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電脳狂戦士 現代ダンジョンに挑む  作者: saikasyuu
電脳狂戦士 強敵と共に
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電脳の闘技場

冒険者となり、日坂巡という女性とチームを組んで。

まさに俺の冒険者活動は順調といえるだろう。

だけどそればっかりやってればいいというわけではない。


「そんなわけで、久しぶりに休みます」

「・・・あ!ゲームの方で戦うんだね?」

「また一瞬風邪を疑ったでしょ?」

「・・・」


この日、日坂さんの頬が若干赤かったのは言うまでもないだろう。















冒険者になって、プロとして活動するようになってから土日はずっと、平日でも基本的に休みなくダンジョンへと行っていた。

だけどその間にゲームをしてなかったかというとそうでもない。


そもそも俺の目標がゲームの中でしか叶えられない都合上、ここを無視するわけにはいかない。

まだゲームと現実の体の性能は全然違うから、感覚を忘れないためにもって意味でも欠かすことが出来ない。

それでもやっぱりログイン時間は減ってしまっている。

だからどこかでしっかりと時間を取りたいなーとは考えていたのだ。


それを日坂さんに伝えたところ、快く送り出された。

お母さんの方も治療が終わり、もう少し経過を観察したら退院出来るらしいのだ。

その為日坂さんとしても久しぶりにゆっくりとする時間が欲しかったそうだ。

お金の面もまぁかなり頑張ったからしばらく余裕があるしな。

特に手に入れた魔道具が思っていたより高額で買い取りをしてもらったのが大きい。


「さてと・・・つっても何するかね」


現在休日のリアル早朝。

そのせいかゲーム内に人が少ない。


【アークオリンピア】では、中心にコロセウムがある街【バルバリア】という街でゲームが進行する。

バルバリアは世界中から腕自慢が集まる、まさに戦う者の街。

コロセウム内で開催される大会に参加して、世界一の称号を目指せ!・・・ってのがゲームのメインだ。


他にも街中で住人の悩みを解決するクエストや、街の外で装備の為のあれこれを集めるなんてのもある。

だけど基本的にはPvPコンテンツがメインとなっている。

出来ることのわりにそこだけはちょっと特殊なのかもしれない。


人がいないというのは、この街の中心部の話だ。

いつもならここで対戦相手を募集したり、雑談に興じたりすんだが・・・


「おい。あれってもしかして・・・」

「間違いないぜ。ランキング二位の【狂戦士】だ」

「最近あんまり見なくなったけど、やっぱり・・・」

「おい指さすなって、バレたら引き裂かれるって」


何を引き裂くんだろうか俺は・・・


まぁこんな感じで、避けられている。

俺はゲーム内最高ランクのマスターランク。それもレートランキングの二位。

多くのプレイヤーから見て、俺という存在は格上。戦おうとも思えない程である。

つまりはビビられてる。知り合いが誰もいないというのも相まって余計に。


「これじゃあ張り切って来た意味ないか?」


久しぶりに時間を取ってやると意気込んだらこれだ。

思い出してみるといつもこんな時間に入ってこないし。


アーサーもマナも基本的にはこの時間にはログインしていない。

あいつら普通に働いてるらしいし、冒険者として活動しているなら健康の為にこの時間にはいないだろう。

他にもゲーム内には知り合いはいるが、そいつらだって基本的にゲームにいる時間じゃな


「いたぁぁぁぁぁ!!」

「・・・スゥ」


聞き覚えのある声が聞こえて、思わず天を仰いでしまった。

いやうん。知り合いいないかなーとは思った。確かに思った。

だけどよりにもよってこいつとは・・・


「見つけましたよししょぉぉぉ「ガキは寝てろ!!」ほあべん!?」


ベンチに座る俺に背後から近づく。いや、突進してくる子供。

日坂さんと違って本当に子供らしいそいつの顔面に拳を全力で振りぬく。

当たる寸前にセーフティエリア内の安全機能が働いて拳は直接は当たらないが、勢いは止まらないので子供が回りながら吹き飛ぶ。


相変わらずギャグみたいな動きしやがって・・・


「んーでこんな時間に起きてんだクソガキ」

「早寝、早起き、早ご飯!!」

「朝ご飯だろうが間抜け」

「あれ?そうでしたっけ???」


こいつは俺の事を師匠と呼ぶが、断じて弟子に取った覚えは無い。

だがこいつが毎度毎度大声で叫ぶもんだから周りからはそう認識されている。

なのでこいつはランカーでもマスターランクでもないのに二つ名がある。というかあだ名か。


【狂師の弟子】

何故かこいつ自身はそれを気に入っているが・・・


「んで?なんの用だアホ」

「ひどいっす・・・自分アホじゃなくて【ろめろる】って名前なのに」

「言いづれぇ」

「わかるっす」

「ぶっ飛ばすぞ?」


俺も含めて、周囲の人間は【ロメ】と呼んでいる。何故自分でも言いづらい名前にしたのか。


「そんでマジで何の用だよ・・・無いならログアウトしたいんだが」

「あーあー!!師匠今対戦相手探してたっすよね?誰もいないから帰ろうとしてた的な??」

「そうだな。いや本当に誰もいねぇ」

「まぁ普通師匠と戦いたい物好きいないっすよ」

