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第20話 合同演習 集団戦闘

「B班C班周り込め!」


「逃がすなよ!」


騎士団の指示に探索者が動く。

魔物の群れの逃げ場を無くすように囲む。


「ほう、探索者やりおる」


無精ひげを生やしたいかついおっさんが探索者を褒める。

全員配置に着いたのを確認できたおっさんは合図を送る。


「行け!」


四方八方から探索者と騎士団のチームが魔物を蹂躙した。


「一般探索者悪くないではないか」


「ですね、それに比べて国家探索者は・・・・・・」


------------------------------------------


「そっち行ったぞ! 逃がすんじゃねぇ!」


「おい! ヒールくれ! ちげぇよエリアヒール寄こせ!」


「クソッ! 逃がしちまったじゃねぇか! 」


アーサーが悪態をつく。


「レティシア! お前なんでエリアヒールかけなかったんだ? おかげで俺が突っ込めなかったじゃねぇか!」


「ご、ごめんなさい」


アーサーがレティシアを責める。


「まぁまぁ、そもそも1人で突っ込むなんて作戦じゃなかっただろう?」


なんの因果か、俺はアーサーと同じグループに入れられていた。


「はぁ!? てめぇの意見なんか聞いてねぇんだよ! レティシアかばって彼氏ヅラしてぇのか!」


さっきからこの調子である。

作戦を実行しようにもアーサーが独断で動くのでどうしようもない。


「わかった、じゃあ君が突っ込む前提で作戦を立て直して貰えるよう騎士団の人に頼もう」


「てめぇの指図は受けねぇ! レティシア! 行くぞ!」


アーサーは話を聞かず、騎士団の所に戻っていった。


「はぁ、せめて俺が作戦を決めれればアーサーをカバーできるのに」


伊達に一緒にパーティーを組んでSランク認定されていたわけではない。

エンチャンターは()()後衛に位置どるが、アーサーと組む時は中衛と言える場所まで前進して、後ろも前もカバー出来るように立ち回らなければならない。


ダウンクロウのメンバーなら安心して適正ポジションを取れるが、未熟なパーティーだとカバーをしないと危なっかしくて戦えない。


「なにあの人?」


「感じわるいです」


ネマとチェルシーが不満を言う。


「それに、ご主人様に当たり強くないですか?」


「ははは、エンチャンターが同じグループなのが気にくわないんだろう」


誤魔化そうとしたがアーサーの言葉をちゃんと聞いていたようだ。


「あのレティシアとかいう人の彼氏ヅラってどういうことですか?」


「男の嫉妬じゃないかな? あはは」


「まぁいいですけど」


チェルシーがすねたように顔を背ける。


「ネマどうだ?」


「やっぱ全部は無理」


「そうかどれくらい行けた?」


「10匹中3匹」


「やっぱ距離で限界があるか?」


「うん、視覚で見れないと精度も落ちる」


「そうか、この状況でも鍛錬になるから励めよ」


「うん」


「さっきからなんの会話してるんですか!」


混ぜてほしかったのかチェルシーが会話に入ってきた。


「ああ、そういえばチェルシーには言ってなかったな」


「逃げた魔物をどれだけ倒せるかネマがやってるの」


「そういうこと、折角だし視覚に入らない、逃亡に入った魔物を狩る訓練だ」


「え! ネマちゃんそんなこともできるの?」


「うん、蔓から少しだけど感覚を感じる」


「ネマちゃんすご~い!」


俺達のパーティーが馬鹿正直にアーサーに足を引っ張られる必要はない。

出来ることをしっかりやるだけだ。


「チェルシー、お前は動く味方に合わせる練習だな」


「動く味方に合わせる? いつもやってるような」


「お前のいつものは、事前に連携の取れている相手だろ?」


「はぁ?」


チェルシーがアホ面ではてなをいっぱい浮かべる。


「アーサーだよ、アーサーにヒール当てたり、エリアヒールを先読みで置く練習だ」


チェルシーはビックリしたような顔で叫んだ。


「あんな滅茶苦茶な人に合わせるの無理!」


そりゃそうだ、安定した前衛ならまだしも無駄な動きの多いアーサーにスキルを当てるのは至難の技だ。


「頑張れよ!」


俺達は個人の技術を磨くことに集中することにした。

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