第37話 謁見の間
「くっ! こんな・・・・・・」
アルメスさんが蔓に拘束されながら眠りに落ちた。
「いいぞネマ」
アルメスさんと話している時に、気づかれないように蔓を死角に出現させ拘束をした。
そして、持ってきていた眠り薬を使ったのだ。
俺のスキルでは少々乱暴になってしまうので、ネマがいて本当によかった。
ベッドに寝かせ、ネマと一緒に部屋を出る。
「どうするか・・・・・・」
部屋で待ち伏せされていたということは、アーサーは俺の前に現れる可能性は低い。
「ネマわかりそうか?」
感知スキルを使ってもらうが、判別までは無理そうだ。
「しょうがない、多分レティシアの方も同じだと思うし、最終手段とるか」
この最終手段は、スミスさんに止められていた方法だが、アーサーが出てこないのならば仕方がない。
「ネマ、直接‘‘国王‘‘に聞きに行くぞ!」
「反逆者になっちゃう」
「攻め込んでる時点で今更だろ!」
おどけるようにネマが言ったので、つい笑ってしまった。
とりあえず、謁見の間から探していくことにした。
探す途中に何人かの兵に見つかってしまったが、声を上げられる前に気絶させたので、大きな戦闘にはならなかった。
そして、大きな扉の前に立つ。
「ネマ! いるか?」
中に人がいるか確認してもらう。
「いっぱいいる」
迎え撃つためか、中に兵達が集められているようだ。
ネマは、個人の判別が出来ないため、直接確かめなければならない。
「ネマ、扉を開けるから下がっててくれ」
開けた瞬間攻撃されるのは目に見えているので、ネマを下がらせる。
「身体強化、俊敏強化、筋力強化、感覚強化、防御強化、アクセル、アクセルセカンド、フルアクセル」
自分自身に強化スキルをかけていく。
「よし!」
気合を入れなおし、大きな扉をけ破る。
大きな音で吹き飛んだ扉に、何人かの兵士が巻き込まれた。
「き、来たぞ!」
奥で叫んでいる奴がいる。
俺は素早くアーサーとレティシアを探す。
「いた!」
ここに居るということは、謁見の間に戦力を集めて身を守るつもりなのだろう。
「やれーーーーー!」
アーサーが狂ったように叫んでいる。
殺したはずの人間が復讐しにきているのだ、恐怖以外の何ものでもないだろう。
集まった騎士団の面々が俺を取り囲む。
中には、見知った顔もいる。
「騎士団のみんな許せよ」
俺の言葉に息をのむのが聞こえる。
それはそうだろう、この人数差の中に飛び込んでくる、死なない化け物だ。
一歩進む。
我慢しきれなくなった若い騎士が叫びながら突っ込んでくる。
俺はそれをひらりと躱し、背中に掌底を当てる。
すると、若い騎士は吹き飛び、壁に叩き付けられた。
「な!」
騎士団から動揺が伝わってくる。
「行くぞ!」
そこからは、蹂躙劇の始まりだった。
一人一人丁寧に、素早く吹き飛ばす、命は奪わないように気をつけてはいるが、骨の一本や二本は許してほしい。
「ガ、ガハッ!」
最後の一人の腹にパンチをめり込ませ、気絶させる。
顔を上げ、アーサーを睨み付ける。
「ひ、ひっ!」
腰を抜かして地面に倒れてしまった。
「アーサー! 覚悟はいいな!」
アーサーの元へ一歩一歩近づく。
アーサーは逃げるように下がる。
しかし、立っている俺の方が早く、あと数歩で追いつく。
「く、くるなー!」
必死の形相で叫ぶ。
もう、追いつくというところで横から声がした。
「アーサー! 早く飲め!」
国王だった、何かを企んでいるらしい。
「はっはっ!」
アーサーが荒い息のまま何か液体を飲む。
「あっが、ぐ、があぁぁぁああああああああああああ!」
アーサーの様子が変わった。
所々が黒ずみ、目が赤く血走っている。
「おお! 素晴らしい! 素晴らしいですよ! 勇者とはここまでのポテンシャルを持っているのですね!」
国王の後ろに控えていたやつが、フードを取り、嬉しそうに出てきた。
「てめぇ!」
その横には、しなだれかかるようにレティシアがいた。
「あら、アルそんな怖い顔をしたらモテないわよ?」
しかし、いつもと様子が違う。
隣の男と同じ蝙蝠のような耳に、‘‘しっぽ‘‘がついていた。
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