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リアンとウィルの休暇

「水に浮かぶ花!?すごい!素敵すぎるわ」


 湖の上でボードに乗り、日傘をさし、ボートの端から手を伸ばして水上に咲くピンクや黄色の花に触れる。時折飛び出す水鳥たちを目を細めて眺めた。


「リアンが気にいってくれてうれしいよ。正直、休暇って言ったら怒られるかと思った」


「私、ずっとゴロゴロ怠惰にすごしていたもの。むしろウィルバートに休暇をあげたかったわ」


 申し訳ないわと思う。私は城でのんびりしていたけど、ずっと国を離れていて疲れていると思う。フッとウィルバートが優しい顔で笑った。今日の雰囲気はなんだか懐かしい彼だった。……久しぶりに見たウィルの顔だと私は思った。


「ありがとう。それでもいつ狙われるかわからない中で過ごしていたんだ。疲れただろう?」


 狙われていることよりも、ウィルが無事なのかどうか毎日、ドキドキして、不安で仕方なかったのとは口には出せなかった。なんとなく負けた気になるし……。

 

「それはウィルも一緒じゃない。私の比にならないくらい、いつもいつも重責を背負ってて………なんで笑ってるの?」


 私の言葉にフフフッと可笑しそうに声を上げて笑い出した。


「久しぶりにウィルって呼んだな?」


「あら……ほんとね。きょうのあなたはリラックスしてて、ウィルっぽいんだもの」


 私がそう言うと、ウィルバートは良いよと言った。


「リアンはウィルバートでもウィルでもどっちの名で呼んでくれてもいい。オレの中のウィルバートを認めるためにそう呼んでくれていたんだよな?今はもう大丈夫なんだ。リアンがいる限り、ウィルはずっと存在してるんだ」


 私の気持ちが読まれてることに恥ずかしくて頬が赤くなるのを感じた。


 それに今日の彼はすごく優しい顔をしている。こんなのずるいわ。油断してしまうじゃない。


 日傘で顔を隠そうとしたけれどヒョイッとウィルが傘を手であげた。顔が近くなる。ドキドキとした瞬間にピタッと至近距離で止まる。


「………はぁ……あいつ、真面目すぎるよな。ついてこなくて良いって言ったのにいるしな」


 3メートルほど先のボートにいるのはセオドア。常にウィルを守るためにいる彼は『置物と思ってください』と言って、やはり避暑地にもやってきた。


「視線を感じる……やめとこ……」


 ガックリとウィルがうなだれた。雰囲気台無しだよとため息をついている。


「たまには二人でって………っ!?」


 私はグッとウィルの服を引っ張り、日傘をセオドアの方に向けて、その影でウィルにキスをした。そしてニコッと笑う。


「私の勝ちね」


「……オレの負けでいいよ」


 ウィルがそう言って、今日の空のように青い目を見開き、驚いている。


 キラキラと湖に光が反射する。本当は私の負けだわ。笑ってくれてるウィルが愛しすぎて、キスしたくなったんだもの。

 

 私はあなたの苦しさも不安もすべて抱きしめていくから、どうかずっと一緒にいたい。この先もずっと。

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