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場を制す者は誰か

「陛下!」


 そう言って入ってきたのは次期王となるコンラッドだった。


「コンラッド!部屋にいろと命じたはずだ!」


 そう叱責されるが、コンラッドは睨み返す。


「黙って見ている時は終わりました。陛下、そろそろ幕引きです」


「どういうことだ?」


「……もう戦はしたくありません。領土拡大はもうたくさんです。国内で反王政の声がするんですよ。他国への非情なる決断の数々、戦費がかさみ、税が増え、民が疲弊していることをどう思っていますか?内政を疎かにしては元も子もないんです」


 それに……とコンラッドは石像の欠片を拾い上げる。


「兵たちの信頼の厚い副将軍をこんな形で犠牲にし、まだ城に残る兵たちを救えるのに見捨てるようなことをすれば、ユクドール王国に未来はありません!」


 周囲から殿下!コンラッド殿下っ!と声が上がる。彼の人望が現王としてよりも厚いことがわかる。


 まあ……多少はエリックを忍ばせて情報操作もしたけどな。『ユクドール王は捕虜を見捨てるつもりだ。残酷な王。彼が王であるかぎりこれからもずっと戦が続くだろう』と。


「コンラッド……まさか……」


 察してくるユクドール王。コンラッドはそうですよとニッコリ微笑んだ。それは優しくありながらも処刑台に送る裁判官のような雰囲気だった。


「王位を降りてくれますか?」


 その瞬間、ユクドール王の周りを囲む兵たち。コンラッドはわかっていた。ユクドール王国の民の声も周辺国からの恨みもどんどん膨れ上がっていることを。


「このタイミングで……おまえたち!まさか!グルだったのか!?エイルシア王とコンラッド!おまえたちはいつから……この計画をたてて謀っていた!?」


 ここにきて、少しは賢いじゃないか?とオレはそう思ってニヤッと笑った。


「なんのことだろうか?」


 とぼけてみせるが、どうやらバレてしまったようだ。ユクドール王はオレを睨みつけた。


「どうぞごゆっくりと隠居生活をお楽しみください」


 その鋭い視線すらオレは受け流し、ニッと挑戦的に笑い返す。コンラッドが連れて行けと命じると、兵たちは忠実に動く。ユクドール王は連れて行かれる。


「ウィルバート、ご協力感謝します」


「偽物の石像を作らせるのに、少し時間がかかってしまったが、まぁ、こんなところだろう。コンラッド、これからだ。これからが大変だ」


『偽物!?』


 コンラッドとオレの会話を見守り、聞いていた周囲の人々が叫ぶ。エリックが腕のいい彫刻家を探すのに苦労しましたよと言う。


「安心しろ。ダレン副将軍は生きている。コンラッド、オレの国に足を踏み入れないと約束するなら明日にでも解呪しよう」


「もちろんです。ウィルバート、どうかこれからも助けてください」


 ああ……と頷いた。


 そして思った。やっとリアンの元に帰れる……と。

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