダンジョンで、本棚が壁一面ずらーっと並んでる・・・ですよね?」

「それであってます・・・」

「あの。そこって大して難しくなかった気がするんですけど」

「え」

「えっとその・・・実はこちら協会での政治的なやり取りがありまして」

「・・・スゥ」


この時点で、俺は近い未来で知り合いの金髪に飛び蹴りをかますことが決定した。

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― 新着の感想 ―
[一言] 深い階層行きたきゃ特殊になれとか汚い流石協会汚い まぁバーサーカーと無限鞄作成者の危険物扱いは解りますがw それとあのパツキンイケメンやたらと陰謀で関わってきますね… ゲーム通じて情報収集と…
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