品評会へのお誘い
まーた暇になったので投稿。こうして書き溜めたストックが無くなっていく
「おおー。意外と筋良いんじゃないですか?」
「そ、そうかな?」
「はい。意外ではありましたけど」
最初こそちょっとグダったが、あとはスムーズに教えることが出来た。
木人に攻撃してもらい、それを日坂さんが受け止める。
それを何回か繰り返す。
でもちょっとだけ問題はあった。
最初に渡した盾が日坂さんに合わなかったのだ。
何というか、どうも攻撃を受けて衝撃を逃がすって動作が得意じゃないっぽい。
だから小さめの盾を渡したのはミスだった。
そこに気が付いたのは偶然だった。
偶々近くで見ていた時に、何となく構えの重心が俺が攻撃を受け止めるときに似ていると思ったのだ。
俺も重量級の武器を扱うから少しだけ似ていたってだけなんだが、ここでまさかと思ったのだ。
なので試しに最初に渡した小さな盾を戻して、大きな丸い盾を渡した。
するとどうか。受け止めるのもさることながら、盾を利用して相手の進路を妨害しようと試みる動きも出来ていた。
「えへへ。蒼君ばっかり見ていたから似ちゃったのかな」
「あー。それはありそうですね」
うーむ。そうなると回避盾はちょっと無理そうか。
しっかりとその場で構えて耐えられるならそちらの方が確実ではあるんだが。
しかしそうなるとアーサーからもらった教科書使えないな。
「え?ダメなの?」
「あいつって割と回避寄り何ですよね。もしくはカウンター狙い?」
アーサーの戦闘スタイルは基本に忠実な剣と盾の両構え。
でもどっしりと受け止めることはせず、どちらかと言えば機動力寄りの戦いをする。
まぁそれは俺とかムサシを相手にするのには重量級が相性が悪いって話が関係するのだが。
とにかく、貰った教科書はあくまでもアーサーが自分の戦い方をもとに作ったものであって、それ以外の戦い方には対応していない。
盾の基本と言っても、そこが違うと全然別の基本が必要になるからな。
「そうなると・・・どうするかな」
「蒼君の知り合いにはいないの?」
「デカい盾持ってる知り合いはいますけど、そいつはランスとセットなんですよね」
「あー。何か乗馬とかしてるかんじの?」
「まさにそれです」
あいつは確かにどっしり系だけどもなぁ。
防御寄りに見せかけた脳筋だから俺に似ちゃってるんだよなぁ。
悪い事じゃないんだけど、今回はどちらかと言うと盾をメインで用いる奴の意見が必要に思える。
しかしいくら人口が多いアークプレイヤーと言えど、デカい盾をメインで使ってるのは少ない。
「心当たりはありますけど、知り合いって程親交も無いですし」
「ちょっと意外ですね。蒼君ってそういう知り合い多いイメージだったから」
「流石にプレイヤー全員と知り合いではないですよ」
使い手が少ない武器種とか、変わった戦い方をする奴に知り合いが多いのは確かですけども。
しかしどうするか。
重い物で防ぐって戦い方だけなら俺も一応は教えられるから、今回は残りの時間はそうするか?
「一応知り合いに心当たり聞いてみますわ」
「ありがとう戸村君!」
「名前名前」
「あ・・・//」
まぁゲーム内だけで違う呼び方は結構慣れないよな。
俺もマナは現実でもマナだし・・・あ、ちゃんと本人の許可は取ってるからな。
そこはちゃんとしないと面倒なことになりかねないし。
ログインしている知り合い全員にメッセージを飛ばす。
すると暇だったのか、一人すぐに返事が返ってきた。
「あ?・・・あ、あいつも夏休みか」
「え?もう返事きたの?」
「はい。中学生から来ましたね」
「へぇー。このゲーム本当に年齢層広いんだね」
「まぁ流石に小学生は・・・一応いるなぁ」
あの子らはあんまり戦わんからあれだけど・・・まぁメッセージ見るか。
返事を返してきたのは、俺を師匠と呼ぶロメからだ。何でこんな真昼間に返事来るんだ学校はどうしたと思ったけど、今俺も夏休みじゃんっていうね。
どれどれ・・・ほぉ?
