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蕎麦を打つ際。
はあ?ババ抜きじゃねえのか、と仰らず、まあお聴きあれ。
蕎麦を打つ際、小麦粉、鶏卵、豆乳などの「つなぎ」を一切入れずに蕎麦粉オンリーで打たれたものを特に「十割蕎麦」と言う。
混じりけのない蕎麦粉の風味を堪能することが出来る。
「「「それが十割蕎麦!!」」」(誰)
運営サイドからAブロックへ、某橋本ちかげさんの熱烈なリクエストにより、十割蕎麦の差し入れが行われた。
新庄家の料理スタッフが腕によりをかけた逸品である。うちでも作ってください無給で。
ちかげさん「大根おろし、なめこ、とろろ…紫蘇は?」
りゅう「こっちだ。削り節もある」
きり「山葵、茗荷はこちらに」
ちかげさん「いや、冷酒と合いますな、結構、結構♬」
九藤のアナウンス「あのー、飲み食いしながらでいいんで、ババ抜き続けてくださーい」
ちかげさん「おっと、そうでござった☆ええと、次は私が桐峰殿の札を引く番ですな!ずず、ずずずずっ、うむ、この香り!馥郁としてキンと冷えた吟醸によく合い…、」
九藤のアナウンス「ちかげさーん☆」
ちかげさん「おっと、そうそう。そおーれ、(札を一枚、御機嫌で引こうとする)ぬ?き、桐峰殿、ち、力を抜いてください、取れません!……力つよっっ」
トランプ、今にも破れそうな感じ。
きり「……、」
きり(いかん。このままでは橋本殿に鬼の札が。しかし、鬼を持ち続けるわけにも…。俺はどうしたら良い?大国主命よ、答えてくださ「わっ」
この「わっ」を説明しよう!
お蕎麦をたらふく食べて暇になったいたずらこにゃんこ源九郎が、尻尾できりちゃんの脇をくすぐったのだ!
源「にゃ★」(どやあ!)
きりちゃんの手が緩んだ瞬間、ババはちかげさんの元へ……。
白い合羽に身を包んだちかげさんのほろ酔いなお顔が、ひくりと動く。
ちかげさん(にゃあああ、しまったああ!蕎麦と冷酒に浮かれてしくじったああああ)
りゅう「…引いただろ、お前」
ちかげさん「いえ?」(キリリッとした顔)
きり(許せよ、橋本殿)
その後、膠着状態となり、ババは依然、ちかげさんの手に。
りゅうちゃんは持ち札をどんどん減らしていた。
バア――――――――ンッ!!
りゅう「またか!」
恵さん「牛乳…、私の牛乳、知りませんか……?」(ふらふらと部屋をさまよう)
りゅう「おい、これもう入院レベルだろ、ババ抜きどころじゃないだろ、こいつ」
九藤のアナウンス「………」 沈黙
(走り込む)桧野さん「小月さん。牛乳はあなたが魔法瓶に入れて僕たちの予選会場控室に置いてるじゃないですか!氷を入れてよく冷やしてあるって得意そうに話してたでしょう。戻りますよ!」
恵さん「わあああ、そうでした!ごめんなさい、私、ほんとにドジですね……」
桧野さん「…でもドジっ子キャラですから。仕方ないですよ」
りゅう・ちかげさん(そのレベルを超えてると思うけど!!)
桧野さんと恵さん、退室。
きり(「ぎゅうにゅう」とは何だろう?「まほうびん」って何?いずれにしろあの者には祈祷を受けさせたが良い気がする)
バア――――――――ンッ!!
りゅう「またか!いい加減にしろっ」
みわりん「りゅうき!」
りゅう「美羽!どうした?」※デレモード❤発動。背後に大輪の薔薇しょってると思ってください※
みわりん〝あなたの顔が見たくて〟
りゅうき、大好き、としか言えない失声症の彼女はメモをそっとりゅうちゃんに見せる。
りゅう「………」※デレ❤以下略※
みわりん、ちかげさんから預かった札をそっとりゅうちゃんに差し出す。
頭がお花畑のりゅうちゃんに、ババを引いている自覚はない。
みわりん、りゅうちゃんのほっぺにチュ…❤、として手を振り退室。
りゅう「…おい、九藤」※デレモード解除だよ☆
九藤のアナウンス「やっふー☆何だい、りゅうちゃん??」
りゅう「謀ったな?」
九藤「な~んのことだかさっぱりだべよ~☆」
りゅう「あとで絞める」
九藤「うぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ!!」
九藤、読者さまに大笑いされ「暑気あたりですか」とまで感想で言われたのだ。
ありがとうございます!頭の中は生まれた時から暑気あたりです✿✿✿
こうなれば最早、体面はない(今まであったかは別として)。とことん書き抜くんだい。りゅうちゃんだって道連れだいっ。
そして同じ過ちを犯さないのがきりちゃんという男である。
ババは順調にりゅうちゃんの手元に残り、Aブロックの予選を見事、勝ち(負け)抜いたのは、りゅうちゃんでしたとさ☆
りゅう「大会運営者の謀略だ!」
謀略大好きなりゅうちゃんの声に耳を傾ける者は、なかった。
お次はBブロックじゃ!