「お前が俺をどう思ってるのかよくわかったわ」


さてログアウトログアウト・・・


俺がログアウトの動作を本気でやっているのを見て、ようやくロメは用件を話すつもりになったらしい。


「マジで!マジでストップっす!!」

「はいはい分かったから」

「戦ってほしいだけなんすよ~」

「はいはい・・・は?マジで言ってる?」

「マジっす」


ロメのランクは現在ダイヤ。つまりマスター一歩手前まで来ているのだ。

これはゲーム全体で見ても上位に入るということを示している。

だけどそれが俺たちと戦えるかということにはならない。

マスターとダイヤには、ランクの差は一つだがそれ以上に大きな壁が存在している。

それを超えられると、案外あっさりマスターまで来れたりする。


俺の感覚では、まだこいつがそれを超えた感じはしない。

だがそれでも俺に戦いを挑むということは・・・


「制限系?」

「いやマジマジでやってほしいっす」

「正気か?」

「こっちはいつでもマジっす」


うーんこのショタ。ついに気でも狂ったか?

対戦でも負ければ当然レートは下がる。内部レートではあるが。

内部レートが下がれば、当然レート戦以外で弱いプレイヤーと戦うことが多くなり経験にならない。

そして俺とこいつの勝率は俺の100%勝利。負けたことが無い。

それでも俺に挑んでくるというからには・・・うーん。何かある感じか。


良いね。ちょっと気になってきた。


「お、釣れたっすね」

「良いぜ。やろうか」

「よっしゃー!!」


そういえば久しぶりか?こいつと戦うのって。



場所を移して、コロセウム内。

受付に行って対戦を伝えるとそれだけで一気にそこまで行ける。


今回のルールはシンプル。

相手のHPを削り切った方が勝ち。それだけで制限は一切ない。

場合によってはこれにエリア制限だったり、遠距離攻撃禁止とかも出来る。


「お待たせしたっスー」

「良いから来い・・・!」

「うっひょー。マジで全力だ・・・」


ロメの戦闘スタイルは、桜木さんに似ている。

腰に付けた忍者刀二振りがメインウェポン。他にも体のあちこちに仕込んだ苦無を投げてくることもある。

要するに忍者スタイル。高速機動で撹乱し、削り切る戦法だ。

この戦い方は本人の動体視力と撹乱する感覚が無いと難しい戦い方で、比較的難易度が高い。

俺と出会ったときには既にそのスタイルだったから、こいつが自身で見つけたのだろう。

その時点で十分才能はあるんだが・・・浮き沈みが激しく安定しない。

それがこいつがダイヤランクで止まってる最大の理由だったりするんだけどな。

何度言っても治んないから諦めたわ。


「ってあれ?師匠装備変えたんすか?」

「ん?ああ、ちょっと思うところがあってな」

「おー。そういえば冒険者になったとか聞いたっすけど。それっすか?」

「そうだよ。まぁ安心しろ」

「???」


ロメの言う通り、俺は現在前とは装備が違う。

拳とかぎ爪の複合武器であることは変わりないが、その爪のサイズが違う。

今までは巨大な獣やドラゴンの爪かと言わんばかりの巨大な物を装備していたが、それが小さくなっている。

だけどただ小さくなったわけじゃない。


右手の爪だけを巨大化して見せる。

すると驚いたような顔をして、次にロメは嫌そうな顔になった。

気が付いたか、これの厄介さに。


「うっへ・・・間合いの変化は反則っすよ・・・」

「お前も出来るだろそれくらい」

「いやあれ結構難しいと思うんすけど」


俺の今の装備は俺の意思一つでサイズが変わる。

爪の刃は長くなるし、太さも変わる。

これ、何か見覚えがあると思うだろう?


そう、これは現実で俺が使っている【赫爪】を参考にしているのだ。

先日、日坂さんと共に潜った十七層での戦い。

鎧蜘蛛に追い詰められた事で使えるようになった刃の伸縮。

その後に何度か使い心地を試していて、思ったことがあるのだ。


あれ、これゲームの爪より強くね?・・・と。


なのでその日にゲームにログインして、すぐに武器を変更した。

その為のリソースはちょっと大きかったが、幸い問題無い範囲ではあったのが良かった。


この武器のメリットは、相手に間合いを分からせないところだ。

不用意に距離を取ったりしたら刃を伸ばして反撃できる。

対してデメリットは、使う際に俺が間合いを気を付けないといけないところだ。

一歩間違えたらただ空振りして隙を晒すとか、逆に伸ばしすぎて使いづらいとかになりかねないという問題を抱えている。

そこは俺が使い込んで覚えるしかないだろう。現実でも似たようなことが出来る分、既にある程度使えはするが。


「まぁお前相手ならデカくするけど」

「どうして・・・」

「お前に主導権握られると面倒だからな」


武器が変わったと言えど、俺の戦い方自体はさほど変わらない。使える手札が増えた程度だ。


ロメの戦い方と考えると、基本的に攻撃力と防御力でゴリ押しする俺は相性が良いと言える。

つまり態々武器を小さくして攻撃力を低くする意味は無い。


「さぁ・・・掛かってこい!」

「チクショウいってやるっす!!」

「お前が挑んできたんだろうが!!」


五分後、コロセウムの床に埋め込まれた哀れな忍者がいたとか。

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