「何かあったの?」
「ロメが今注目の新人選手!ってそれぞれの品評記事まとめて送って来たんですけど・・・あいつ準備してたのか?」
まぁ文体的に言うと、あの検証班の連中が作った文章っぽいけど・・・そういやあいつそんなバイトもしてたな。
「五人くらい送られてきて、その中に一人にちょうどいるんですよ。タワーシールドのみのプレイヤーが」
「へぇ。でも新人さんなんだよね?大丈夫なの?」
「まぁ本当ならお勧めしないっすね」
タワーシールド・・・ていうか盾だけしか装備しない戦闘スタイルは無いわけではない。
はっきり言ってクソみたいな弱さであんまりお勧めできない・・・ちょっと辞めるのを勧めるくらいには微妙である。
火力は出ないし、モーション補助もほとんど効かないから扱いにくい。
アーツアビリティを使ってもダメージ出ないから本当にどうやって戦うんだといったレベル。
だから盾のみってのは今までいない。
いたとしてもすぐ違う戦い方になってしまう。
そんな盾のみプレイヤーが、こうしてロメの目から見ても注目されている・・・ふむ。気になるな。
「タワーシールド叩きつけてダメージ出すのかな。でもそれだと身体能力が・・・」
「へぇ。綺麗な子だね」
「・・・まぁアバターなんでね?」
というかこいつ多分別のゲームに影響受けてるんだろうなぁこれ。
こういう成り切りプレイヤー自体はそこそこいるんだけど、どうしてもまぁ・・・あんまり強くなれないって言うか。
戦い方と動きをロールプレイで固定する分対策されやすいんだよな。
しかもそれが盾のみ装備となると、茨の道何て生易しいくらいの難易度な気もするが。
しかしロメの奴。女の子ですよ師匠!とでもいうつもりか?
・・・いや流石に無いか。あれもあれで結構変な奴だし。
「戦闘動画は・・・流石に無いか」
「そういえば私も蒼君の動画見たかったんだけど、どこで見れるの?」
「あ、そういえば教えてなかった。公式サイトの投稿動画って欄から見れるんですよ」
「へぇ。今どき珍しいね」
「まぁ動画サイトだとそこの規約とかありますから」
なので『アークオリンピア』では独自に動画の管理を行っている。
ゲーム機器との連携も簡単なので設定さえすればワンポチで投稿できるのも良いな。
ちなみに俺の動画は結構な数が上がっている。
てか高位ランカー連中の戦いは皆対策したがるからどんどん上がるんだよな。
その中でも俺とムサシの戦いは結構人気の動画となっている・・・でも再生数一番は別なんだよな。ちょっとだけ悔しい。
「えーっとここから・・・あ!あった!」
「そんなに見たいですか俺の動画?」
「うん!蒼君ならいくらでも見れるよ!!」
「そ、そうっすか」
何だろう。微妙に恥ずかしい。
他の人には見られてもなんとも思わないのに日坂さんに見られるとなると何故だろう。
どうせならもっとかっこつけて戦えばよかったか?
・・・いや無理だわな。俺基本暴れた方が強いし。
改めて俺もサイトの方で動画を探すが、例の盾持ち少女の動画は見つからなかった。
設定で拒否設定にしているのかな。
ロメに連絡取れば一本くらい持ってそうだが・・・さてどうするか。
「・・・あれ?ねぇ蒼君」
「はい?」
「この鬼畜バーサーカーってタイトルの動画蒼君の・・・」
「それだけは絶対に見ないでください本当に」
「えっ・・・う、うん。分かった」
何というかその俺史上最も暴れたと言いますか何といいますか。
クソガキどもにお灸をすえるどころかトラウマ植え付ける結果は想定してなかったんですはい。
ま、まぁ俺がネタにされる以外は問題になってないし。むしろ運営から謝罪されたし・・・
心の中で言い訳していると、ロメからまたメッセージが来ていることに気が付く。
確認すると、会場のIDと日時が書かれていた。
「ってこれ今日じゃん。誰とやるんだ?」
いや流れ的にはさっき送られてきた注目プレイヤーの誰かの戦い何だろうけど・・・ちょっと期待してもいいかな?
「メグさん・・・メグさん?」
「・・・ん?どうしたの蒼君」
「あ、動画見てる所悪いんですけど、ちょっと見学会に行きません?」
「見学会?」
「盾の構えもある程度は出来ましたし、後は俺だけだと心もとないんで、ちょっと気分転換も兼ねて」
「なるほど。直接見るのと動画で見るのとじゃ違うもんね」
「はい。後ここで戦い見るのってスポーツ観戦みたいなところもあるんで」
「へぇ・・・私経験ないけど」
「奇遇ですね。俺もです」
じゃあ何で例えたかというとそれしか例えようが無かったからです。
指定された会場のIDにアクセス出来るコロシアムまで移動する。
そこの受付でIDを入力すると会場にワープできる。
「ここが観覧席です」
「うわぁ。本当にサッカー会場みたいなんだね」
「外周には売店もあるんですよ。何か食べましょうか」
「・・・何か、急に現実感すごいね」
「実際何かの企画でここでサッカーした連中もいますよ」
「えぇ」
マジで何でも出来るよなぁアークオリンピア。
