第39話 化け物の宴 決着
「ふ、く、なぜ、なぜだぁあーーー!」
アーサーが俺を押し切れず、いら立っている。
勇者ですらできないような動きで攻撃をしてくる。
しかし、俺はそれを左手だけで捌く。
「がらあきだぞ!」
空いている右手で、ボディブローを入れる。
「がはぁ!」
アーサーが苦しそうに転がった。
「やっぱ持たないな」
右手をみると、所々切ったのだろう、血だらけだった。
左手だけで戦う必要性が出てきた。
「活性!」
自分にエンチャントをかけ、自然治癒のスピードを早める。
「死ねぇ!」
これ以上長引かせるのは得策ではない、後にレティシアも控えているのだ。
「鈍足」
アーサーにマイナス方面のエンチャントをかける。
相手に不利な方面に働く効果は、何故かかけれるのだ。
今のアーサーには微々たる効果だが、タイミングをずらすには効果的だ。
体を傾けアーサーの攻撃を受けず、避ける。
決定的な隙を見せたアーサーに容赦はしない。
左手を顔面に叩き込む。
「ブフゥッ!」
粉砕する気で叩き込んだが、陥没レベルで済んでいる。
倒れているアーサーにさらに追撃をかける。
「ゴハッ!」
それ以降は、反応がなくなったので気を失ったのだろう。
念のため胸を貫き、トドメを刺す。
「おやおや、容赦ないですねぇ」
悪魔の男が話しかけてくる。
「ね、ねぇあれヤバくない?」
レティシアが恐怖の眼差しで俺を見る。
「そうですねぇ、まず勝てないでしょうねぇ」
そういうと男は、謁見の間の壁に向かってスキルを放つ。
「逃げますよ!」
男はレティシアに指示を出すと、自分で開けた穴に走り出した。
レティシアも続く。
「ま、待て!」
国王が慌てて悪魔を呼び止めるが。
「悪いですが、今は分が悪い逃げさせてもらいますよ」
完全に逃げの一手だった。
当然レティシアを逃がすつもりは毛頭もない。
「逃がすかよ!」
追いつき様にパンチをお見舞いする。
「クッ!」
回避行動をレティシアが取るが、完全には避けきれずに左目あたりにヒットする。
そこで、悪魔の男が援護でスキルを放ってきた。
それを左手でたたき伏せている間に、レティシアを回収され、穴から飛び降りた。
「クソッ!」
俺も飛び降りようと穴に向かう。
しかし、穴にたどり着くあたりで、大きな影が現れた。
それは、空高く舞い上がり飛んでいる。
「ドラゴン?」
「ははは! 流石に空まではこれまい!」
ドラゴンの背中には、レティシアを抱えた悪魔の男が立っていた。
流石にこの距離を攻撃するのは無理だ。
「黒腕の男よ、いいものを見せてもらった! さらばだ!」
悪魔の男にレティシアを連れ去られてしまった。
「いいだろう、世界中どこにいても探し出してやる」
城の中を振り返ると、国王がそそくさと逃げようとしている所だった。
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