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夏のババ抜き大会決勝戦。
選手入場。
BGMは〇ッキーのテーマ。
初めに入場したのは不機嫌モードのりゅうちゃん。
そしてポーカーフェイスだけどちょっと憂いがちな怜くん。
最後に、まだ牛乳風船の恵さん(元に戻れるのかな?)。
九藤のアナウンス「いええい☆☆☆どうしたどうした若者たち!顔がか・た・い・ぞ?」
りゅう「デスノートにお前の名前を書き込んでやろうか」
九藤のアナウンス「あれ本名と顔知らないとダメじゃん☆九藤はペンネームだしい~~~」
りゅう「調べるなど造作もないぞ」
九藤「うぴゃぴゃぴゃぴゃ、やってみな~★」
※この作品において九藤がラスボスとかいう設定では決してありません。ご了承ください。
さいしょはグー、ジャンケンポン、で決まったトランプの札を引く順番は
恵さん→りゅうちゃん→怜くん
備考その1:りゅうちゃんと怜くんは仲が悪い。
備考その2:あまり人を嫌うことのない怜くんだが唯我独尊なりゅうちゃんは嫌い。
備考その3:互いに嫌な奴、と思うゆえ、怜くんとりゅうちゃんのツーショット(隣に座る)は実に珍しい構図である。
恵さん「あの、備考を聴けば聴くほど、それに挟まれてる私ってきついような…」
九藤のアナウンス「頑張ってください。これは夏の狂宴です!!」
カードを配り終え、それぞれペアの札を出していく。
恵さん「………」(顔色が牛乳色に。それを見つめヒゲをひくひく動かすこにゃんこ源九郎)
備考その4:しょっぱなから恵さんはババを持ってるよ☆
ここで恵さんに死亡フラグが立ったかに見えたがしかし。
二巡したあたりで怜くんがやりにくそうに小首を傾げる。
怜「恵さん。…ババをお持ちですよね」
恵さん「い、いえ」
怜くんにはそれが嘘だろうことはわかる。しかし、恵さんの表情はあまりに牛乳オーラで覆われてしまった為、その動きがわからなくなってしまったのだ。
牛乳色のお面を被った状態、と想像していただこう。
これは心理的駆け引きが要求されるゲームにおいて、思いがけない強みである。
怜くんがどの札に指を置いても、牛乳色のお面から動揺を見て取ることが出来ない。
りゅう(小月め…。まさかこれを見越して牛乳をバカ飲みしたのか?)
怜(もし計算ならすごいことだけれど…)
もちろん、「恵さん」の「計算」ではない。
恵さんはただ嗜好に突っ走って牛乳愛に溺れた。
ただそれだけのこと・・・・・・
源「ねえねえ、恵さん。ちょっと舐めていい~?」
恵さん「だ、ダメだよ源ちゃん!私は今、生きるか死ぬかの瀬戸際なんだからっ」
※決勝戦で優勝してもお魚柄ジャケットを着るだけです。生死に影響はありません。
怜くんは四巡めでも危機を回避した。
りゅうちゃんは順調にペアを作り手持ちの札を減らしている。ちょっと鼻歌混じりぐらいにテンションが軽やか。
楽勝、とか思ってっとフラグが立つんだぞ、りゅうちゃん。
そして数分後、りゅうちゃんの知らぬ間にババは怜くんの手に舞い込んでいた。
ほぉ~らね☆
恵さんの牛乳お面、怜くんのポーカーフェイス、そのいずれもりゅうちゃんにそのことを悟らせない。
りゅうちゃんはまだ自分の足元の危うさに気付いていない。
フラグ立つか!?
本能寺の変の悲劇が彼に再来するのか!?
蘭「上様あああ、ババは目の前にあ、むががが、(口を何者かに塞がれる)
外野がチクるのはルール違反だよ★
りゅう「…そう言えばジャケットの魚柄の魚って何だ?鯉とかか」
九藤のアナウンス「焼いたししゃもです」
りゅう「…」
九藤のアナウンス「焼いたししゃものフルプリントです。大事なことだから二度言いました」
怜「…それは…」
りゅう・怜((絶対に着たくない))
二人の目がマジになった瞬間だった。
九藤のアナウンス「たい焼き柄とどちらが良いか源ちゃんと相談した末、やはりここはししゃもだろう、という方向に意見がまとまりました」
怜(「やはり」という日本語はどこにかかってるんだろう…)
そこが気になるか、さすが文系✿
焼いたししゃもは美味しい。
美味しいは猫耳と同じくらい正義。
これは九藤の譲れん鉄則。
次回に続く!