第4話 国の闇
「それでここに来たってわけかい?」
「はい一応」
俺は理不尽な解雇劇を話していた。
「それは...災難だったね、とは簡単に言えない内容だね」
「ええ、でもスミスさんに話せて少し楽になった気がします」
スミスさんはダウンクロウのリーダーで、俺が国家探索者になる前に何回かパーティーを組んだことがある。
「君は本当にそれでいいのかい?」
スミスさんが俺に問いかける。
「これでいいとは?」
国王が決めたことだ、どうしようもないと思うのだが。
「やり返したくはないかい?」
「やり返す?」
「そう、言葉を選ばないなら復讐さ」
「復讐...」
スミスさんが物騒なことを言ってきた。
しかし、胸にストンと落ちるものがあった。
仕方ない、どうしようもないと無理やり自分の思いを隠してたんだと気づいた。
そう、俺は‘‘復讐‘‘がしたいと思っていたんだ。
「スミスさん俺...」
「いや、ちょっと待った!」
俺が思いの丈を話そうとするのをスミスさんに止められた。
「君が話す前に僕が話そう、じゃないとフェアじゃないと思うから」
スミスさんがそういうとスミスさんが話し出した。
「僕はこの国の在り方がおかしいと思っているんだ。何故かというとね、今の国王様は王室のための政治をしているからだよ」
「王室のための政治?」
「ああ、端的にいうとね、国王様がいっぱい稼いで国王のために使っているってことさ」
「え?」
「この国は生活はできる、できるけど格差が凄いと思わないかい?」
「格差?」
「ああ、力のある者は裕福に暮らし、力のない者は貧しく暮らすか奴隷に落ちるか」
俺はそれが普通だと思っていた。
頑張った奴が裕福に暮らして、頑張れなかった奴が貧しく暮らすと。
「人が奴隷に落ちるって、人権を売るっておかしいと思わないかい?若い女の子が奴隷娼婦になっていく様なんておかしいと思わないかい?」
貧しい人たちは奴隷になれば取り合えず生きていける。
「奴隷は人権を売るといってもある程度の誓約をつけて守られる。そんな風に思ってないかい?」
思っている。
奴隷といっても国にとっては貴重な労働力だ、主人の好き放題させていたら失うケースが出ても何もできない。
「それは表向きの建前さ、力のあるものが自由に生きる国だ。わかるだろ?」
案にこの国の‘‘闇‘‘の部分の話をしているのだろう。
「と!言うことでさ、僕はこの国の現状を変えたいと思っている」
「この国を変える?」
「ああ、具体的な話はまた今度、それよりも君の気持を聞かせてよ」
スミスさんが俺に話を促す。
「はい、俺はこの国の闇の部分は正直実感がわかないです。あるんだろうとは思いますがまだ軽々しく発言できる経験をしていないと思うので」
「そうか、それで?」
「個人的には王様は憎いです、でも1番憎いのはアーサーです」
「ほう」
「レティシアも憎いです、とにかく俺の今の正直な気持ちは‘‘復讐‘‘してやりたいと思ってます。」
「そうか、どんな復讐をしたいんだい?」
スミスさんが具体的に聞いてきた。
「具体的には思いつかないですけど‘‘最低‘‘でも俺と同じ目には合わせたいです」
「なるほど、職を失って大事な人に捨てられるような復讐か」
「はい」
俺が俯いて返事をするとスミスさんは謝ってきた。
「ごめん!気が利かなかったね」
「いえ、今は気が利くような話をしてないので大丈夫ですよ」
「そうか、ありがとう」
スミスさんは意を決したような顔になった。
「アル君俺と一緒に革命を起こさないかい?」
「革命?反乱てことですか?」
物騒な話になってきた。
「いや、この国で1番の権力者になって僕たちがこの国をよくするのさ!」
スミスさんの言葉を自分の中で考える。
「やっぱ反乱じゃないですか?」
国を変える、いわばトップが変わるのだ反乱の何物でもない。
「ハハハ!そうとも言う」
「そうとしか言いませんよ!」
スミスさんが面白そうに笑う。
「アル君何故国を変えることが反乱になると思う?」
「それは、国王を無理やり変えようとすれば反乱ですよ」
「そう、国王を無理やり変えようとしたら反乱になる、でもこれって本当にいいことなのかい?」
「え?」
「国民の意志はそこにあるのかい?」
「国民の意志...」
「国を変えようとしても反乱にならない国そんな素敵な国があってもいいと思わないかい?」
俺は、スミスさんの言っていることを理解するのに時間がかかった。
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