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第8話 ボス討伐戦 直前

「オラッ! 行くぞ! 」


勇者アーサーのパーティーはボス部屋へと入っていく。


「俺は本当に行かなくて良いんだな?」


「あたりまえだ! クビにした奴を連れていくわけないだろ!」


そう言うと、アーサーは部屋に中に消えていった。

中にもう1人入れるからか、しばらく扉は開いていたが少し経って閉まった。


「君帰りは大丈夫かい?」


スミスさんがアーサーと言い争っていた男の人に話しかける。


「はい、ご心配ありがとうございます、帰還石を使うので大丈夫ですよ」


1人でモンスターに遭遇するのは危険すぎる、帰還石を持ち歩くのは探索者の基本だ。

しかし、スミスさんがもしもの場合を考えて聞いたのだろう。


「そうか、それは良かった、しかし君とパーティーメンバーが言い争っていたように見えたんだが理由を聞いても?」


他所のパーティーに首を突っ込むのはマナー違反だが、場所がボス戦前ということでもしかしたらボスのことでなにかあったのかもしれないと聞いたのだ。


「ああ、ボスなら別に変化ないストーンゴーレムですよ」


たまに突然変異を起こして強くなるボスもいたりするのだ。


「ああ、そうか聞いて悪かったな済まなかった」


スミスさんは踏み込んだことを聞いたと謝った。


「いえ、それでは俺は戻りますので」


そう男の人が言って立ち去ろうとしたとき目があった。


「あ! アル! アル・ギルバートさんですよね?」


突然興奮したように俺に話しかけてきた。


「あ、ああ、そうだけど」


俺が肯定をすると。


「あ、あの! 握手してもらっていいですか? 俺アルさんのファンなんです!」


なんと、俺は結構有名だったらしい。


「いいですよ」


俺のことを評価してくれる人を無碍にはできない。


「俺、ガルフさんに教えて貰っていた時期がありまして、その時にアルさんの話を聞いてずっと憧れていたんです!」


「へぇ」


ガルフさんが俺のことを話していたとは、少し嬉しくなる。


「君は支援職なのかい?」


俺に憧れるってことはヒーラーとかの支援職ならありえる。


「いえ、俺『聖騎士』なんです」


なんと! 聖騎士とは勇者と同等の優遇職と言われている。

勇者が攻撃特化で、聖騎士が防御特化といったところだ。


「そうか、『聖騎士』か、これからも頑張って」


俺は労いの言葉をかける。


「はい! ありがとうございます! あの・・・・・・」


「ん? なに?」


何か言い淀んでいる。


「やっぱり何でもないです! 俺ミリートって言います! 握手してくれてありがとうございました! 俺もう行きますね!」


そう言うとミリートは俺達から離れて帰還石を使った。


「あの人大丈夫かな?」


パーティを追い出された彼が心配になる。


「大丈夫さ『聖騎士』なら国が首にしないだろう」


スミスさんが俺のつぶやきを聞いて答えてくれる。


「そうですよね」


「それにしてもあいつがお前の言っていたアーサーだろ?」


「はい、よくわかりましたね」


「あんな性格の悪い勇者がポンポンいたら国が崩壊する」


勇者の戦力は侮れない、故に勇者というだけである程度有名ではあるが、普通の探索者が入るダンジョンには普通いないので顔を知らない人は多い。


「とりあえず今は勇者パーティーの挑戦が終わるまで待機だな、あの様子だと成功しそうにないからな」


スミスさんが笑いながらみんなを休憩させるために指示を出しに行った。


俺もボス戦に備えて最後の調整をするため、パーティーメンバーの所へ行った。


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