第43話 村人
「助けていただきありがとうございます」
素朴少女に礼を言われた。
「いえいえ、大した相手では無かったので」
魔物の集団は、ゴブリンの群れであった。
雑魚中の雑魚なので俺にとっては何ともなかったが、‘‘村人‘‘には集団は辛いだろう。
「本当に助かりました」
リーダーっぽい男の人にも礼を言われる。
「いえ、皆さんはこの先の村の人たちですか?」
恰好や態度から勝手に村人と判断していたが、間違ってはいないだろう。
「ええ、コクの村という所で1刻歩いたらつきます」
馬車ならもう早く着くだろう。
「皆さんは何をしにこちらに?」
「お恥ずかしい話、先ほどのゴブリンの巣が近くに出来ましたので、被害が大きくなる前に倒しにきたんですよ」
「それで返り討ちに……」
「ははは、恥ずかしい限りです」
しかし、勝てなくてもやらなければゴブリンが増えて、いつかは村が襲われてしまう。
「そうですか、では俺達がその巣を駆除してきますよ! これでも探索者なので」
「探索者様でしたか、通りでお強い! しかし、私たちの村は貧乏でして、探索者様を雇えるほどのお金がないんですよ」
リーダーの方が申し訳なさそうにする。
「いえ、では村の方に泊めていただければいいです」
「それぐらいお安い御用です! しかし、それだけでは申し訳ない、せめてご馳走させてください」
村の最大限の歓迎なのだろう、その気持ちだけで十分だ。
「ではありがたくご馳走になりますね! ゴブリンの巣はどこですか?」
「はい! こっちです」
「あ、ちょっと待ってください仲間がきますので、それからでいいですか?」
ネマとチェルシーを馬車に残したまま、全力でこちらに来たのでまだ合流できていない。
「はい、あの馬車ですか?」
「ええ、俺の仲間が乗ってます」
「ご主人様~! 大丈夫ですか~!」
チェルシーが大きく手を振っている。
手を振り返してやると、嬉しそうにピコピコしていた。
「仲間も追いついたので、案内お願いします! ネマは残って皆を守っててくれ」
村人全員を連れていくわけにいかないので、馬車の護衛ついでにネマに頼む。
「うん」
「チェルシーは……そうだなネマと残っててくれ」
「あ! 戦力にならないと思ってますね! そうですよ!」
抗議の声を上げながら認めていた。
「ではいきましょうか」
村人のリーダーが案内をしてくれるようだ。
暫く歩いていると、村人のリーダーが話しかけてきた。
「あのう、本当にお一人で? 強いのは先ほど拝見させていただきましたが、今回の巣はもしかしたらゴブリンジェネラルがいるかもしれないですよ?」
「ほう、何かあったんですか?」
「はい、今回のゴブリンは、武器をしっかり作っているんですよ、何か指揮をとっている個体がいるかもしれません」
ゴブリンは上位個体のジェネラルやキングなどがおり、それがいるだけで統率のとれた戦いをするようになって、危険度が跳ね上がる。
「そうですか、余計放って置けませんね」
「ありがたいですが、お仲間と一緒に行った方が?」
「そうですね、一度見てから決めましょう」
「探索者様が大丈夫ならいいですよ」
「あ、自己紹介してませんでしたね、俺はアルといいます」
「これは、私も失礼しました、ザハといいます」
お互い自己紹介が終わったところで、森の中にある巣のところまできた。
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