表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者ご一行のご指導ご鞭撻よろしくお願いします!  作者: おみくじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/23

勇者達の住むお城へ(7)ユリネとミディアと、変態の言い訳

【ミディア‼ 聞こえる⁉ 聞こえたら返事して⁉】

 突如、女性の慌てた声が辺りに響く。

 まるでデパートの館内放送のように、突然聞こえた声に、俺は辺りをきょろきょろする。

 天使ことマリーさんの声ではない、紅蓮髪の美少女の声でもない、初めて聞く声。

 そして。

 初めて聞く名前。


 ミディア。


 俺は正面にいる紅蓮髪の美少女を見据える。

 すると紅蓮髪の美少女こと、ミディアが俺を睨みつけながらもその声に返事をした。

「ユリネさん、聞こえてるよ」

 ユ、ユリネさん?

 俺はミディアが口にした、ユリネさんという名前を頭の中で繰り返す。

 すると室内にまた、慌てながらも少し安心したような声音が響き渡る。

【ミディア‼ 良かった! 怪我はしてない⁉】

 ユリネさんの心配する声に、ミディアが少しの沈黙の後、口を開いた。

「私は、平気だから」 

 急に静かで大人びた声音に、俺は少し違和感を覚えた。ユリネさんの心配するありのままの声に、彼女は、そうミディアの返事は、どことなく、よそよそしさを感じてしまったのだ。いや、でもあれか、さっきまで怒ってた彼女と話していたから、急に落ち着いた声音に変わって、変にそう強く感じてしまったのかも知れない。

【ミディア……。良かった、無事で】

 そんな事を考えていると、ユリネさんの少し小さく落ち着いた声が聞こえた。その声にミディアは気に留めない素振りで話す。

「で……、どうしたの、ユリネさん」 

【えっ、あっそう! 今そっちに見知らぬ男性がいると思うの‼】

 おおうっ⁉

 突然のことに、俺は両肩がビクッと跳ねた。俺の体に緊張が走る。

「今私の目の前にいるよ」

【そうなのね! ミディア! その人は敵じゃないの‼】

 おおうっ⁉

 ユリネさんの言葉に希望の光を見る。これってもしかしたら助かるかも!

 俺はユリネさんの言葉に便乗しミディアに話かける。

「そ、そうなんだ‼ 俺は敵じゃない‼」

【あっ! 今の声ってムラカミさんですか⁉】

「えっ⁉ なんで―」

 俺の名前を知ってるのか聞こうとしたところで、慌てて頭を左右に振る。今は、そこは置いておこう。何よりもまず助かる方が先決だ。俺は言葉を紡ぐ。

「そっ、そうです! ムラカミです!」

【よかった! 無事で!】

「えっ⁉ いやまあ……はい」

 無事ではないんですけどね……。

【ミディア! そのムラカミさんって人はね、実は―】

「変態、だよね」

【えっ?】「えっ?」

 ユリネさんと俺の声が合わさる。


 シーーーーン。


 そして急に訪れた沈黙。そのなかでミディアが手のひらに掲げる豪炎の球だけが、ゴゴゴゴゴッと荒々しく燃える音をこだましていた。

 俺の額から急にダラダラと汗が流れ出る。ははっ……、豪炎の球が放つ熱のせいかな~、うん違うよね、分かってた。

【ミ、ミディア? そ、それってどいうこと?】

 戸惑いを隠せないユリネさんの揺れる声音に、ミディアは両肩を震わせながら言い放った。

「私の、下着姿を見られたのよ‼‼」

【ええっ⁉⁉】

 ユリネさんの驚く声が響き渡る。俺は慌てて声を出す。

「いや違うんですユリネさん‼‼ こ、これには深い訳がありまして‼‼」

「なっ⁉ じゃあなに? わ、私の下着姿を見るだけじゃなく、さ、触ったりもしたのには‼‼ ちゃんとした理由があるって言うの‼‼」

【さっ⁉ さわっ⁉ ミ、ミディアの体にさわわっ⁉⁉】

 ユリネさんの混乱している様子に、俺は慌てる。ユリネさんは確実に誤解している‼‼

 俺はミディアに強く言い放つ。

「待て待て待て‼‼ その言い方は間違ってるだろ⁉」

「何が間違ってるのよ‼‼」

「お、俺が触ったのは、パンツだけだろ‼‼」

【えええええええええーーーっ⁉】

 ユリネさんの絶叫する声。はっ! しまった⁉ 大事なことを言ってなかった‼‼

「ユ、ユリネさん‼‼ 床に落ちてたパンツですから‼‼ 床に落ちてたパンツを触っただけですから‼‼ も、もちろん履いてないやつですよ‼‼」

【えええええええええええええっーーーー⁉】

 ユリネさんの困惑を隠しきれない大声が辺りにこだまする。あっ、あれ⁉ なぜだ⁉ 誤解がとける気配が微塵も感じられない‼ むしろ―。

「最・低……‼‼」

「えっ?」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ‼‼

 彼女の手のひらにある巨大な火球が燃え盛る。

 事態は悪化しているだけのようだった。

「ユリネさん、また後で」

【えええええっー⁉ えっ⁉ ちょっとミディ―】

ユリネさんとの会話が、燃え盛る火球にかき消されたかのように、途切れた。

「まっ、待て待て‼‼ それはいくらなんでもやりすぎじゃ―」

 彼女の手からは、今にも巨大な火球が俺に放たれようとしていた、その時だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