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王と王妃は牽制し合う

「ちょっとウィル、相談なのだけど、私、避暑地へ行って、のんびりしてきてもいいかしら?」


「急に行きたくなったのかな?思いつきでリアンは言わないタイプじゃないかい?」


 ウィルがお茶を片手に首を傾げる。


「あ、あら?だって、最近、城の中だけじゃ退屈になってきたもの。ウィルも忙しそうだし……」


「構ってあげれなくて、悪いとは思ってるよ。でもリアンも何故か、とても忙しそうな雰囲気がするのは気のせいかな?」


 ゲホッゴホッと私はお茶でむせた。見抜かれてる!?


「やけに実家との手紙のやり取りがいつもより頻繁だと思うけどな……まぁ、中身は見てないよ」


 ……見ても暗号化してるから、簡単にバレはしないだろうけど、ウィルに何をしてるのかな?と暗に問い詰められている。


「お、お父様から、海運について相談を受けてるのよ」


 ふーんとウィルはニコニコしながらお茶を飲む。


「今回はオレに任せるようにと言ったはずだ」


 でも……と、私は口ごもる。ウィルは怒ってるように見える。笑ってるけど、怖い雰囲気だわ。


「リアン、今、外へ出すわけには行かない。悪いけど後宮にいてくれ」


 そう言うと、お茶の時間は終わりだと立ち上がり、忙しい彼は行ってしまう。


「さすがに出してくれるほど、ウィルは甘くはないわね」


「そりゃそうですよ。お嬢様のこと、陛下はとても心配してるからこそです」


 これは私の方が不利だわ。


「抜け出そうという考えはやめてください。護衛をしてるこちらの身にもなってください」


 トラスがボソッとそう言う。私は頭を抱えたくなる。アナベルがそろそろ時間ですと知らせる。


「次の方と会う約束をされているのですから、用意してください」


「わかってるわ」


 もう~と私は言いたくなるのを我慢する。


「しっかりしてください。陛下のお祖母様がいらしてくれるのですから……」


「お祖母様。確か、お優しそうな人だった気がするわ。結婚の時にお会いしたきりだったけど、なんの用かしら?」


「伯爵夫人が出産され、そのお祝いのついでに王宮にも顔を出すということでした」


 ウィルにどんな方?と聞いたが、ウィルはさぁ?と首を傾げていた。あまり付き合いがなく、話したことも数えるくらいだと言っていた。


 ウィルのお父様とエキドナ公爵のお母様らしいけれど、疎遠のようだった。


 後宮の一番良い客室を用意して、待つことにする。緑色の落ち着いた雰囲気の服をアナベルは用意し、私の髪をきっちり結う。


 事前にどんな方か調べたが、悪い人ではなさそうだった。慈善活動を長年行い、その優しい人柄から貴族の女性たちから相談を受けることも多く、生活は質素で、倹約家。


 なんだか好ましそうな方だわと私は楽しみだった。


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