誠治の選択
「さあ、君の選択を見せて。簡単だよその鎌で犠牲者の首を落とせばいい」
レンはヒスイの分身の鎌を指差して言う
「俺は…」
誠治は鎌を握り締める
「俺は…」
誠治は考える三つの選択肢を吟味する。
一瞬にも永遠にも思える時間を過ごした。
その間に何度もこの11日間を反芻した。
神が居ると確信して、命を狙われて、ヒスイとあって鎌で切られかけて、ジンとか言う人と会って、久々の普通の一日を過ごして、WSSに消されて、気がついたら九月で分身を殺せって言われて、ヒスイと協力して俺の分身を殺して、ヒスイと風呂入って、一緒のベッドで寝て、起きてヒスイの分身と闘って、今決断を迫られてる。
俺は永遠に思えた瞬間から我に帰り
鎌を握り直す、自分の決断を示すために。
「俺は…、例え世界の理を破ったとしても過ぎ行く日常を守ると昨日あの交差点で誓った。だから俺は…」
誠治はWSSとヒスイに向かって歩み寄り鎌を振りかざす。
「お前を倒して、俺の日常を守る」
誠治は最後の言葉を絞り出して鎌を降り下ろした・・・・・
「クックックックッ、キサマハセンタクシタ…」
「君の選択、見させて貰ったよ。実に面白い選択だったよ」
レンは鎌を一振りする
艶っぽい黒い布切れと、赤色の液体が飛び散り………金属片がアスファルトの地面に散らばり、甲高い音を立てる。
「日常を守るんじゃ…」
「俺は俺の日常を守ったんだ。…これでいいんだ」
誠治は鎌を地面に落とす。
鎌はカランカランと重たい音を立ててアスファルトを削る
「ハヤクニゲルガイイトキガトマレバキサマラモエイエンニコノシュンカンヲスゴスコトニナル」
「僕はそうするよ」
レンはさっさと姿を消した。
綺麗に晴れてとても青かった空は既に色を失い灰色になり始めていた。
「ヒスイ、俺をお前の世界に連れていってくれ」
「…わかった。ほんとうにこれでいいのね?もうここには戻って来られないわよ?」
「いいさ、俺の日常はいつもお前の隣に在るから」
周りの建物も色を失い始めた。
そして二人はジアースから姿を消し
地球は一切の活動を停止したのだった。




