表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
6章 遺失記録:8/30~8/32

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/248

6-12「メトロノームはひび割れて・4」

『キラくるドリーム☆すてらちゃん!外伝 暴かれるトラペゾヘドロン』前回までのあらすじ


 超銀河級のフィノミナ「オープニング・キス」と契約を結び、戦闘を避けることに成功したアルジェンティーネ一行。しかし、次なる敵は魔道に堕ちた仲間「アルゴスフィア」だった。大型イベントに人手が割かれた隙を狙い、主要インフラを掌握した彼女は、ついにNameLLL(ねむる)の面々に直接対決を仕掛ける!

 夜層区域、東京――


 スノードームのようなものを手に持ち、日本でも有数の御曹司「黒岩一矢」の腰に手を回して人質に取ったアルゴスフィアは、忍び笑いを漏らした。


「なぁんだ、あんなに小さい結界でも封じられるんじゃない……なにが超銀河級なの、くだらない」

「やめなさい!! あれが本気で仕掛けてきたら、何をするか分からないのよ!?」


 球状の結界やボールを作り出し、内部を徐々に変化させていくという能力を持つ彼女は、東京臨海部に超巨大な結界を展開し、〈オープニング・キス〉に寄生された少女「結城さくら」を閉じ込めた。パスが途切れたからか、これごとき些事と断じたか、かのフィノミナがこちらへ関心を向ける様子はない。


「もう一度だけ聞いておくわ。わざわざ謀反を起こした理由はなに?」


 あんたの脳みそがとうとう乗っ取られたとかじゃない限り、と〈督涜と紅の滴(アン・ブリード)〉は問う。それは、とても強い絆と深い信頼によるものだった。


「……私より熱心だったあんたが、組織を裏切ることなんてあるとは思えないんだけど」

「熱心? そうね! あんたたちNameLLL(ねむる)がアタシを裏切らなきゃ、一生気付かずに忠犬のままでいたでしょうね。フィノミナに屈するなんて……よりにもよってアタシの前で! 指揮官が……!!」


 宵待朝日とアルジェンティーネは、O.K.に勝つことは不可能であり、そもそも戦うこと自体が危険極まりない行為であると判断し、これと交渉することで合議を得た。結城さくらをできうる限り放置し、彼女らNameLLL(ねむる)の戦力として徴用しない……ただそれだけで、彼女らは赦された。


「あんたもよ、〈デビル・スプリンター〉!! あんたも憎いんでしょ、フィノミナが! 同級生も家族も奪われて、こんな戦いに放り込まれて!! どうして平気でいられるの!?」

「ワタクシの心はもう決まっておりますわ! あのひと自身と向き合って、話して……! あの人は振り回されるだけの被害者なのです。責めるのは筋違いですわ!」

「高潔ね。その輝きが今はただ痛い。アタシの光は……偽物だったんだ」


 彼女らと同じ「フェスト・イヴ」となる素質を持つものは、数だけで言えば少なくはない。しかしながら、戦いに出られるほど強力な能力を持つものは希少で、身を削って戦おうとするものはさらに少ない。その強力なモチベーションのほとんどは、復讐心である――アルゴスフィアも、デビル・スプリンターもそうだった。


 だが、結城さくらの心に触れたD.S.は、彼女の心とO.K.がいっさいリンクしておらず、当人はいっさい感知していないことを知った。そしてO.K.は、ただ彼女の幸せと、そのおすそ分けを少々もらえれば人類の味方となることを知った。ならば、彼女を見守るほかに選択肢はない。それ以上に何かをする気は、もはや起きなかった。


「今ならまだ間に合うわ。ただフィノミナを集めるくらいのことは、倒す準備として処理できる。その人を離しなさい」

「イヤよ、こいつが交渉材料なんだもの。黒岩紡績の四男坊、跡継ぎでもない、家の中での重要度も低いこいつが! まさかあの〈オープニング・キス〉の彼氏(イロ)だなんてね!」

