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3話

目覚ましが鳴り、起きて、テレビを見ると今日は19日であり、覚えている限りは1度体験した19日と朝の光景は同じだった。

繰り返しているということは気にせずにいつも通り学校へ行く準備して結衣を迎えに行った。

昨日は練習のつもりだったが初デートとなってしまい、結衣には不甲斐ないとこを見せてしまったのでゆとりのあるところを見せようと思い、気持ち早めに家を出た。


「おはよう」「お待たせ、おはよ~」そんないつも通り挨拶を交わし一緒に歩いて行く。

(もしかしたら今日で最後なのか?いや、そうはいかない。前と同じ20日にするわけにはいかない!)

「…たの?ねぇ、どうしたの?」

結衣に話しかけられていたことに気がつかなかったが、今の決心を悟られまいと平静を装うことに努力した。

「あのさぁ結衣、明日も一緒に学校行こう」

「え、何?そんな改まって、最近はずっと一緒だったよね?」

笑いながらそう返してくるけど僕もこの前は当たり前のようにそのつもりだった。そんな当たり前が急に当たり出なくなること以上に怖いこともないと思う。

「そうだけど、そうじゃなくなることもあるかもってね。う〜ん、例えばエアコンで冷えて朝お腹痛くなるとか」

「あぁそれありそう… でも急に変なの まぁ、いつものことかぁ」

「え? 僕っていつも変かな?」

「変だよ〜 でも…優しいとこが好きだけどね」

照れた様に笑う結衣の笑顔を見て、急に日差しが強くなったのではないかと勘違いしてクラっときたが、その隙に照れた結衣は走って行ってしまったので僕もそれを後から追いかけていく形になりいつの間にか競走の様になってしまい、結局そのまま教室に着いてしまった。

「はぁ…結衣って…意外と体力あんだな」

「ふぅ……そんなこと…ないよ…追いかけられるとちょっと頑張っちゃう」

そんな朝から疲れきっている僕達を見ているクラスメイトの不思議そうな顔などその時は目に入らなかった。


今日は終業式前日なので教室の掃除や1学期使った教科書の片付けとかで忙しい日だった。

僕は遼太郎と一緒に教室前の廊下掃除を任されているが、結衣は体育館の担当なので一緒に居られるタイミングは無かった。

「いつもアイツのこと気にしているし、今日は離れて寂しんじゃないか?」

一緒に廊下を掃除していた遼太郎に突然そんなことを言われたので動揺を隠しきれなく、

「な、何言って…そんなわけないって」

なんて明らかに挙動不審な返答をしてしまった。

「おいおい、冗談のつもりだったけどホントにそれが原因だったのかよ」

「そうじゃないって、ちょっ、違うから 引かなくてもいいだろ〜」

この友人は意外と鋭い奴だったのだとこの時思っていると遼太郎は少し強引に話を変えて、

「そんなことより明後日から夏休みだけどお2人さんの予定はあるのか?」と聞かれて僕は素直に、

「一緒にいれる時間が減らなければいいかなぁって。むしろ増やしたいくらいだよ」と曖昧に答えてしまった。

今はとりあえずの目標が夏休みを2人で迎えるためかその先のことは考えてもいなかった。

夏休みにやりたい事や行きたいところなど山ほどあったはずなのに1度は結衣がいない夏休みになりかけたせいで自然と考えないようにしていたのかもしれない。

「そっか、俺が部活ない日に時間合えば遊ぼうぜ。アイツも居てもいいけどな」

「もちろん、僕はずっと暇だし結衣も遼太郎が居ても気にしないと思うよ」

昨日の初デートは上手くいかなかったけど2人きりがダメなら3人で遊べば良いのか、などと思い納得してしまった。


その日は掃除の時間の時に結衣に「一緒に帰ろう」とLINEでメッセージを送ると、「掃除の片付け残っているから先に帰っていていいからね?ごめんね」と言われてしまったので今日は遼太郎と帰ることにした。

帰り道で僕は、「なぁ、遼太郎ならデートってどこいく?」と何気なく聞くと、遼太郎は嫌そうな顔で、「それを彼女いない俺に聞くのかお前は」と返され僕は「ごめん」と謝ることしかできなかった。

遼太郎はバスケ部に入っていて背も高く同性の僕から見ても格好いいのに彼女がいないのが不思議でしょうがない。

彼いわく「俺は部活あるから中々遊びに行けないだろうな」と言っているので作る気がないのかもしれない。彼女が出来そうに無いのではなく、そういう辺りを気にしているので告白されたこともあるのだろう。やはり隅には置けないやつだった。

しばらく考えた後に遼太郎は、

「俺だったら一緒にいれたらどこでもいいかな。暇な時があまりないからそれで充分だ」

「参考にならないくらいにベタだな」

「だから俺に聞くなって言っただろ」

などと、ちゃんと考えてくれたことはありがたいが参考にならないアドバイスを聞いた僕は遼太郎と分かれ真上にある太陽の下まっすぐ帰ることにした。


家に着くと丁度電話が鳴り響いているのが聴こえてきていてこの時間は、母さんは仕事で家を出ているので急いで靴を脱ぎ、電話に出るとその電話は学校からであった。

「堺さんの…その声は悠斗か。突然ですまないが青葉と付き合っているよな?クラスの何人かがそう言っていたが」

突然すぎて訳が分からなかった 電話で担任から"お前ら付き合っているのか"などとどこの誰が予測出来ようか。それでも僕は「そうですけど」と正直に答えた。

「そうか…落ちついて聞いて欲しい。今、青葉が掃除の片付けをしてくれていたのだが階段から落ちて首をやってしまったみたいだ。 病院にはもう行ったが意識が戻る見込みはないらしい。病院の場所はー」

今度こそ何を言っているか訳が分からなかった。分かりたくもなかった。

(なんでまた結衣がそんな目に…)

頭の中がゴチャゴチャになり、動悸がしてきだすと指先が冷たくなるのを感じてそのまま目の前が真っ暗になりセミの声が遠ざかっていくのを感じたまま意識が遠のいて行った。

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