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第29話 女の勘

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「来たか」


「アル! お待たせ!」


約束通りレティシアと合流する。


夕飯を一緒に食べながらパーティーメンバーと挨拶をかわす。


「チェルシーです、ヒーラーをやっています」


「ネマ、前衛」


ネマは中衛と言った方が正しいが、残念ながら今のメンバーなら前衛になってしまう。


「レティシアよ、ヒーラーをやってます」


「このメンバーならやっぱ」


「前衛よね?」


俺の言葉にレティシアが答える。


「ああ、そうだな」


「人なら心あたりがあるから誘う?」


レティシアが紹介をしてくれるらしい。


「いや、いい。こう言っちゃ何だが折角フリーで好きなようにパーティーを組めるんだ自分で選びたい」


「そう、でも彼女たちの意見とかはいいの?」


チェルシーとネマの意見は聞かないのかということだろう。


「大丈夫です、私たちは奴隷なので、ご主人様の好きなようにしていただければ」


「あら、奴隷だったの? 大切にされてるのね」


奴隷は、身分カードを提示するか、体のどこかに刻まれている奴隷紋を確認しないと分からないのだ。

奴隷は、ご主人様に仕える身なので、召使いのようにしているのが一般的だ。


「ああ、仲間として探索をしたいからな」


「そう、ところでネマちゃんてドルイド族?」


「うん」


ネマが小さく頷く。


「へぇ、噂では聞いたことはあるけど、本物のドルイド族は初めてみた」


結構特徴的な容姿をしているので街中では目立つ。

そんなこんなで初の顔合わせが終わった。

帰ろうとした時


「レティシアさん少し2人で話せませんか?」


「ええ、私は構わないわ」


チェルシーが俺の許可をもらおうとこちらを見る。


「いいぞ、探索者ギルドに行ってるから、あんまり長くなるなよ」


「はい、少しだけですので」


ヒーラー同士なにか話したいことがあるのか、俺は許可を出した。


「じゃあな」


俺とネマは店を後にして探索者ギルドに向かった。


--------------チェルシーside--------------


「レティシアさん単刀直入に言います! 何を企んでいるんですか?」


チェルシーのは女の勘がなにか警鐘を鳴らしているのを感じていた。


「あら、企む? 私はフリーの探索者として拠り所がないからアルにお願いしたんだけど」


チェルシーは納得いかないような顔をしている。


「まぁ強いて言うなら、アルの人脈に期待してかな?」


「本当ですか?」


「ええ、アルは人脈すごいのよ?」


国家探索者時代に色々な人脈を見てきたのだろう。


「レティシアさん! 私、ご主人様に害を成す方には容赦しませんから」


探索では立派なアルだが、チェルシーは、アルの人当りを見て心配になっていた。


「あら、アルは愛されているのね」


チェルシーを照れさせてはぐらかそうとしているのか、おちょくるようなことを言ってきた。


「答える気はなさそうですね、でも私はあなたのことを信用してませんから!」


そう言ってチェルシーは席を立った。

チェルシーがいなくなった後。


「触れちゃいけない闇があるのよ兎のお嬢様」


レティシアは冷めた目で扉を見つめていた。




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