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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 魔法を見学する
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突然のお誘い

新章と共に暫くゲームと現実の話が混ざります

青々とした空。燦々と輝く太陽。

季節は夏。学生は涙を流してその到来を喜ぶだろう。

何せ夏休みがある。

学生期間の長期休暇は何物にも代え難いものがある。


それは俺も変わらない。

だけどちょっと・・・いやかなり困ったことも起きていた。

夏休み関係ないけど。


「どうすっかな・・・」


外がどれだけ暑くても、ゲーム内は常に快適・・・ってわけでもない。

何故か『アークオリンピア』の世界にはちゃんと四季が存在しており、それは現実とリンクしている。

その為ゲームの中にいるのに暑い。何なら熱い場所もある。

なので涼むためにはどこでもいいので室内に行かなければいけないのだ。


実際、俺の今いる部屋。

マスターランク帯のみが入れるスペースはかなり快適に過ごせるようになっている。

ゲーム内マネーを消費すればドリンクだって色々頼めるからな。

多分現実世界のかなりお高いホテルに匹敵すると思う。流石に食事は無いけど。


そんないるだけでも金がかかりそうな良い部屋で、俺はかれこれ二時間近く悩んでいた。

悩みすぎて近くに人が来たことにも気が付かないくらいに。


「なーに延々とうんうん唸ってるんですか」

「うおっ!?」

「え・・・そんな驚く程でした?」

「あー・・・何だよマナかよ」

「何だとは何ですか。無限に唸ってるから声を掛けてあげたというのに」

「ん?俺そんなに唸ってた?」

「かなり。私が数戦やってもずっと唸ってましたし」

「マジか」


そんなに声出てたのか。これはいかんな。

それにマナがこんなに近くにいたというのに気が付かないとは。

自慢じゃないが気配には敏感になってると思うんだけどなぁ。


「何にそんなに悩んでるんです?というか蒼も悩むんですね」

「馬鹿にしてらっしゃる?」


まぁ普段は割と悩みとは無縁な方だとは思うが。

悩む暇があるなら体動かしてるし。


うーむ。しかし悩みか。

こいつに相談しても・・・いやするべきか。何せ先輩だし。


何を隠そう。今俺が悩んでいるのはダンジョン関連・・・冒険者としての悩みなのだ。

とりあえず詳細は伏せて、マナにさらっと悩みを告げる。


「はい?戦闘スタイルがゲームから離れた?」

「色々あって魔法やらも手に入れてな。それがとんでもなく強いんだが」

「へぇ~。魔法良いじゃないですか。使えるんなら才能アリなんでしょ?」

「まあそこは。一応協会の人のお墨付き」

「ふむ。なら本当にしっかりと使えるタイプと。別に悩むこと無くないですか?」

「どうしてだ?」

「いや冒険者なら使える物は使いなさいよって話で」

「あー」


それはそう。

でも悩み的に言うとそうじゃないんだ。これは俺の伝え方が悪かったな。


「言い方悪かったわ。冒険者側をずらしたから悩んでるんだわ」

「はい?」

「ゲームをあっちに合わせるかって話」

「あー」


先日。初めて目撃された八本足の馬型モンスターの特殊個体。

それを倒し・・・倒し?まぁ倒しはしたか。

とにかくそのモンスターの力を鎧として受け取り、俺は魔法が使えるようになった。

それだけではなく、肉体強化など様々な強化が俺に施されている。

結果、ものすごく強くなった。豊宝竜という強大なモンスターを倒せるほどに。


だがその戦い方はゲーム内での戦い方とは全く似ていない。

魔法を使わなければ、似たような戦い方は出来る。

むしろ身体能力が上がった関係でより再現度は高まっていると言える。

しかし、それでは魔法と言う強力な力を放棄するのと同義。

それはそれで問題だよなぁとも思うわけだ。


でも俺の本来の目的。

最強プレイヤームサシを倒すのにあたって、あまり現実とゲームで戦い方が離れてしまうと問題になる。

それではダンジョンに行く意味が無くなってしまうからだ。

戦闘の経験はなんであれ積めるだろうが、可能ならば同じ戦い方で経験を積みたい。


「ふむ。ならゲームの方を変えるしか無さそうですけど」

「そこなんだよ」

「ほう」

「最近変えたばっかりなのに、それ大丈夫かってことだ」

「うーん・・・?」


マナはピンと来ていないが、要するに変更の回数が多くなることで発生する問題が悩みなのだ。

変更回数が多くなると当然その分その戦い方に慣れる時間が増える。

その時間があれば、変更前の戦い方でもっと強くなれたかもしれない。

もちろん変えた方が強くなれると判断したから変えているのは間違いないが・・・


俺は先日『赫爪』を手に入れた影響で戦い方を変えたばかり。

アビリティの構成変更。武器の能力変化。

文字に起こすと二つだけの変化だが、この二つの変化はかなーり大きい。

人によっては戦い方が180度変わってしまうほどに。


そしてもう一つ問題がある。


「ムサシに魔法があんまり効かないっていうものすごくデカい問題もあるしさ」

「あー・・・」


これは俺よりマナの方が実感あるだろう。

何せ魔法をよく斬られている張本人みたいなところあるし。


