月を見つめて…
今日は、朝から雨が降っていた。
いつ止んだのかは分からないが、夜には止んでいたみたいだ。
雨で濡れたアスファルトに、キラキラと照らし出していた灯り。
空を見上げると、月が出ていた。
「…きれい。」
思わずそう呟いた。
大好きなキミも、見てくれていたらいいな…と思いながら、しばらく月を見ていた。
だけど、キミは月を見る時間なんてないかもしれないね。
忙しくて、疲れて寝てしまっているかも。
もし、見ているのなら…少しでも私の気持ちが伝わらないかな…なんて思うバカな私。
月は、神秘的なものだって言われているからそんな事を思ったのかもしれない。
ボーっとしながら、そんな事を考えていた私だったが、携帯の着信が鳴った。
こんな時間に誰?と思いながら、電話に出た。
「…もしもし?」
『…あっ、中島です。お久し振りです。』
私は、夢でも見ているのだろうか?
好きな人から、電話が来るという…幸せな夢。
『星村さん…?』
受話器越しに聞こえるキミの声は、本物だ。
「あっ、すみません。どうしたんですか…?」
『まず、こんな時間にすみません。星村さんの声が聞きたくなって…。』
「中島さん…。私は、大丈夫です。私も、中島さんの声が聞きたかったんです。」