第34話 ドルイドの謎は謎のまま
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「やはり、レティシアさんだったのですね、それに勇者アーサーも」
「ああ、チェルシーが動いてくれなかったら死んでたかもしれない、本当にありがとう」
「いえ、私が間に合っていればこんなことには」
チェルシーは俺の左手を見る。
「アルは死んだ」
ネマが唐突に発言する。
「死んだ?」
「うん、私が魂を繋ぎ止めた・・・・・・つまり、魂が体から離れようとしていたの」
「その状態は死んでるからなるのか?」
「うん」
「ネマは人を生き返らせられるのか?」
ネマは首を縦に振る。
「自分の命と引き換えに」
衝撃発言だった。
「ネマ! お前もしかして自分の命と引き換えに俺を助けようとしたのか?」
ネマは肯定する。
「うん、だけど呪いに邪魔された」
「これか」
左手を触る。
その呪いは、左手全体と心臓の部分にまで達していた。
「俺はこれに生かされているのか?」
「アルの魔力で呪いはできているから、アルは平気なんだと思う」
「俺の魔力じゃなかったら?」
「体の自由を奪われているはず、神樹は生きてるけど呪いで封印されている、それと同じようになる」
「これは、俺の魔力ってことでいいのか?」
ネマは首を振る。
「わからない、アルの魔力は感じるけど、別の意志もあるみたい」
「ドルイド族ってそんなことまでわかるのか」
「なんとなく」
ネマは感覚的な部分で話していることが多いらしく、確実にそうとは言わなかった。
「そうか、二人とも、俺はレティシアとアーサーに復讐をしようと思う」
二人は黙って俺の話を聞く。
「どう復讐するかはまだ決めていないけど、あいつらは人を騙して殺した」
アルはゆっくりだが、自分の想いを言い訳でもするかのように語る。
「俺ももしかしたら‘‘殺す‘‘という選択肢をとるかもしれない、少なくともあいつ等が自由に生きていることは許せない」
「ご主人様にお任せします、私たちはそれを全力でサポートします」
「ありがとう、それにはまず情報を集めてからだな」
「はい、レティシアさんだけではなく、国も関わっている可能性が高いので」
国となると、個人で得られる情報は少ないだろう。
スミスさんたちを頼るのが一番だが、見返りに革命にも参加しなければいけなくなるだろう。
「それでも、やるか」
相手の理由は知らないが、殺されたのだ、覚悟はしてもらおう。
「おし! まず最初の情報収集は‘‘俺‘‘だな!」
「ご主人様?」
「ああ、左手の呪いのせいだろう、いつもと違う感じがする」
何となくこの左手で、できることが分かる。
こいつは間違いなく役に立つ、そう確信できる。
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