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恋の季節はいつでもやってくる

 私は最近、ずっと気になっていた。


 恋には疎い方だと思う。国の先を考えるのは好きなのに、どうも恋や愛というものは鈍い。普通の女の子が興味あるものを通過してこなかったからだろうか?それとも人の気持ちは複雑で難しくて先が見えにくいからだろうか?


 こんなことを考えてしまうのも、久しぶりにセオドアが護衛についているからかもしれないわね。


 そよそよと柔らかな風が部屋に入ってくる。私は窓辺でうたた寝している………ふりをしている。


 起きれない。目を開けれない。


「久しぶりに会えて嬉しい」


 そう囁くセオドアの声。


「あなたのことを心配していた」


 優しくて、労るような……そんな姿が目を閉じていてもわかる。彼がこんなふうに変わるなんて思っていなかった。


 穏やかな風は幸せな空気を作り出す。


「身近な所に恐ろしい者が潜む場所にいる」


 そうね……私は頷きたくなる。


「どうかどうか……無事でいてほしい。陛下の身を護るのが自分の仕事だと幼い頃より思っている。だからあなたを一番に護れないこと許して下さい」


 せつなさすら込められている。いつも淡々とし、無表情だった彼からは想像もつかない。


「リアン様」


 名を呼ばれてドキッとする。嘘寝だってバレてないわ……よね?気持ち良さげに寝ている演技は完璧だと思うの。大丈夫!大丈夫!と自分に言い聞かせて身動き1つしない。


「リアン様の傍にいて、いつも優しい眼差しで見守ってるあなたのことが好きです」


「もう仰らないでください。ただのメイドに身に余る言葉です。聞かなかったことにさせてください」


 ずっと無言だったアナベルが答えた。


 ま、まさか!!こんな所で恋が生まれていたなんてっ!!ホントは起きて、キャー!と歓声をあげたいくらい。


 だめ!二人の会話を今は途切れさせちゃだめ!リアン、アナベルのために我慢よ!我慢!!


 そう。私は気になっていた。


 アナベルはセオドアのことが好きなのではないか?と思っていた。恋愛には疎いけど、アナベルの変化にはさすがに気づく私。


 最近、セオドアが護衛を外されてしまい、少し元気がなかったように思っていた。今日、セオドアが来て、以前のようにお嬢様!お嬢様!と私に声を上げることが多く、あれ?元気があるわね?と気づいたのだった。


「身分など関係ありません。陛下の影となり生きてるので、家とは幼い頃より離れてます。……愛人の子どもですから、いつ身代わりになってもいい者として王家に売られたのです」


「それでも、ただのメイドにセオドア様は相応しくありません。今の言葉は忘れて新しいお方を見つけてください」


 アナベル!好きなのにそんな言い方しちゃだめ!私は口出しをしたくなる。しかしそれは余計なことだと思うので、ひたすら怠惰に寝てるふりを演じる。


「想いが叶うことはありませんか?」


「ありません。でもセオドア様のご無事をいつも願ってます。今回も陛下は危険なことに晒されているのではありませんか?」


「あなたもどうか無事でいてください。王妃様も狙われているでしょうから。……この想い、諦めません」


「セオドア様……」


 ………なんなの!?この状況!?目を、目を開けて二人の表情が見たいのよおおおお!


 私がやっと目覚めることを許された時、アナベルはいつも通り、お茶の用意をし、セオドアはただ静かに部屋のドアの前でいつものように佇み、警備に徹していたのだった。

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