⑤
カコーン♬
これはあれである。「豪邸」につきもの、ししおどしの音である。
正しく漢字で書くと「鹿威し」。
読める人少なくね?と思うのは九藤だけか。
それはそうと予選Cブロックには風流なししおどしの音が響いている。
そしてそこでは、はやババ抜き熱戦が繰り広げられて――――――――、
ましろりん「やっぱりファッションは季節先取りだって荒太くんが言うんですよ」
なつのさん「ああ、もう秋物出てる店も多いなあ」
ましろりん「リネンの白シャツは良いのを一枚は持っておけって」
なつのさん(ポン、と膝を打つ)「似合う!真白ちゃんには似合うと思うでえ!!」
ましろりん(雑誌のページを指差し)「なつのさん、このプルオーバーとかどうですか?」
なつのさん「かわいらしいなあ!」
熱戦ではなくガールズトークが繰り広げられていた。
カコーン♬
なぜましろりんが持ち物検査で引っ掛からなかったのかはあとでゆっくり蘭に訊くとして。
九藤のアナウンス「怜くーん☆静観してないで止めに入ってくださーい☆これババ抜き大会だから。女子の親睦会じゃないから」
怜「盛り上がってる女性たちにどう声をかけろと…」
(盛り上がってる女性に声をかける勇者)源「ねえ、おれお腹空いたよ?」(一日六食必須仔猫)
なつのさん(ハッ!)「ああ、堪忍やで~怜くん。怜くんならどう声かけてもええんよ❤はい、源ちゃん、アメちゃんあげよか~☆」
源「うあーい☆あーめ、あーめ、」(ボリ、ボリリッ、ゴクン!)
ましろりん「ごめんね、次郎兄」
怜「良いよ。じゃあカード切るね」
カシャシャシャ!
※鮮やかな手つきでカードを切り、シャッフルする怜くんをなつのさんが激写する音です。
源「ねえねえ、❤がたくさん落ちてるよ~?」
良しとしよう。ビバ、ハートフル!
カコーン♬
トランプの札を引く順番
怜くん→なつのさん→ましろりん
カードは配り終わり、各々、ペアの札は捨て、さあ臨戦態勢です。
なつのさん「言うとくけどうちは勝負事では手ぇ抜かへんからねえ!」
怜「なつのさん」
なつのさん「はい❤」
怜「ババをお持ちですか?」
なつのさん「いいえ❤❤」
怜「今日は寒いですか?」
なつのさん「いいえ❤」
怜「暑いですか?」
なつのさん「はい❤」
怜「………」
お気づきであろうか!
なつのさんは怜くんの問いかけに対して一度だけ、語尾が「❤❤」となっている。
そしてその時の質問は、ババがあるか否か。
即ち。
怜・ましろりん(多分、持ってる…)
という結論に落ち着くが為に怜くんの札を選ぶ目は真剣だった。
語尾の❤の数で相手にババの有無を悟らせてしまう。
そんなこともあるのだ。
りゅう「実際にそ「えー続きましてはましろりんの札をなつのさんが引く番ですね!!」
突っ込み役はここにはいらんのだ!
ましろりんの札を引くなつのさん。
3ペア成立。
…3ペア、成立。
九藤のアナウンス「…え?」
りゅう(割り込みアナウンス)「有り得ん」
九藤のアナウンス「ちょちょちょ、どうなってるんですか、なつのさん!」
なつのさん「いや、それがねえ、怜くんと真白ちゃんに見惚れたり写真撮ったりで気が急いてたやろ?ペアが出来てたんを今まで見逃してたみたいなんやわ~✿えへへ✿」
〈再現VTR〉
カードは配り終わり、各々、ペアの札は捨て、さあ臨戦態勢です。
なつのさん「言うとくけどうちは勝負事では手ぇ抜かへんからねえ!」
〈再現VTR終了〉
お聴きになったであろうか。
これがゲームに潜む魔物の成せる業である!
りゅう「無理矢理まとめようとするな」
ゲーム続行
源「お腹空いた」
続行
ましろりん「え、どうしよう。私、何も持ってないわ…」
源「アメちゃんは~?」
なつの「さっきので全部なんよ~」
九藤のアナウンス「あの、ゲーム続行してください…」
ましろりん「そう言えば、ガウン風に使えるワンピースも素敵だなって思って」(また雑誌を取り出す)
なつのさん「ええなあ、リゾートチックや。気分まで寛ぎそうやで」
九藤のアナウンス「ゲ、ゲームぞっ「カコーン♬
女子力(?)と猫力(?)に振り回される九藤!
予想外に手強かったCブロック!
続いて!!