第45話 滞在
案内をしてくれた少女を連れ、無事村で歓迎された。
ゴブリンの巣を駆除してきたことと、弱っている女性がいることを話したら手厚く対応をしてくれてとても助かった。
夜は歓迎の宴を開いてくれて、村の誠意を存分に見せてくれた。
「協力してよかったな」
「そうですね」
王都であるエルドアでは忙しなく動いていたため、意外と疲労が溜まっていたのだ。村の穏やかな雰囲気に癒される。
今は宴も終わり、チェルシーとネマの三人で借りた宿で話をしていた。
「ご主人様、今はどこに向かっているのですか?」
次の町へ向かっていることや、レティシアを追いかけていることは分かっているので、また別の目標だろう。
「今は情報が足りないからな、町を回っていきながらその道すがら、歴史研究者の知り合いに話を聞こうと思ってるんだ」
「歴史研究者?」
「ああ、昔の文献だったり、遺跡だったり色んなところから歴史を研究する学者のことさ」
「へぇ~。凄そう」
「魔族は数が少ないし、悪魔族なんて伝承レベルだからな専門家に話を聞かないと」
悪魔族というのは、昔の勇者の物語の敵としてちょっと出てきたぐらいで、ほとんど語られていない存在だった。
「そろそろ寝ますか?」
チェルシーがネマの姿をみて提案してくる。
「そうだな」
ネマは現在俺の膝の上に頭を乗せ眠っていた。
結構高いと思うのだが、このままでは首を痛めてしまう。
ネマをベッドへ寝かせ俺は自分に宛がわれた部屋へ向かう。
「おやすみなさい」
「お休み」
奴隷であるチェルシー達の分まで部屋を用意してくれた村には感謝している。
あの二人も今では奴隷を受け入れているようだが、心の傷までは見えない。
ネマは故郷に帰れるという希望があるが、チェルシーは特にそういったことは願ってこなかった。
昔いた村で何かあったのかもしれないし、単純に奴隷として売られたから戻る気がないのかもしれない。
次の日救出した女性も気になるので、休養も兼ねてもう一泊することにした。
この村は平和で、それなりに豊かに暮らしているようにみえる。
家畜や畑など結構広い土地を使って営んでいた。
「ぷはー! 新鮮でおいしいですね!」
「そうでしょう? 王都にも卸しているんですよ」
搾りたての牛乳を飲んで昨日案内をしてくれた少女と話しをしていた。
「リネルは普段家畜を育ててるの?」
「うん。これが私の仕事なんだ」
リネルという少女は自分の仕事に誇りをもっているようだ。
「昨日みたいなことがあったら家畜は特に大変じゃない?」
「そうね、村が襲われたらまず囮に使われるわね」
村も生き延びるために必死なのだ。
「でも、蛇神様が守ってくださるから平気なのよ?」
「蛇神様?」
「森のほうに祠があるの、見てみる?」
この村には守り神がいるようだ。




