第36話 王城潜入
「警戒されてるな」
調べる限り、アーサーとレティシアは城に匿われている。
そして、俺が死んでいないことがバレているということだ。
「ネマ何かわかるか?」
ネマは首を振る。
ネマは最近感知系のスキルが使えるようになった。
「遠い、でも侵入できそうな場所はあった」
まだ距離は短いが、城の構造がわかるのは大きい。
いつも城に入るときは、正面からしか入らなかったので大助かりだ。
「行けそうか?」
ネマが頷く。
「よしチェルシー、スミスさんの所に行って侵入を決行したと伝えてくれ」
「はい」
事前に打ち合わせていた通り、侵入するとなったら、運動面で不安のあるチェルシーはスミスさんの所で匿ってもらうことになっている。
「ネマ! 行くぞ!」
情報収集で終わる予定だったが、事前にスミスさんからもある程度の情報はもらっているので、このまま行けるとこまで行ってみようと思う。
「ガルフさんとか、アルメスさんに会わないようにしないとな」
ガルフさんは国家探索者なのでいない可能性は高いが、アルメスさんは十中八九警備についているだろう。
「ここ」
ネマが案内してくれたのは、地下通路に続く扉だった。
「誰もいない」
ネマの感知で調べる。
「入るぞ!」
扉を開け中に入る。
そこは廊下になっており、いくつかの扉がある場所だった。
「なんだここ?」
一番近くの扉を開ける。
「物置か」
日常で使うであろう物が置かれていた。
「ネマ! 案内頼むアーサーが居る部屋まで」
事前にアーサーが匿われている部屋をスミスさんが特定していたのだ。
「うん」
本格的に城への侵入作戦を開始した。
☆
「ん」
ネマが大丈夫という合図を出す。
「よっと!」
ネマのおかげで、ここまで城の兵に会わずに済んでいる。
「ここ」
「アーサーの部屋か、人はいるか?」
「うん、一人」
アーサーの可能性が高い。
出来れば、城の兵士に気づかれずに済ましてしまいたい。
警戒しながら扉を開ける。
そこにいたのは
「やあ、やはりアルだったか」
「アルメスさん」
最悪だった、寄りにもよって1番敵対したくない人だった。
「君が賊であると聞いた時は耳を疑ったが、私は現実をみなければいけないようだ」
悲しそうな顔でアルメスさんが語る。
「君にも事情があるのだろう、だが私はこの国に仕える身! 任務を全うさせてもらう」
言葉は威厳があり、覚悟を表しているが、アルメスさんの顔はくしゃくしゃだった。
「すみませんアルメスさん、そんな顔をさせてしまって」
アルメスさんは何も言わず、剣を構える。
これ以上の言葉は不要ということだろう。
「ネマ!」
俺は準備が整ったネマに合図を送った。
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