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銀の食器は輝きを失う

 夕食が運ばれてくる。美味しそうに湯気が出ている。


「毒見しましょうか?」


 オレの影武者として毒の耐性があるように育てられてきたセオドアがそう尋ねる。オレは荷物から銀色の食器を出す。


「大丈夫だ。調べてみる。リアンなら成分の分析が上手いんだけどな。一瞬でしてしまう。料理が冷める前にな」


 セオドアが目を丸くする。


「リアン様は魔法にも長けてるのですか?そういえば戦の前にも雷で木を真っ二つにしてましたね」


「魔法オタクでもある。最近、城の修繕費をオレは国家予算に組み込んだ」


 修繕費ですか……とセオドアが言葉を失っている。


 オレは飲み物をグラスに移す。じわりと色が変わり、黒く変色した。


「………これは」


「やはり狙ってきたか。めんどくさいが解毒して食べ物や飲み物は口にしたほうが良いな。お前たちの物も用意し、絶対に不用意に食べたり飲んだりしないようにしてくれ。誰が狙われるかわからない」


 セオドアが眉を潜めた。


「陛下、冷静ですね。ここは怒るところでは?」


「オレは慣れてる」


 慣れないでくださいよとセオドアが複雑な顔をした。そこへエリックが帰ってきた。


「首尾はどうだ?」


「ふふん。このモテ男のエリックに愚問だなぁ。もうメイド3人と仲良くなりましたよ」


 は!?とセオドアが声をあげた。


「セオドア、なに驚いてるんだ?情報を得るには女の口が軽くて一番手っ取り早いし、細かく見聞きしている。有益な情報を手に入れることが大事だ」


「リアン様には笑顔一つで、手のひらに転がされてる陛下の言葉とは……とても……」


 うっ……今、それ言うか!?オレは動揺が顔に出ないように涼しい顔をしながら、解毒の術を施した。


「毒が入っていたのは飲み物だけだったな。残念ながら料理は冷めてしまった」


 仕方ありませんよとエリックが言う。


「コンラッドはどうしているか、わかったか?」


「メイドの話では自室での謹慎だそうです」


 ……なるほど。同じ城内にはいるようだ。それほど罰が重いものではないようで安堵した。


「陛下、こんな毒を盛られるような危険な場所に来るべきではなく、やはり交渉には別の者が来たほうが良かったのでは?なぜ自ら?」


「まぁ、それもオレでなければならない理由があるんだが、今は話せない」


 エリックとセオドアが顔を見合わせる。オレは笑う。


「リアンほどではないが、オレも多少は先を読めるんだ」


 命を本気で狙うなら、謁見前に殺られていた。まだ大丈夫だと銀の食器を見て思うのだった。

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