「お坊ちゃまを……離せ……!!」

「アハハハハッ、そろそろ諦めたらぁ? とげ付きの分銅なんて、当たっただけでも痛いんでしょ? 自爆しっぱなしじゃない、あんた」


 球体に閉じ込められ、脱出せんと鎖と分銅を振り回す「紙条紗耶香」は、黒岩紡績の会長が一矢につけた、フィノミナの力を持つ護衛であった。しかし、その力は狭い球体に閉じ込められたことで削がれ、めちゃくちゃに鎖を振り回したことで分銅が自分へと跳ね返り、いくつものケガを負っている。


(おかしい、何かが……。あれは人間大でも現れる、受肉もする。財田案件として今日報告された事例は、ほとんどがそうだった。だけど)


 そもそも、都内は彼女らNameLLL(ねむる)がもっとも活発に活動する場所であり、フィノミナは成長する前に討伐されるはずである。にごフェスの会場に現れた無数のフィノミナは、いったいなぜ、どこから出現したのか。あれもまた命である以上、生物のそれとはかなり違うが、あちらの生態系に応じて繁殖するはずである……単為生殖やクローンだと仮定しても、それほどのリソースが集まるとは思えない。


「ふっ、交渉は決裂したというわけだね。あれほどの力を割いているキミは、今どれほどの力を使えるのだろうか?」

「勘違いしないでね? あんたたちに見せてきた技なんてこれ見よがしに使うと思った? 結界の本質は「中と外を隔てること」! じゃあ」


 御曹司ののどを、つつっとなぞる。


「ここに拳くらいの球ができて、中にあるお肉と外にあるお肉を切り離したら、いったいどうなるのかしら。想像できるわよねぇ、頭いい預言者さまには!!」

「ええ。ならどうするのかしら」

「この能力を使って、あいつをバラバラにするのよ! 家から飛び出して、車に轢かれてぐちゃぐちゃになったアタシの母さんみたいに……!!」

「あまり、自分を過信しない方がいいわ」


 ぬうっと後ろから現れた触手が、アルゴスフィアの首にくるりと巻き付いた。


「げほっ、ぐっ、あんた……!?」

「一人ひとりが単独任務できる力があるんだからぁ……わたしたちみぃんな、平等にすごいと思わない? ね?」


 瞳孔にぬらりとした奇妙な光を宿す〈深き手にある蒼星(ルリーエル)〉は、わずかばかりの怒りを声ににじませていた。


「あの子にも、あっちにも、罪はないの。筋違いの怒りだけを膨らませないで」

「体まで喰われたモドキの言うことは、さすがに違うわね……! あん、たを……あんたらも……!! 邪魔するなら、バラバラにしてやる!!」


 氷の青とガラスの碧が、激しく光を放った。

『キラくるドリーム☆すてらちゃん!外伝 暴かれるトラペゾヘドロン』(’15年~’21年)


 バーチャルタレント事務所「NameLLL(ねむる)」の所属タレントをモチーフにしたプロモーション漫画『キラくるドリーム☆すてらちゃん!』のスピンオフ第28弾。本編の正統後継者的立ち位置としては第13弾にあたる。バーチャルタレント「卦環射吟子(けわい・ぎんこ)」をモデルにした魔法少女(フェスト・イヴ)〈アルジェンティーネ〉の生涯をおもに描く。人気のある章は、後輩たちが次々と仲間になっていく「2章 流れ星には願わない」や、彼女らのために一般人たちが立ち上がり終章の布石が打たれる「6章 ステイシス・アウト」など。


 シリーズ全体の共通点として、時代設定が異様に精密で、実在の人物をモデルにしたキャラが多い。そのため、これらシリーズを読んでいると、歴史の裏側にあった事件を読み取れるのではという声もある。この作品に登場するのは墨帖繊維工業の御曹司「墨帖与市」とその妻と推測されているが、公式からの声明や墨帖繊維工業側の意見もいっさい発表されていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