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第35話 影

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-----------暗殺者視点----------

夜の路地裏を抜ける。


追っていた影を見失なう。


「上か」


屋根に一瞬人影を見た。

器用に屋根へ素早く上る。

手をついた瞬間。


「ぐっ!」


手に短剣が刺さった。

しかし、次の攻撃がくることを予想して横に転がる。


「自分で態勢悪くしちゃだめでしょ!」


「何!」


屋根から蹴り落される。

地面に叩き付けられるが、スキルを使いなんとか緩和する。


「はい、チェックメイト!」


着地をしたばかりだが、敵はすぐにやってきた。


「な、なんて」


最後まで言葉を紡げず、事切れた。


----------アル・ギルバート視点----------


「はぁ、最近増えたな」


走ってきた場所を戻る。

フードを取り、街中で待たせていた人物と合流する。


「ご主人様おわりましたか?」


「ああ、いつもの奴らだったよ」


「アル流石」


ネマに褒められる。


「アーサー達もなりふり構わなくなってきたな」


「そうですね、ご主人様敵なしですね」


「ああ、デメリットもあったけど、今はメリットが大きいな」


アルは左手の呪いのせいでできなくなったことがあった。


「エンチャンターの醍醐味を失ったのは残念だな」


他人の支援ができなくなってしまったのだ。


「でも、ご主人様が強くなりましたよ?」


「ははは、まさか自分にしかエンチャントできなくなるとは思わなかった」


そう、アルは支援ができなくなっていた。


「バインドみたいな、敵を不利に追い込むスキルは何故か普通に使えるんだよ、法則がわからん」


「それに、その左手反則なくらい強いじゃないですか」


「まあな、まさかミノタウロスとの力比べに勝つとは思わなかった」


左手の力も劇的に上がった。


身体能力も多少はあがったが、エンチャントの効果が高くそんなに目立った成長ではなかった。


「今のご主人様なら、勇者に勝てるんじゃないですか?」


「はは、左手だけならな」


実際アーサーを倒せないといけないから、頑張らないといけない。


「ご主人様は自分を低く見すぎですよ! もっと自信持ってください!」


実際アーサー以上の実力だが、本人は違う人を基準に語っているようだ。


「勇者っていうのは本当に規格外な職業なんだ、成長の際限がないって言えばいいかな?」


「え!」


その理論でいくと勇者には勝てなくなってしまう。


「まぁ勇者にも才能という奴があるらしいけど、他の職業から見たら天才以外の何物でもないよ」


「そう、ですか」


「俺はアーサーに勝てればいいから。あいつが成長する前に叩きたいな」


レティシアは問題がないので、逃げれられなければいい。


「相手にご主人様が死んでないこともバレてしまいましたしね」


「ああ、もう少し調べたら仕掛けるか」


俺たちは暗い路地に入り、目標の情報収集のために城へ向かった。

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