売店でホットドッグとコーラ。メグさんはポテトとオレンジジュースを購入してから人を探す。
今回は招待制にしたのか、そいつはすぐに見つかった。
「おう。久しぶりだな文屋」
「おや?まさか本当に来るとは。珍しい事もあるものだな」
「タイミングが良かったからな。ロメの奴は?」
「そろそろ来るはずだよ。ふむ。そちらの女性は?」
「現実での俺の相棒だよ。ダンジョン関係」
「ああ。狂戦士が冒険者になったというのは本当だったのか」
「そういうこと。今丁度防御のお勉強会してたんだよ」
「なるほど。ああすまない。自己紹介が遅れてしまった。私は『文屋』。アークオリンピアでプレイヤーに纏わる記事を製作している者だ」
「メグです。今日はありがとうございます」
「ふむふむ・・・彼女は戦わない人間だね?」
「え!?」
「正解。まぁあんたなら分かるか」
「当然だとも」
『文屋』というプレイヤーは、ともすれば俺やムサシ以上に有名なプレイヤーだと言える。
彼はこのゲーム内に存在しているプレイヤーの中でも変わった遊びをしているからだ。
その遊びとは、ゲーム内での記事の作成。
各プレイヤーの戦闘スタイル、実力の品評。
イベントの広告、感想、変わったので有名プレイヤーのコラムなどをまとめた新聞みたいなものを作っている。
それは現実でもゲーム内でも自由に見れるようになっているため、戦い一辺倒な俺達に比べるとより有名なのだ。
俺も当然関りがある。
俺に面白いプレイヤーがいたら色々教えてくれたりもするしな。
そんな彼の特筆すべき点はやはりその観察眼だろう。
日坂さんが前に豊宝竜の木材の木目を見分けたりもしていたが、文屋は戦闘面において素晴らしい目を持っており。
一目見ただけで凡そそのプレイヤーがどれくらい戦えるか、どのように戦うかを見分けられる。
これは俺にもムサシにも出来ないことだから、素直に尊敬できる。
現実でも記者をやっているとかなんとかいう話だが・・・さてそこはどうなのやら。まぁ興味は無いけど。
文屋をメグさんに紹介しているとロメの奴もやってきた。
その手にはいっぱいのポップコーンやら飲み物やらが持たれていた。
「あ!師匠お久しぶりっすー」
「久しぶり・・・でもなくね?」
「この間は戦っただけじゃないっすか」
「それで十分だろ」
「うわぁ。戦闘狂流石っすね・・・ん?そっちのお姉さんはどなたっすか?」
「さっき送ったメールの相談内に関わってるな」
「あ、もしかして現実でっていう奴っすね。自分ろめるるって言いますっす。面倒なんでロメって呼んでください!」
「メグです。蒼君がいつもお世話になっております」
「・・・師匠何やったらこういう人捕まえられるんすか?」
「脅迫か」
「二人ともぶっ飛ばしてやろうか?」
「あははは・・・」
今の俺なら二人纏めて相手取っても問題なく勝てるからなぁ・・・!!
でも残念なことにその機会は来なかった。
会場にちょっとずつ人が集まり始め、ようやく戦いが始まろうとしていたからだ。
「チッ。命拾いしたな」
「全くだな」
「いやぁ。師匠相手とかマジで勘弁っすね」
「蒼君普段からこんなんなんだね」
「え・・・まぁそうですね」
割と現実と変わらないっていう。
「それで?何で今回はこんな集まりになってんだ?」
「何。君にもロメ経由で送ったあれの最新版を作りたくてね」
「ほぉ?じゃあ今回はお前のセッティングか」
「彼女達が戦いたがっているプレイヤー。または近いプレイヤーを招待したうえでね。もちろん記事にする許可は得ているとも」
「なるほど」
「普段からこういうのってしてらっしゃるんですか?」
「そうだな。特定のプレイヤーの紹介はあまり多くは無いがね」
結構人気コンテンツではあるんだよな。こいつのプレイヤー品評記事。
前には運営が公式で取り扱ったこともあるくらい、公平で面白い内容になっている。
今回戦うのは、新人からは三名が来ているらしい。
拳法少女、ウェスタンガンマン、そして盾持ち少女。
対するはマスターランクから、それぞれ似た様な戦闘スタイルのプレイヤーが呼ばれているらしい。
・・・ん?似たような?
「盾持ちで似たようなのいなくね?」
「そこは例の騎士様に頼んださ」
「あー。まぁそれしかないか。てか戦いたがったのか」
「別のゲームで考えてみると、彼女が騎士と戦うのは理解出来る事だろう」
「ほんとこのゲームいつか訴えられるだろ」
いやアバターは全然似てないし、盾は形状違うから問題ない・・・のか?
分からん。俺にはその辺は難しすぎる。
「まぁ細かいところは良いだろう。そろそろ始まるぞ」
「そうだな。最初は?」
「拳法少女からだな。中々素晴らしい腕を持っているぞ」
「相手は・・・あん?乱ベルかよ。大丈夫なのかこれ」
「強いんですか?」
「マスターランクなんでそれはまぁ・・・でも何と言うか」
「女の子に弱いんで多分ダメっすね」
「彼女は彼の強さ目的でのマッチングではないので問題は無い」
じゃあ何が目的なんだ・・・




