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第10話  ボス討伐戦 最強のエンチャンター

スキル操作:スキルは通常決まった動きをするが、そのスキルの熟練度が上がると動きに変化をつけれるようになる。


「ハハッ! リーダーの言う通りだな!」


俺はロティさんのバリアが切れると同時に張り直した。

誤差はほぼない、結果を見ればわかるがあの全体波状攻撃の中ノーダメージで切り抜けたのだ。


「はぁはぁはぁ」


「アル! 大丈夫か!」


スミスさんが俺の状態に気づいて声をかけてくれた。


「はぁはぁはぁ」


俺は答える余裕がないので手を挙げて大丈夫という意志を示した。


「そうか、なら戦闘続行だ!」


そう言うと、スミスさん達は攻撃を開始した。

今の俺は、連続でスキルを一気に使ったので、全力疾走を何回もした状態だ。


「エナジーヒール」


ケインさんが俺に気力回復をかけてくれる。

魔力は回復しないが、気力が上がればそれだけ魔力と体力の回復が早くなる。


「あ、ありがとうござい・・・・・ます」


俺は息が少し整いだしてからお礼を言う。


「お礼はいいよ! ていうか息整うまで休んでていいんだよ?」


ケインさんが気を使ってくれる。

俺はみんなが戦闘を継続したときから、スキルを切らさないようにしていた。

それが息が整うのを遅らせてはいるが、命には代えられないので油断はできない。


「ケインさん! 次ゴーレムが飛んだら一か所に集まってバリアを張るので前衛の近くまで走ります!」


俺は、1人1人にバリアを張っていては体力が持たないと思いバリアを張る場所を1か所にできるよう指示をだす。


「わかった! と言っても我々が行くより前衛が走った方が早いのではないか?」


「どちらも走って集まれる最短の場所でお願いします!」


後衛のスキルは動きながら発動すると、精度が落ちるので走る練習をしている人は少ない。


「ケインさん! エリアヒールです!」


ゴーレムが地面を踏みつける行動に出た。


「皆さん! 先程と同じように硬直を作ったら一斉攻撃!」


パターンと同じ行動をしたのでもう一度硬直を作り一斉攻撃を叩き込んだ。

すると、硬直が解けるとまた上へ飛んだ。


「皆さん! 一か所に集まって下さい!」


俺とケインさんが前衛に向かって走りながら指示を出す。


「アル君! は、速い!」


俺は前衛もビックリなスピードで走った。

後衛と前衛の中間地点に素早く集合したパーティーにバリアを張る。


「皆さん! この攻撃をしのいだらゴーレムの着地を邪魔してみます、硬直が狙えるかもしれないので準備お願いします!」


俺は少しできた時間で作戦を伝える。


「了解!」


メンバー達から頼もしい返事が来る。

正直、このパーティ国家探索者時代のアーサー達より強い。

個々の能力は国家探索者の方が上だが、俺の指示についていけなかったり、アーサーに至っては無視までしていた。

 故に、このボス戦は危険と判断して挑戦しなかったのだが、ダウンクロウのメンバーの動きが的確で素早いので理想の連携を取れていると言ってもいい。

 ずっとこのメンバーで組めば、お互いの長所を引き出し合うようになり、エルドア王国最強のパーティーになれると思う。


「行きます!」


ゴーレムの攻撃を凌ぎ切った後、ゴーレムの腹に当たるように拘束スキル、バインドを絡ませる。

見事拘束して、俺はバインドを‘‘ひっぱった‘‘。


「スキル操作まで、できるのか」


ロティさんがビックリしたような顔で呟く。

スミスさん以外のメンバーもビックリしたような顔をしていた。


「言っただろ! アルは最強のエンチャンターだ!」


スミスさんがそう言うと同時にゴーレムが地面に落ちた。


「硬直どころじゃねぇ! 転倒だ! 野郎ども行くぞ!」


なんかスミスさんの口調がいつもと違う。

戦いで興奮してるのだろう。


ダウンクロウのメンバーが一斉にゴーレムへ向かった。


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