第18話 合同演習の誘い
「それで、勇者パーティーと一緒に討伐依頼ですか?」
「ああ、しかも外での討伐依頼だ」
「外ですか・・・・・・」
ダンジョン以外にも魔物は当然いる、しかし外ではどんな魔物に遭遇するかは未知数だ。
一定の生息地はあるが、ダンジョンと違い魔物の群れとも遭遇する可能性がある。
なので、ダンジョンは少人数のパーティーの方が動きやすいが、外での討伐となるとそれなりの人数を連れていく。
「それは俺だけですか?」
「いや、厳密には君は含まれていないんだ」
「含まれていない? 今回の依頼は、ダンジョンボスを倒した実績を買われてですよね?」
スミスさんは首を振る。
「違う、今回はダンジョンボス討伐経験のあるクランが対象なんだ」
「クランですか」
それだと、クランに入っていない俺は対象外だ。
「そう、国が強豪クランをいくつか誘っていてね、たまにやる勧誘の一環みたいなものさ」
「はぁ、あるのは知っていましたけど参加する機会はなかったですね」
エンチャンターでは宣伝にならないため、国家探索者の時はパーティーで俺だけ外されるとか普通にあった。
「そこで、是非アル君にも参加して欲しいと思ってね」
「え? 参加できるんですか?」
「ああ、本当は断ろうと思っていたんだけど、意外とおいしい話が合ってね、こちらのわがままで参加する人を3人程自由に呼ぶ権利を貰ったのさ」
国としても、ダンジョンボスを倒したクランには是非参加してもらいたいのだろう。
「それで俺? ありがたいですけど先日クビになったところですよ?」
「まぁまぁ、アル君は潜れるダンジョンが少なくて困っているだろ?」
今のところまだ初級のダンジョンで訓練中なので困ってはいないが、近い将来困るのは目に見えている。
「もしかして、国家探索者専用ダンジョンの解放ですか?」
「ああ、しかも1年は参加者のみで独占できる」
国が国家探索者専用ダンジョンを、一般探索者に解放するときによく使う方法だ。
1年間独占させた後、全員に解放する。
これで一般探索者からの支持を高めているので、上手いやり方だと思う。
正直喉から手が出るほど欲しい権限である。
「それは、ありがたいですね」
「アル君が良ければ、パーティーで参加するといい」
「え! 3枠使っちゃっていいんですか?」
「もちろんさ、これはボス討伐でアル君に助けられたお礼でもある」
「ありがとうございます! なら遠慮なく参加させてもらいますね!」
俺は内心ガッツポーズをしながらお礼をいった。
「それに騎士団が帯同するからな、美人で有名な騎士団長様が拝めるぞ!」
「アルメスさんも参加するんですね!」
「ん?知り合いか」
「はい、国家探索者の時に何度か」
騎士団とは、ダンジョンに潜ることはほとんどせず、外の魔物を間引いたりしている。
あまりないが、戦争の時の戦う軍はほとんど騎士団の団員達だ。
国家探索者はあくまでも資源を集める労働者である。
自分達の国のダンジョンが失われるとなったら探索者も戦うが、対人訓練を積んでいる騎士団には敵わない。
「なし崩し的に国が運営する探索者ギルドに登録できたりしないかな」
それができれば、潜るダンジョンの質がかなり上がる。
俺は、『合同演習』に参加することをネマ達に伝えるため家に戻った。
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