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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 鎧を得る
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決着

二十層に討伐チームが到着し、初めに驚いたのは階層全体が夜の闇に覆われていたことだ。


「これは・・・」

「驚いたな。環境に食い込むタイプか」

「ちょ、これ不味くないっすか?」


特殊個体の強さは上から下までの範囲はとても広い。

その中でも上位の強さを持つモンスターは、ダンジョンの環境を大きく変えてしまうことがある。

本来ならば真昼の様な明るさと太陽が輝いているはずの二十層。

それが夜になってしまっているということは、今回の特殊個体が上位の強さを持っていることの証明だった。


彼らがそれに驚いた直後、背後から着いてきていた四人も二十層の中を見ることが出来ていた。


「よ、よる・・・?」

「あ、ありえません。こんなことが」

「戸村・・・」


松来は突如として現れた暗闇を恐れ、

小鳥遊はその夜が本来はあり得ないことだと分かってしまう。

遠島はそれらを受けて、本当に彼が不味い状況にあると理解してしまった。

思わず足が前に出るが、それは日坂に止められる。


「日坂さん・・・」

「・・・」


協会所属の冒険者として、何度も死線を潜り抜けていた者達ですらうっすらと額に汗をかいている。

その中で、一人日坂だけは冷静だった。

冷静に、遠くの何かをしっかりと見ていた。


「・・・」

「・・・日坂さん?」


その様子がおかしいことに、すぐ背後にいた遠島が気が付く。

肩を揺さぶるが全く反応しない。

何を見ているのか、遠島が日坂と同じ方向を向く。


すると。


「・・・」

「・・・は?」

「ちょ?まひるっち?日坂さん?」

「どうかしたのですか?」

「・・・え、ん?んんん????」


遠島は、遠くに何かを見つけた。

そしてそれを見つけた瞬間に、誰が何をしているか理解した。

理解した瞬間、心がそれを拒んだ。

決してマイナス方向に拒んだのではなく、ちょっと何してるのか理解できなかったという方向性で。


「日坂さん。どうも状況が・・・どうしたんですこれ」

「ギャグマンガみたいな固まりかたしてるっすね」

「何があった」

「い、いや」

「私たちも何も・・・あちらに何かあるみたいなのですが」

「あっち?・・・え」

「うわぁ」

「・・・」(絶句


松来と小鳥遊がそれを見つけられないのは、単純にレベルの差だ。

偶々遠島のレベルが二人より一つだけ上だったために、見える範囲に少しだけ差が生まれていた。

その差が今の状況を作り出していた。


そして何も見えない二人からすると、一体何が起こっているのかさっぱり見当もつかない。


「あーもう!二人とも説明してって!」

「ひゃ!?」

「うにゃ!?」


固まったままでいる遠島と日坂に業を煮やしたのか。

松来が二人の脇に手を入れる。

突然の感覚に思わず変な声が出る二人だが、それが切っ掛けでこちらへと戻って来た。


「ちょ、いきなりなにすんの!」

「二人が固まるからじゃん!」

「え?固まってた?私?」

「うん。何なら大人三人も固まってる」

「・・・あ、本当だ。いやでもあれは・・・うん」

「だーかーらー!」

「何があったか説明してほしいのですが・・・」

「うん?二人はあれ、見えてないの?」

「暗くて分からない!」

「私もです」

「そっか・・・えっと、その。嘘じゃないからね?」

「いいから早く!」

「あはい・・・戸村がロデオしてる」

「・・・?」

「・・・どこかで頭打ちましたか」

「そうなるよね分かってたよ!!??」


暗闇の先で、何やら大きく動く一人と一頭。

二つを覆うような紫の光のおかげで、闇の中でも彼らを遠くから見ることが出来るのだ。


問題は彼らが今現在している行為だ。

馬に跨る人間と、それを振り落とそうとする馬。

他にも馬の脚が八本あるとか、寒気すら覚える鎧を纏っているとかいろいろある。

だがそんなことが目に入らないくらいの光景だった。


「・・・なにしてるのぉ」


思わず日坂が膝から崩れ落ちる。


今まで落ち着ているように見えた日坂。

だが一応言うと、内心ではずっと彼の事を心配していた。

彼が残るのを許したのも、それが彼の心からの望みであると分かっていたから。

彼女自信がどれだけ心配しても、彼女だけは彼の頼みを断れない。

