変貌の宴(超短編)
私は変わりたい。あの子のいう通りにすれば、かわれるのだろうか。あの子はいった。{ああ、もちろんさ。ぼくをしんじてよ}
あの子は、笑いながら言った。
これは、アノ時の話。
私が君に出会う前の話さ。さて、少し昔話に付き合ってもらおう。
{今の君の立場をわかっているよね。もちろん拒否すれば・・・・。}
びくびくとおびえているお前を見ながら、私は話し始める。私の半生を。
私はいわくつきの田舎に生まれた。え何がいわくつきだって、私が生まれる前の年、この田舎を支配
めていた貴族様が沢山殺人を行っていることがばれ、首を刎ねられたんだ。その館は私が生まれた家の
近くだった。私の家族はとても貧乏な農家で、いわくつきの場所の近くの家を買わなければ、路上生活
をしなければならないほどだった。おなかの中に赤ちゃんである私がいると考えたお父さんが頑張って
買ったの。頑張ったといっても、トランプで遊んで儲けたお金らしいけど。どんなお金でも私は、うれ
しかったわ。だって、中世ロンドンのように路上で生まれるよりはましだもの。恵まれた幼少期だった
わ。そうそう、あの子とであったのはこのころだった。
貧乏な家柄だったから、私は農作業の手伝いをしてたの。学校にも通わずにね。貧民に人権が無かった時代だったから、当たり前だったわ。わたしがあなたの国でいう成人と呼ばれるくらいになったころかしら。あるときね、私の暮らしている村を支配めている領主様のご子息様がね、結婚相手を探しに私の村を訪れたの。このころには、あの事件の余韻も消えていたから、私より綺麗で若い娘はいっぱいいたわ。でもね、彼は私を選んだの。とてもうれしかったわ。そうして、私は旦那様の相手となって幸せに暮らしていたの。
あの事があるまではね。
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領主の妻として、作法や礼儀を覚えているあるときのことだった。いつものように広い食卓でね、旦那様を待っていたわ。
でも彼は、来なかったわ。しびれを切らして私のメイドさんを呼んでみたわ。でも彼女も来なかった。その日はしょうがなく一人で食事をしたわ。次の日の朝、お母さまが私に言ったの
【オマエハアノコニリヨウサレタンダヨ。
アノコハ、アンタノメシツカイトオサナナジミダッタノサ。オマエハアイサレルコトハナイヨ】。
この時初めて、人の声が機械のように聞こえたわ。
私は旦那様に合う時も、彼女の信じられない言葉が脳内に響いた。そうか、私は彼になんとも思ってもらってないんだ。私には何が足りないのだろう。この日以降、私は部屋に閉じこもるようになった。
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この数日間、もちろん別れることも考えたけど、この家から大量の援助を受けている状態の今、私が別れると言ったら、また昔のように貧乏暮らしをしないといけないだろう。その状態に戻った時、私の家族は生きていけるのか、親に勘当されないかとかいろいろなしがらみが思いつきそのことを考えることさえやめた。閉じこもり続けたある日のこと、私は突然屋敷を追い出された。理由は、旦那様と彼女が正式に結婚したからだった。
変貌
屋敷を追い出され、送り出された場所はあのいわくつきの屋敷だった。両親は、結婚が決まった瞬間、都会に引っ越したのでこの田舎にはもういない。一応、口封じのためか使用人が数名いるが、彼女たちと話しても本家の悪口ばかりで心が落ち着かない。ただ昔から、私を支えてくれているあの子だけは、私
の話を真剣に聞いてくれた。
「ねえ、どうして彼は私と結婚したはずなのに彼女を選んだの。」
私は苦しみを濁らせ、甘えたような声できいた。すると、あの子は笑顔でこう言った。
きみにはね、わかさが足りなかったんだよ。そうもっと言えば、美が足りないんだよ}。
その言葉を聞いて、数日間の悩みがすっときえた。そうか私には美しさが足りなかったんだ。でもどうやって美を手に入れるんだろうか。そう思ったとき、あの子は言った。
{わかいひとのちをのめば、おまえはわかくなれる、さらにそいつがうつくしければ、うつくしくなれるさ。}あの子はそう言って消えていった。
次の日から私は行動に移した。この田舎の地形は、知り尽くしている。私の家があった場所は、空き家となっているらしい私はそこを拠点とした。私は手始めに近所の娘を食らった。彼女は、私の妹みたいな存在だったが
、食べることにためらいはなかった。なぜなら、彼女は美しかったからだ。私は彼女の川をそぎ、肉塊にし、残っていたキッチンで軽くゆで、ワインとリンゴ酢を使って香りづけをし、昔なじみの猟師さんからいただいた料理として館に持ち帰った。突然、館を抜け出していたので、使用人の一人に怒られたが、どうやら、田舎に住んでいる人たちには、痴話げんか中と噂を流しているらしいので、許可さえもらえば、いつでも館の外に出ていいということだった。館の人たちに料理を渡し
一緒に食卓を囲んだ。その肉は大変おいしかった。少し若返ったような気がした。
次の日、ふと我に返った、これでは血の後始末ができてないし、骨も残ったままだ、このままではばれてしまうのではと。少しパニックに落ちっていると、あの子が現れ、こういった。
≪だいじょうぶだよ。わたしが夜のうちにしまつしておいたからさ≫とあの子は近くでいった。
私は一週間に一度、喰らう作業を続けた。
三回目の時、田舎に噂が流れ始めた。
〔この田舎には、人に化けたオオカミがいて夜な夜な人を喰らってるんだ。
噂によるとよ、黒くて汚らしくよれよれの服を着た奴が、墓場に骨を持っていくのを見たと。〕
