⑥
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なつのさん
白のチュニックTシャツに涼しげな柄の麻素材ジャガード柄パンツ。
首にはアイスブルーのストールをさらりと巻く。
手首には細い金のバングル。
ましろりん
リネン八分袖シャツにライムグリーンのガウチョパンツ。
首には黒檀と水晶が光るロングネックレス。
ナチュラル感と涼感漂うファッションに、Cブロックの女性陣は華となった。
りゅう(割り込みアナウンス)「ちょっと待て」
九藤のアナウンス「なんだびょん」
りゅう「ババ抜き大会が何でファッションチェック☆アフターみたいになってる。しかも経費がうち持ちで」
九藤のアナウンス「富める者は施せ!だってそんくらいしないとガールズトークが止まらない勢いだったんじゃ。仕方ないんじゃ。九藤、大会継続の危機をリアルに感じたもん」
ましろりん「なつのさん、ステキ!大人っぽいです…!」
なつのさん「いやあ、照れるわあ!真白ちゃんこそ綺麗やでえ。荒太くんが惚れ直すやろ」
怜くん「二人共、よく似合ってる」
なつのさん「ふらあああ~~~❤❤❤❤」
源「にゃ♬」
倒れ掛かるなつのさんのストールにすかさずじゃれつくこにゃんこ源九郎!
ましろりん「なつのさん!?なつのさん、しっかりっ」
九藤のアナウンス悲鳴「ぎゃああ、なつのさん、悩殺されないで、お願いだからみんな、ババ抜きを続けて、お願いだからっっっ!!」
――――――――五分後――――――――
末期の悲鳴のような九藤のアナウンスのあと、ゲームは何とか再開された。
なつのさん(さすがやな、怜くん。ババを抜く気配ゼロや!)
三人はそれぞれ、順調に札を減らしていたが、ババは未だ、なつのさんの手にあった。
しかし皆さん、お思いでしょう。
ババが不動のババ抜きなんて、面白くない…………!
引いた、引かれた、誰が持ってる?
それら感情の動きがあってこそ、ババ抜き大会観戦は面白いのだ。
そ☆こ☆で
九藤のアナウンス「ましろりーん。例のものを着けてくださーい」
ましろりん「え、ええ?あれ?本当に着けるの?」
九藤のアナウンス「着けちゃってくださーい★★★」
ましろりん、トランプが置かれたテーブルの下から、ある物を取り出し、頭にセット。
怜・なつのさん「「 !! 」」
今ここに、猫耳ましろりんが誕生した。
猫耳の色は白!
源「うあー、おれの仲間だねえ♬」(自分の耳をぴょこぴょこ動かす)
ましろりん「う、うん……」(赤面した顔を上げられない)
怜「大会運営者に事の次第を説明してもらいたい」
なつのさん「真白ちゃん、猫耳も似合うなあ」(素直に感心)
九藤のアナウンス「ばっさり言うと〝怜くんメロメロになってババを引いちゃえ作戦〟です」
そう。
いかに普段から聡明で冷静沈着、色素は沈着しない、駆け引きに強い怜くんであっても、可愛い妹のましろりんの猫耳スタイルには、自制心もグラグラになるであろうとの邪悪な陰謀である!
りゅう「前半にいらん言葉が入ったぞ」
九藤のアナウンス「さあ、続けたまえ!」
怜「………」
しかし怜くんは頑張った。
白い猫耳のましろりんを視界に入れながら、なつのさんからババを引くまいと戦った。
だが、強固な牙城も崩れる時は来る。諸行無常、盛者必衰!
ましろりんが上目使いに怜くんの顔色を窺うと、その視線から逃れるべく、怜くんはふい、と顔を逸らした。
そして
ババは
怜くんのしなやかな指に捕らえられた・・・・・・
戦いを終えて。
九藤のアナウンス「見事、決勝戦進出を果たした怜くん。今のお気持ちを聞かせてください」
怜「楽しむ為のゲームなのに某人物に対していらついてしまった自分の未熟を恥じます」
ましろりん「次郎兄、記念になつのさんと三人で写真、撮ってもらおう?」
怜「…真白、猫耳着けたまま?」
ましろりん「ううん、恥ずかしいから外すよ!」
怜「いや、着けたままで撮ってもらおう」
ましろりん「え、ええ?」
なつのさん「それでこそ男や、怜くん!じゃあ、みんなで、」
「「「はい、バタア」」」
パシャリ❤
次はいよいよファイナルステージ。
決勝戦です!
それにしても怜くんの言ってた某人物って一体誰のことでしょうね?