「お前みたいに拘束系使えれば良かったんだけどなぁ」

「出来ないんですか?」

「出来ない。いや魔法の内容的には出来るっぽいんだけど・・・」


俺は魔法の才能がある。これは自他ともに認める事実である。

だがその魔法の才能は完璧なものではなかった。

補助系・・・特に相手を拘束する魔法に関しては一切使えなかったのだ。

俺の魔法的に言うなら、相手を魔法で拘束しようとすると魔法が消えてしまう。

何故か攻撃のみの使用しか出来ないというまさかの欠点があったのだ。


「いくつかアーツの再現は出来たんだけどな・・・」

「ふむふむ・・・ふむ?再現?」

「おう。『ランソルブブレイド』とか」

「マジで言ってんのかこいつ」

「あん?」

「他のプレイヤーが聞いたらとんでもないことになると思いますよ?」

「そうかぁ?」


やってみた感じ、そこまで難しいとは思わなかったけど。

だから他の冒険者が既に再現はある程度やってるものだと思っていた。

しかしマナ曰く、それは大間違いらしく。


「まず再現に必要な身体能力が足りないですし」

「は?そんなのレベルで・・・あ、俺スキル持ってるわ」

「そういうことですよ」


言われてみればそうだ。

俺の今の身体能力はスキルありきだった。

他の冒険者は俺の様に強化スキルを全員が持っているわけではないから、俺よりずっと能力が低いんだった。

そら再現できないわ。


「あと魔法もそこまで汎用性の高い物を持ってる人いないですよ」

「何だっけ。使える魔法がそもそも限られてるんだっけか?」

「はい。私が持ってるので言うと、風の魔法は竜巻しか出せないですし」


ダンジョンで手に入る魔法は大きく分けて二つある。

一つは属性魔法。俺の持つ闇魔法がそれにあたる。

ようするにその属性を使うものなら才能次第で何でもできるっていう魔法だ。


二つ目は限定魔法。

マナの言った竜巻を生み出すだけの魔法とかがそれにあたる。

これは大きな範囲で見れば『風魔法』になる。

だが竜巻を生み出せても他の事が出来ない。

風の刃を作ったり、風の盾で防御とかも出来ない。あくまでも竜巻のみ。非常に限定された魔法だ。


この二つで比べると、魔法を持っている冒険者の魔法のほとんどは後者にあたる。


だから魔法を使ってアーツアビリティの再現が難しい。

何せ魔法を使っても出来ることが限られているから。


「もちろんいくつかは再現されてるものもありますよ?でも蒼ちゃん程とは・・・ねぇ?」

「なーるほどねー」


うーむ。そんなことになっていたのか。


「とりあえず見たいんで動画とか上げてもらえます?」

「欲求に素直過ぎだろ」

「いやぁ。蒼が再現できたっていうならそれなりにちゃんと威力とかもありそうですし・・・実際モンスター相手に使いました?」

「豊宝竜に使った」

「ん?・・・ああ、そういえば」

「そういえば?」

「いえいえ何でもないですよ。というか話それてますね」

「あ」


そういやそうだった。現実とゲームでの戦い方の話だったな。


ゲームでも現実の戦い方を再現することは可能だ。

だが構成アビリティのコストやら何やらでどうしても近接戦闘能力が落ちる可能性が高い。

上手くいけば魔法でそこを補えるかもしれないが、その手間と時間が掛かりすぎるなら、変更なしでやった方が良い。

だがそうすると折角手に入れた現実での力が無駄になる。

何より俺に力を託してくれたあいつに対して申し訳なくなってしまう。


何とか良い具合に妥協点があればいいのだが・・・


また袋小路に入った気がする。

天を仰いで、今度は自覚アリで唸っているとマナが何やら妙案があるとばかりにこう言ってきた。


「思ったんですけど」

「はい」

「蒼って実際自分以外の魔法使いは見たことありますか?」

「え?・・・そういや無いわ」

「やっぱり。多分あれですよね?一番の悩みは近接戦と魔法が相性悪いってところですよね?」

「まぁ簡単に言えばそうなるのかな?」

「だったら話は簡単ですよ。見てみましょう」

「は?」

「明日の・・・お昼くらいって時間あります?」

「まぁ夏休みだし。元々明日はダンジョン行く予定だったけど」


もちろん日坂さんと一緒にだ。

ただ俺が戦闘スタイルで悩んでいるので二十六層には挑んでいない。

挑もうとしてこの問題を思いついてしまったので行けなかったのだ。


元々俺が下に行きたがってるだけなので日坂さん的には何の問題も無いのが良かった。

どれだけ悩んでも良いですよと言われたのもな。


しかしなぜ明日の予定・・・いや。大体想像できるなこれ。


「お前がいるダンジョンと俺のいるところ同じじゃないだろ確か」

「まぁそうですね」

「てかそもそも具体的なダンジョン教えてないんだけど」

「ああいや。それは大分前から知ってるので」

「は?」

「まぁオフ会って事で楽しみにしてるといいですよ・・・ふっふっふ」

「うっわこわ」


この恐怖はあれだ。初めて行くオフ会の時以来の恐怖だ。

その時は普通に寝坊したけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] バーサーカーといえば魔法?何それおいしいの?って感じで 武器のみで暴れまわるのが一般的ですよね… それでも近接攻撃キャラが魔法使うなら自己バフ系や属性付与とかですかね?なんとなく
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