どうやら私が犯人だとばれていないようでひとまず安心したが、その者は誰なんだろう、あの子じゃないでしょうしと思った。
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どうやら、使用人たちも私の持ってくる肉にはまったらしい。最近では、猟師を紹介しろとしつこく聞いてくるのだ。私は、返答に困りながらどうすべきか考えた。するとあの子は
≪真実を話しな、俺がどうにかするさ。安心しな。≫
とある昼下がり私は、あの子が言ったように人を集めて私は話した。
「皆さんが食した料理は、人肉料理です。皆さんは、私と同罪なのです。どうですか、皆さんその肉を食べたおかげで、若返ったでしょう。そうかんじませんか?」。
皆の目つきがおかしい、喜ぶと思っていたのに、なぜかにらみつけられていた。その視線は、私のバラのアクセサリーをいともたやすく粉々にするぐらい鋭い。私はどうしたらいいのかわからずに目を閉じた。そうしたらあの子が、
≪君にはまだ少し早かったみたいだね。僕が代わりにやっておくよ。ゆっくりお休み。≫
どれほどの時間がたったのだろうか、私はいつものベッドで目を覚ました。
いつもお世話をしない使用人が、ベッドのそばに立って言った。
〈おはようございます。お嬢様。よく眠れましたか、お嬢様が用意した食材を使い今晩の料理を準備させていただきました。ではいつもの食卓へ来てくださいね。〉
この屋敷で、こんなに丁寧な扱いを受けたのは初めてだったのでとてもうれしく思った。
食卓へ着き、いつも通りの席に座る。
〔お嬢様、お食事を持ってまいりました。以前、お嬢様が持って帰ってきたものに比べて、見劣りする出来だと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。〕
私は一すくい、出された料理を口に運ぶ。
その料理は、何かの肉を使った。辛みのある料理だった。味付けは、ハーブとニンニク、トウガラシに珍しい魚醤油というものだろうか、どれも肉のうまみを引き立てた。その肉を一口食べれば、若返ったように思える。これは何の肉か、使用人に尋ねると、彼女は笑いながらこう言った。
〔執事さんと庭師さんだったものの肉ですよ。〕
その言葉で私は気づいた、あの子がやった黙らせる方法を。その方法は、力の強いものから喰らい、恐怖でねじ伏せたのではないかと。あの子にこのことを尋ねても何も答えなかった。これを機に、私は気に食わないものから喰らっていった。
救済
私はまず、私を捨てた夫らしきものから喰らうことにした。夫を婚姻関係の解消の話で、屋敷に呼び出し、毒入りのスープを飲ませ始末した。夫だけを呼んだのに、あの泥棒猫までついてきたのでついでに、鉈で刺して喰らった。二人の肉は、干し肉にして食べることにした。これで私の復讐は終わった。私は何のために、喰らっていたのか、もう思い出せなくなっていた。
数日後、夫婦が帰って来ないことを怪しんだ。お母さまが屋敷に来たが、バレルと思って、ノコギリで喰らった。次の日は、いつも遊び惚けていて、妻の心配などしないお父様が屋敷に来ていろいろ探し回っていたので、視覚を奪い、喰らった。
ある日のこと、どうやら屋敷の中に密告者がいたらしく、王都から処刑人がやってきた。
私は、屈強な兵士たちに捕らえられ、その場で首をはねられたけれど痛いとも思わなかった。
そうして、私は喰らわれた。
吸収
目が覚めると、私はいつもの町の風景を見ていた。あれ、私喰らわれたんじゃなかったっけと思いながら、体を動かそうとした。しかし、体は動かなかった。なのに、景色は動き回り、私のお屋敷の中に向かう。私の首と胴体の肉をはぎ取り、鍋に入れている。そうした光景をみて、とても驚いていると、後ろからあの子の声がした。振り返ると、殺人をしたとされている伯爵様の姿が見えた。
【おや、驚いているようだね。僕は、君を支えていた。あの子だよ。】
あの子は、もっと幼くかわいらしい恰好をしていたはずだ。
【恰好が違うと君は思っているね。あれは、僕が女の子のような服装をするのが好きな貴族だったからさ。そして、私も君と同じ美をもとめたものだった者だよ。しかし、魂は真実を写すらしい、こんなみにくい姿、私ではないのに。】
男は涙ながらに言った。しかし、疑問が一つあるなぜ、私は死んだはずなのに生きてるものの視点で、ものを見ることができるのか不思議だと思っていると、泣いていた男はニヤッと笑いながら、私に答えた。
【それはだな、私の魂と君の魂が融合して一つのものになったからだよ。】
私はその言葉の意味が理解できずに口をあけたまま立っているという、お母さまに大怒られするような状態になっていた。
男が言うには、取りつかれていた期間が長く、魂が合体してしまったんだろうということだった。こうして、私と彼は永き年を生きた。
終わらぬ宴
これが私の人生さ、どうだね君。
【美を求めてみないかね、数百年あの子と共に美を求めてきたんだ。】
≪ほら私たち、美しいでしょう。≫
この文面を見た人へ、次に取りつかれる人は、あなたです。断ってもいいですが、命の保証はありません。
よろしいですね。
ご覧いただきありがとうございます。初めまして宍粟 譲二と申します。寒かったり、熱くなったり変な気候の季節ですね。植物を育てているのですが、ニンジンだけが元気に育っていてそれ以外の植物は全部枯れてしまいました。品種によって違うかもしれませんが、ニンジンってもしかしたら寒暖差に強いのかもしれません。
文章を書くのはとても苦手ですが、1つの挑戦として投稿していきたいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
では、また会えることを楽しみにしております。