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ランドセル

ランドセルを

羽のように操り

君は活きた人生を登校する

誰の呼びかけもスル―して

僕はあの細い髪の毛を追う


一つ一つの葉脈が

ドクドク生き血を運ぶ桜の

花びらが

降水確率80%に震えていた

爆薬のような卒業アルバムの筒を

家に投げ入れて一夜明けた時には

彼等の涙もとっくに蒸発している


目だけはあの頃のままで

ぎょろっと認識を

彼等の上に立つ彼女へ向けて

彼女が

初染めの漢字のような

それでいて感謝のような

でありながら決別のような

言葉

を僕はさりげなさそうに無視をして


僕に羽は無いのであるが

彼女の家の瓦礫のランドセルが

僕が背負い歩くことが欺瞞でないか

考え続けなければ

考え続けなければ

考え続ける それが冥途の土産になるまでに


激しく発光する月に

赤い刺繍の布切れが見える

彼女はお茶を啜りながら

もちでも食べて安穏かもしれぬ


僕の髪が何ミリか

計り続けなければ

計り続けなければ

計り続けるしかない

焼け焦げた大切な本の破片が

半分なくなった口元を動かす

微かな遺言へ 泣きながら頷くまで

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