もちろん無謀であったり、やってはいけないことならば彼女も止めている。

しかしダンジョンの性質上上に上がるのが簡単である事、

既に一度別チームと戦闘しており手負いであること。

この二つの要素から、逃げることは可能だと判断したからこそ残ることを許したのだ。


それでもやはり心配はなくならない。

戸村の託された同級生もいる為、顔には出さなかったが心の中ではずっと彼の無事を祈っていた。


だけどこれは無いだろう。

戸村君は私の想像の斜め上を行くよね。と、彼女は後日千尋にそうぼやいていた。





そんなことを考えられているとは知らず、

戸村とモンスターの戦い(ロデオ)は佳境に入っていた。

互いにスタミナがそろそろ切れようとしているのだ。


モンスターはいまだに暴れているし、それに捕まっている戸村の顔には笑顔が浮かんでいる。

傍目から見れば、まだまだ余裕がありそうにも見える。

だが彼らの中では、両者ともに限界を超えつつあった。




















「ダァライ!!!」

「■■■!!!」


声を出すだけでもかなりキツイ。

これ以上こいつにしがみつくのは無理だ。


そうは思うが、何故か腕は奴から離れない。


奴も既に体力何て底をついているはずだ。

これ以上暴れても、俺が落ちることは無いだろう。


だが不思議と、奴は動きを止める様子が無い。



いや。分かっているのだ。もはやこれは戦いではない。

ただの根競べだ。


「おっとー!」


後ろ脚が大きく跳ね上がり、俺の体が一瞬宙に浮く。

だがその分前足に力がない。

それを見て首にしがみつくようにして体を奴に引き寄せる。


こんな動きももう何度も繰り返している。

一体いつになったら終わるのか。


急に走り出しては止まったり、跳ねては落ちる。


しがみついてふんばって、時には態と浮いて衝撃を逃がしてからまた腰に跨る。


無限にも思えるこの時間。

戦いではなく、ただの意地と意地のぶつかり合い。


はて、俺はいったい何をしているんだ?


そう考えたのが良くなかった。


「あ?」


俺の意思とは裏腹に、体が横に倒れる。

腕が首元から離れて地面に落ちる。


「・・・限界か」


ああやってしまった。まさか途中でそんなことを考えてしまうとは。

戦いでも何でも、集中力が切れるのは一瞬だ。

だからこそ、何かをする時は余計なことを考えてはいけない。それは分かっていただろうに。


これでは俺の負けだ。戦いとは言えない何かだったが、確実に俺の負け。

そう思ったのだが。


「・・・ブルル」

「・・・クッハ。んだ。お前もかよ」


どうも、あちらも俺と同じ状態らしい。

俺の背中の傍で、あの巨体が倒れ込んでいることに気が付く。


俺が背から落ちた瞬間、奴も倒れていたらしい。

体力を使い切ったせいか、ダンジョン内が徐々に明るくなってきている。

この暗闇がこいつの力だったとすれば、こいつが倒れれば晴れるのは当然。


だが成程・・・これは・・・


「戸村さん!」

「あ・・・?」


遠くから誰かの声が聞こえる。

顔だけ向けると、そこには桜木さんたちがいた。装備の感じから見るに、どうもこいつを殺しに来たらしい。


それは・・・それはいかんなぁ。


ふと体が動くことに気が付く。

文字通り全部絞り切ったと思ったんだがなぁ。


「んなっ!?」

「まだ立てるのか!」


桜木さんと佐々木さんの視線は俺ではなく俺の後ろに注がれている。


だよな。お前もそれは嫌だよな。


「すまんな。付き合ってもらうぞ」

「■■」


何を言っているのかは分からない。

だが不思議と、意味だけは理解できた。


『赫爪』の爪を最も切れ味が良く使いやすい大きさで固定する


額に魔力が集中し、欠けることのない刃を形成する。


「まさかあの二人・・・!」

「ッ!!??離れてください二人とも!!」

「村田!」

「あれに近づいたら二人が斬られるっす!?」


誰かの声で、二人の動きが止まる。ありがたい。好都合だ。

さぁ。幕引きといこう。


一瞬だけ、視線が交わる。

次の瞬間、二つの影が交差する。


最後に立っていたのは・・・

次回で完全に特殊個体との戦いが終わります

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― 新着の感想 ―
[良い点] 敵カッコ良すぎるぅ 装備はやっぱ武器付きの鎧かな? 攻撃を受けると状態異常・盲目とかかな? 闇に溶けるとかでも強そうだけど
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