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いつでも真面目ちゃん! ~VRMMOでハジケようとしたけど、結局マジメに強くなり過ぎました~  作者: 亜空間会話(以下略)
6章 遺失記録:8/30~8/32

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233/244

’11年8月30日13:11  東京都江東区有明3丁目11-1 東京ビッグサイト構内

「あった……!」

「えっ、……」


 接客をしているコスプレイヤーさんの奥にいたひげ面の男性が、なんだか怪訝そうな顔でこちらを見る。そして、表に出てきた。


「あのぅ……ここけっこうドギツい本置いてるとこなんで、その。地図お持ちですか」

「え、はい」

「地図だと、ここ。あそこの、騎士風のレイヤーさんがいるところですね。あの人はきれいな絵描く人なんで、あそこの本を買うといいと思います」

「あ、ありがとうございます……?」


 名前を聞くと「原付88(げんつき・パーパー)です」と名乗った。


「彼氏さんの好みの調査ですか」

「えっと、だいたい、そうです」

「うらやましいもんですね。あっちの「てんも毒波(どっぱ)」先生はですね、タッチがいい。あと、フェチがどこを見てるかが初めて見た人にもよく分かる。調査にはちょうどいいですよ」

「アドバイス、助かります! こっちのグッズ、買っていきますね」


 高校時代着ていた競泳水着っぽいのを着た、けっこう現実的な青い髪の毛の女の子のラバスト(?)を買った。原付さんはいろいろ語っているけど、微妙によく分からないので聞き流す。とりあえずこの人がデザインした、ということは分かった。


 そんなわけで、まるでとっこみたいな、白いレオタードに胸と肩の鎧をつけたコスプレイヤーさんのところに着いた。レーネはなんだか不思議そうな顔をしているけど、原付さん曰く「ハイレグ好きは一度は通る道で、誰もがあれを思いつく」のだそうだ。


 ピンクから水色・緑になるグラデーションのかつらに、たぶん本物のレオタード、ちゃんとレザーを使っているらしい白いベルトや、金属っぽく塗装したハイブーツ。ものすごく本格的で、かなりお金もかかっている衣装らしかった。おとなしそうな印象の顔と、もちっと気味から絞ったらしい、ほんわり可愛らしい体型。かなり胸があるけど、さすがにアンナほどではなかった。


「この本ください!」

「あっ、私と同じ趣味の女子が。嬉しいです……」

「あっちの原付さんから紹介してもらいまして。タッチがよくて、フェチがどこを見てるか知るにはちょうどいいんだって」

「げ、原付先生が! ありがたや……!!」


 手を合わせて拝んでいる。業界で何かつながりがあるようで、原付さんの方も「いえいえ」と言いたげに手をわたわたして恐縮していた。


「そのレオタード、本物ですねー。「P-Cast」のやつですか?」

「メーカーまでご存知!? きょ、競技経験者の方でしょうか」

「いちおうです。個人的には「LUCY」がおすすめですね」

「ほわっ!? め、メモを取らせてくださいっ」


 洗濯がしやすいし光沢感もある、デザインもかなり幅がある――何より、「P-Cast」はもともとバレエ向けのトップシェアだから、布っぽい質感が強い。体型の幅はかなり広めに取ってあるはずだけど、コスプレ衣装としてはちょっと違う。「MaTiny(マ・ティーニ)」は最初からコスプレ目的で作られているけど、ちょっとだけ動きの邪魔になる……打ち合わせで一度だけ着てみたけど、あんまりよくなかった。


「えっちさが足りなくなると思うんです」

「そこまでご理解をいただけているなんて……!」

「だって、見せたい魅力と見えてる魅力って別ですから。でも、あなたが見せたいものをもっとよく見せるなら、きっと先に進められます」

「現実的に割り切られているのですね……素晴らしいですっ」


 そんな目で見るな、という競技者も当然いるし、けっこう多いとは思うけど……特撮の見過ぎで、男にすらへんな目を向ける雑食すぎる兄を見ていて、男ってどんな服装でも興奮するんだな、と分かった。


 あんなに色気のないジャージだろうと、ほぼほぼシルエットが出ていないシスター服にさえ「エッ!」と嬉しそうにサムズアップしている人たちには、何を言っても無駄だ。というより、利用した方がいい。……さすがに、「血まみれの男の喘ぎ声は特撮のノルマだろ」とまで言い出すのは、ちょっと気持ち悪かったけど。


「でも、ほんときれいですね……義妹(いもうと)が喜びそうです、このすべっとむにっと脚」

「こ、光栄ですっ。鍛えつつも脂肪を残すプラン……最近は普通のトレーニーだけではなく、こういった需要にも応えているジムがありまして。そちらの脚もなかなか」

「ふふふー、ありがとうございます」

「……わたくしには理解できない会話ですね……」


 剣道では脚が大事じゃない、という意味ではなくて、女子同士が足を褒め合っているのが、レーネの価値観の中にはないようだった。


「同人活動とコスプレと、いろいろ……NOVAでも活動しておりますので、フォローよろしくお願いしますっ!」

「またNOVAに入ったら、探しに行きますねー。てんも毒波さん、ですね」

「あなたは? ここには馴染んでない気がしますが……」

「私は……あ、アカネです。あっちで出会ったら、ちゃんと名乗りますね」


 つん、と背中を突っつかれて、ちゃんと名乗ってはいけないのに気付いた。本名はいいけど「フィエル」と名乗るのは危険だ、と事前に言われている。


 イラスト集を買ってから袋に入れて、しずしずと歩くレーネと並ぶ。


「じゃ、外だね」

「そうですね。屋内にもありますが、どちらから回りましょうか」

「んー、……外からにしようかな。先にきつい方終わらせたいし」

「間違いありませんね」

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