第24話 合同演習 レッドウルフ
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「本日は、群れをなしているウルフの討伐である」
アルメスさんが今日の予定を話している。
なんでも、100匹近い群れが確認されたとか、100匹という数字が異常なのと、こういったパターンはスタンピードの前兆だったりするので、早く討伐と調査が必要なのだ。
「ネマ、チェルシー! 今日も昨日と同じようにな」
「「はい!」」
ウルフの群れを各グループで挟撃して少しずつ数を減らす作戦だ。
「いいか、深追いは厳禁だ! 全滅は狙わず数を減らせ」
ついにウルフの群れに遭遇する。
「アーサー突っ込みすぎないでね!」
レティシアが注意を促す。
俺が言っても反発を生むだけなのでレティシアにお願いしたのだ。
「わかってるよ!」
「離れすぎるなよ!」
騎士団の人たちも今回は指示だけに回らず、最前線で参加する。
俺は、流石に前に行き過ぎると把握が難しくなるので、後ろに陣取って視界を広く持つ。
「エンチャンターの兄ちゃん無理すんなよ」
後衛なのに心配される。
エンチャンターは、こういう場面で活躍しようと無理をする奴がたまに出るのだ。
その気持ちも分からなくはない、エンチャンターの仕事ぶりは外からでは分かりにくく、評価されにくい。
前衛がウルフの群れとぶつかった。
「ヒーラーはエリアヒール切らさないように!」
「前衛は、無理せず定期的に回復を受けにくるように!」
事前に打ち合わせはしているが、意識づけのために指示が飛ぶ。
順調にウルフ討伐は進んだ。
どんどん倒す前衛の人たちは無敵なんじゃないかと思ってしまうほどだ。
「レティシア! アーサーが突っ込み過ぎてる!」
俺の指摘にレティシアがうなずく。
「アーサー突っ込み過ぎよ! 戻って!」
声が届いていないのかアーサーは戻らない。
気づいた探索者や騎士団の人が伝言ゲームのようにアーサーに声をかける。
しかし、アーサーはちらっと俺のほうをみて、指示を無視した。
「クソッ! アーサー俺の指示だと気づいたのか!」
だからと言って突っ込み過ぎるのはダメなんだが。
こうなると、誰かが引っ張ってでも連れ戻さなければアーサーが死んでしまう。
「クソッ!」
俺は全力で駆け出した。
「兄ちゃん! どこに行く気だ!」
騎士団のヒーラーの人が俺の行動に驚いた。
そこでようやくアーサーは自分がピンチになっていることに気づく。
周りの前衛は、ウルフの群れに四方を囲まれないように対応しているので余裕がない。
俺がなんとかアーサーの元にたどり着く。
「アーサー引け!」
「クソッ!」
俺の援護を受けながらアーサーは引く。
何とか後退させることに成功した。
俺も素早く引く。
もう少しで他の前衛の所までたどり着きそうになった時にソレは現れた。
「ガハッ!」
「レ、レッドウルフだ!」
ウルフの突然変異種、レッドウルフに俺は押さえつけられていた。
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