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五話
彼の安否がわからないまま、1週間が過ぎた。
仕事を休むわけにもいかず、でも、手につくわけもなく。
いろんなところに問い合わせた。もうどこに問い合わせたかなんて覚えてない。でも、彼の安否は誰もわからなかった。
でも、だって、死亡者リストには、載ってなかった。
だからきっと、彼はどこかでちゃんと生きてて、いつもみたいにひょっこり帰ってきて、
「心配かけてごめん」
って、ばつが悪そうに笑うんだ。
なんて夢想を、もう何回しただろう。
でも、そんな夢想をすると同時に、もしかしたら、彼はもう、この世にはいないのかもしれない。彼ともう、会うことはできないのかもしれない。なんて想像もしてしまう。
私の心はぐらぐらだった。ぼろぼろだった。