第16話 前衛エンチャンター
「よっと!」
魔物を倒し終わり後衛と合流する。
「前衛を務めるエンチャンターなんて聞いたことないですよ?」
なんか変なものを見る目をチェルシーから向けられた。
「前衛務めてる、て言っても本当初級ダンジョンでしかできないぞ?」
「魔物舐めないで下さい! 普通スキル使わないで倒せないんですよ!」
「できてるじゃん」
「いや、そうですけど」
実際スキルなしでも武器で切り裂けばダメージは入る。
「普通は、倒すのに時間がかかって危険なんですよ!」
チェルシーが必死に訴える。
最初にネマの言動を注意していたあの従順さはどこへ。
まぁこの方がやりやすくていい。
「下級の魔物なら急所を突けば倒せるさ、中級ぐらいになってくると流石に無理だけどな」
「はぁ、なんでしょう、私の常識がおかしいんでしょうか?」
「勇者クラスならこれくらい当たり前にできるぞ?」
「あなたは勇者ですか!」
「ははは!」
俺は笑って誤魔化した。
チェルシー達には元国家探索者で勇者達と肩を並べていたということは言っていない。
「ネマ戦ってみた感じどうだ?」
俺はネマに話を振る。
「すごく楽しい」
「そうかそれは良かった」
ネマは自分の能力が大幅に強化されて今はハイな状態になっている。
「不意打ちもできているし、相手の死角も取れているいい感じだな」
俺はネマを褒める。
「わ、私はどうだったでしょうか?」
チェルシーが自分も褒められたそうに聞いてきた。
「うん、チェルシーはヒーラーの基本を押さえていて安定感があったな」
「ふふ!」
チェルシーが嬉しそうに笑う。
「今の所普通にいいパーティーだな」
俺は、あくまで一般的な評価を伝える。
チェルシーやネマは得意げな表情をしている。
「だけど! 俺は普通のいいパーティーで終わるつもりはないぞ?」
「「普通のいいパーティー?」」
チェルシーとネマがハモッた。
「ああ、これは家に帰ってから話そうか」
俺達は探索を引き上げ家に戻った。
そこでチェルシーとネマにはエンチャンターを加えた理想のパーティーの話をし、ヒーラーに求めること、プランターの運用方法について話した。
「それと、これは俺個人の目標になるんだけどな」
「個人の目標?」
「俺には見返したい奴がいる、理由はまだ言えないけど、まぁつまり負けたくない奴がいるってことだ」
「ライバルってやつですか!」
チェルシーが熱い展開を予想して少し声が大きくなった。
「そうだな、だから他のパーティーにはない強みを持ったパーティーにしたいと思う」
「だから、今までにはないヒーラーの動きを求めるんですね」
目標がなくてもそこは求めるのだが・・・・・・
チェルシーのモチベーションになるなら黙っておこう。
「ネマも、自分を買い戻すまで協力してくれるか?」
「うん」
奴隷に協力もなにもないと思うが、今までの探索者仲間と同じような関係を築きたかった。
「よし、方針も決まったし、今日はもう休むか」
「はい、お疲れ様でした」
チェルシー達は寝る準備をするために、自分たちの部屋に戻っていった。
部屋は多くないため、2人一緒の部屋だが、それで我慢してもらうしかない。
「よし、じゃあ俺も寝るか」
黒い指輪に魔力を込め就寝についた。
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