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第40話 国王

「ま、まて! 欲しいものをやるから見逃してくれ!」


国王が命乞いをする。


「い、今まで奴らが悪魔だとはわからなかったんだ! 騙されてたんだ!」


俺には何が言いたいのかさっぱりだが、俺にしてきた仕打ちの言い訳なのだろう。


「そうだよな、国王だもんな、国のためと言われたらやらざるを得ないよな!」


俺は理解を示す。


「おお! 分かってくれるか! お前を消せと命令したのも、奴らにそそのかされてじゃ」


「そうか、そうかそれは仕方ないな」


国王が助かったという顔をしている。


「仕方ない、本当に仕方ないな」


仕方ないを連呼する俺を不審に思ったのか、国王が怪訝な顔で聞いてくる。


「何が言いたいのじゃ?」


「国王様よ! あんたは国の為に仕方なくやったという理由で俺を消そうとした、国としては仕方ないとしよう」


「何?」


なにやら雲行きが怪しくなってきたのを感じたようだ。


「だが、それは国としての視点だ! 俺個人の視点は入っていない」


「な、国の為なら個人より優先すべきだろう!」


「そうだな、だが国王様よ、国は何のためにある?」


「そ、それは、皆の為じゃ!」


「そう、()()()なんだよ、その皆に俺が外されたってわけだ!」


「お主」


「俺を外した敵の為に犠牲になれってか? 無理だよ、無理なんだよ!」


国王は俺の言いたいことを理解したようだ。


「お前! 叛逆者になるつもりか!」


「城に攻め込んでる時点で叛逆者だと思うが、まぁいい安心しろ、殺したりしない」


「何をするつもりじゃ?」


「とりあえす眠れ!」


意趣返しの気持ちも込めて、殴って気絶させる。


「宰相!」


部屋の隅で、ガタガタ震えながらズボンを濡らしている宰相の元へ行く。


「ひっ!」


怯えているが、腰が抜けて動けないようだ。

宰相の胸倉を掴み、一発殴る。


「ぐえっ!」


「俺を不当に解雇したことはこれでチャラにしてやる」


正直宰相にはムカついてはいたが、国王ほどではない。


「国王は俺が預かる、その間の国政をしっかりしろよ? 変なことしてると分かったら、国王の言葉通り国の為に消すぞ?」


「はっ、はいぃ!」


ビビりすぎて頭に入っているかわからないが、取り合えず言いたいことは言った。

国王を担いで謁見の間から出る。

国王の服が目立つので、適当な布を拝借して隠す。


「ネマ! 行くぞ!」


ずっと待機させていたネマを呼ぶ。


「出番なかった」


少し拗ねたような声で遺憾の意を表明された。


「ごめんごめん、後で好きな物買ってやるから」


「うん」


ネマの機嫌を取りつつ王城を後にした。



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