素晴らしい一日
温かい風に包まれると涙が出そうになったので、プンプンは目を閉じました。
・・・今日はひとまずそれでいいでしょう。
おやすみ、プンプン。
(~おやすみプンプン6巻 P198より~)
土曜日。
とても体調が悪かった。
鉛のように体が重かった。
その日は、帰宅したあとの事を覚えていない。
その夜、夢を見た。
目の前には年老いたライオン。
空を飛びたいとお願いされた。
どこへ行くつもりなのか聞いてみたら、くじら座のタウ星にある惑星まで行きたいらしい。
距離にして地球から12光年ぐらいか。
耳から水素を入れていく。
老ライオンの顔がまるで風船のように膨らんでいき、空高く舞い上がる。
どんどん高く舞い上がり、やがて老ライオンは見えなくなってしまった。
目の前には、使い古した暗闇が永遠に広がっていた。
破裂音。
不思議に思ってしばらく見上げていたら、ちろりちろりと流れ星。
それらはやがてバラバラと落ちてきて、激しい雨のように降ってきた。
僕は取り返しのつかないことをしてしまったと思って、何だか哀しくなった。
動くこともできずに、ただただじっとそこに佇んでいた。
夢から覚めたら、明け方だった。
どうやら寝てしまったらしい。
さてさて、楽しい日曜日の始まりだ。
テレビをつけたら何かがおかしい。
休日特有の、ゆるくソワソワした感じがない。
・・・。
体の節々が痛く重い。
どうやらあの日のあと、高熱が出てで寝込んでいたらしい。
つけたばかりのテレビの中には、堅い雰囲気のおじさんがいた。
おじさんは、神妙な表情でいう。
5時台のニュースです。
このやり場のない怒りをどこにぶつけようか。
ああそうか。
そういうことか。
きっとこれは夢なんだ。
きっとテレビの中から、この世の不幸をかき集めた、どす黒い液体が染み出してくるんだ。
そして、それは少しずつ僕の体を染めていくんだ。
あとちょっとしたら、神様が出てきてこう言うに違いない。
「おはようプンプン」って。
しばらくぼんやりしていたけど、神様が出てくる気配もなければ、自分の中の何かが目覚めることもなかった。
今日は月曜日。
辺りはしんと静まり返っている。
また素晴らしい1日が始まるのか。