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第19話 合同演習 出発

「本日は、お集り頂き感謝する! こうやって国を支える探索者と騎士団が交流を持ち、この国を更なる発展へと導く一歩となるよう素晴らしい2日間になるよう願っている」


アルメス騎士団長の素晴らしいお言葉を聞きながら、チェルシーは興奮したような様子で話していた。


「アルさん! あの騎士団長様のお話をこんな近くで聞けるとは思いませんでした!」


「チェルシーはアルメス騎士団長のことが好きなのか?」


「はい! 好きです!」


声が大きく周りの探索者に睨まれる。

普段は礼儀なぞどこ吹く風な探索者のくせにアルメス騎士団長が話をしている時はお利口らしい。


「ご、ごめんなさい」


申し訳なさそうにチェルシーは謝る。

無理もない、アルメス騎士団長は美人で気品があって、男女両方から支持を得る程完璧なのだ。


「ネマ! 行くぞ!」


アルメス騎士団長の話が終わると、隣で直立不動で眠っていたネマを起こし出発する。


「立ったまま寝るなんてネマは器用だね!」


「ドルイドは立ったまま寝る」


「え? でも家ではベッドで横になって寝てるよね?」


「最近のドルイドは横でも寝れる」


「はは! なんだよその最近の若者はみたいないいかた」


「ネマは若者」


ドルイドも若者と年長者では文化が変わってくるのかもしれない。


「そうだな」


俺達は纏まりのない集団に、遅れないようについて行った。

午前中は歩きっぱなしで、ネマもチェルシーもへばっていた。


「ご主人様~ もう歩けません~」


間延びした気持ち悪い声でチェルシーが駄々をこねてきた。


「そうか、鍛え方が足りなかったか」


俺がそう言うと、信じられないものを見たかのような表情になった。


「大体ネマばかりずるいです!」


ネマは俺に肩車をされていた。


「ネマは軽いからな」


「なっ! まるで私が重いみたいな言い方!」


「実際問題、ネマは見た目的に肩車できるけどチェルシーお前肩車恥ずかしくないか?」


ネマに軽く頭を叩かれ遺憾の意を表明された。


「う! 確かに肩車は恥ずかしいですけど、おんぶくらいいいじゃないですか!」


「お前の場合色々な場所が俺の背中に当たるがいいのか?」


「わ、私は奴隷です! それに」


チェルシーは奴隷だからご主人様には当ててもいいと思っているようだ。

というか、そもそも奴隷がご主人様におぶってもらうという発想ができるのか。

買った時の、あの覚悟を決めたような顔が嘘のような変わりようだった。


「まぁこの関係を望んでたんだけどな」


「え? 何か言いました?」


顔を真っ赤にしながらブツブツ言っていたチェルシーが俺の言葉を聞いて我に返った。


「なんでもないよ! それよりほら森が見えてきたぞ」


「え! やったー! これで休める!」


休憩は取っていたはずだが、チェルシーには足りなかったらしい。


「ちゃんと休めよ、昼ごはんが終わったら森に入って狩りだからな」


「え!」


今日はもうこれで終わりかと思っていたのか、絶望の色を浮かべた顔でチェルシーが固まった。


「ほら、置いていくぞ」


「待ってください!」


チェルシーは慌てて走って無駄に体力を使っていた。


「ふぅ、さっきの言葉聞かれてたら恥ずかしかったな」


俺は誰にも聞こえない声で呟いた。


「よかったね」


そういえば肩の上にいるんでした。



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